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■プロパイロットで注目された5代目セレナ
2016(平成28)年7月13日、日産自動車は人気のミニバン「セレナ」をモデルチェンジして5代目に移行することを発表(発売は8月24日)。同時にセレナに搭載された先進の運転支援技術「プロパイロット」についての発表も行なわれた。
●大ヒットした3代目セレナ
初代セレナは、1991年にデビューしたミニバン「バネット・セレナ」である。従来の商用車ベースの「バネット」を刷新し、長いホイールベースによって広い室内空間と自由度の高いシートレイアウトが特徴のマルチパーパスなファミリー・ミニバンとして人気を獲得。続いた2代目も、ミニバン初の両側スライドドアを採用して人気を堅持した。
そして、2005年にモデルチェンジした3代目セレナは、大きなサイドウインドウと広い開口のスライドドアで利便性をアピール。ミニバンブームの勢いに上手く乗り、2007年にはホンダ「ステップワゴン」とトヨタ「ヴォクシー/ノア」の人気を抑えて、5ナンバーミニバントップの座に君臨する大ヒットとなった。
さらに2010年の4代目も、自動ブレーキやLDW(車線逸脱警報)、ハイブリッドモデルを追加して人気を継続した。
●注目のプロパイロットを搭載した5代目セレナ
人気のミニバンとして成長したセレナは、2016年のこの日、5代目に移行することを発表。同時に、注目の運転支援技術プロパイロットに関する技術発表も行なわれた。
5代目は、ブーメラン型の前後ランプや日産の象徴となっているVモーショングリル、サイドのシュプールラインなどダイナミックなフォルムを採用。パワートレインは、4代目同様2.0L直4 DOHCエンジンとCVTの組み合わせ、さらにハイブリッドも引き続いて設定され、FFと4WDとも先代を上回る燃費性能が達成された。
5代目のアピールポイントは、以下の3つに集約される。
・クラス最大級の室内長と室内幅によって、ゆとりある室内空間と多彩なシートアレンジ
・「インテリジェントパーキングアシスト」、「スマートリアビューモニター」、「アラウンドビューモニター」の3つの機能により運転のしやすさを向上
・同一車線を維持しながら先行車に追従する「プロパイロット」により、渋滞時や高速巡行時にドライバーの運転負荷を軽減し安全性を向上
車両価格は、標準仕様が267.84万円、プロパイロット仕様が291.6万円と、プロパイロット搭載モデルは約24万円高い設定となっている。
●プロパイロットの機能と仕組み
プロパイロットは、信号のない高速道路や自動車専用道路の走行に限って、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動的に制御して、単一車線を維持しながら先行車に追従するシステムであり、ACC(追従機能付クルーズコントロール)とLKAS(車線維持支援システム)の2つの機能を融合したものを基本としている。
・ACC:車速30km/h~100km/hの範囲で、先行車との車間距離を維持する追従走行機能
・LKAS:走行レーンの白線を認識して車線中央を走行するように、ステアリングの操作を支援する機能
同一車線の走行なら、ステアリングを軽く握っていれば、ステアリング操作を自動で操作し、またドライバーが手動に切り替えたいと意識して少しでもハンドルを操作すると、すぐに制御は解除される。
なお当時は、手放し運転(ハンズオフ)に関する法規が曖昧で、原則的に車速10km/h以上の手放し運転は禁止されていたので、セレナでは手放し運転すると5秒後には警報が鳴り、10秒後には自動運転が解除されるように設定されていた。
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その後、ハンズオフは正式に条件付きで認められるようになり、2019年に搭載された進化版「プロパイロット2」では、一定条件下でハンズオフが認められると同時に、ナビ連動ルート走行ができるようになった。現在ハンズオフ機能は、トヨタやホンダ、スバルも採用しているが、一般路での採用は難しいのが実状である。レベル3同様、今後自動制御の運転領域をどこまで拡げることができるか、注目だ。
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