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●「清水和夫を黙らせろ!」から始まった全日本ラリー選手権“再”参戦
御年70歳にして全日本ラリー選手権に挑戦し続ける、国際モータージャーナリスト・清水和夫さん。2021~2022年はヤリスCVT(JN-5)にて参戦していたが、2023年からはマシンをヤリスHEVに変更しJN-6クラスに参戦、電動車の鍛え上げをラリーを通して行っている真っ最中だ。
ちなみに、2台並んだ画像を見て分かる通り、2台ともナンバープレートが「・2 11」となっているのは、清水さんのお誕生日が「2月11日」だから。結構…カワイイ♪
誕生日と言えば、清水さんは今年2024年の2月11日で70歳、古希を迎えた。「古希で現役ラリードライバーとは凄い!」とよく声をかけられるそう。しかし、本人は「まだまだ成長している最中。やることはたくさんある!」と歳を感じさせないことしか言わない。確かに、世の中で2024年で70歳になる方を探してみたら…。
暴れん坊将軍:松平健さん/歌手:松任谷由実さん/野球・中畑清さん、俳優・ジョン・トラボルタさん、ミュージシャン・坂崎幸之助さん、高見沢俊彦さん(THEアルフィー)、タレント・ルー大柴さん、タレント・デーブ・スペクターさん…。
な~んだ、まだまだ70歳は現役で若々しい方ばっかり。なので、古希の星・清水さんにはさらに現役続行してもらわねばいけない!
そもそも清水さんが全日本戦に出るきっかけのひとつは、全日本戦参戦前、いやTGRラリーにチョイチョイ参加する前だったか、「なんだこのヤリスのCVT! パンツのゴムが伸びたような感覚は!!」と批判していたのを聞いたトヨタが、「CVTに文句言ってるこのジャーナリストは誰だ!? ソイツを黙らせろ!!!」と現場に指令が入った…とか。「清水和夫に文句の言われないCVTにしろ!」というお達しが出たことも、全日本ラリー選手権参戦のきっかけのひとつでもあった…らしい(※諸説あり)。
●JN-6クラスは車両制作も安価で参加しやすい
2021~2022年に清水さんが乗っていたヤリスCVTはJN-5クラス。ヤリスの前身ヴィッツ、マツダ・デミオなど、1500㏄以下の前輪駆動車が対象でAT車を含むクラス。参加台数も一番多く、超激戦区でもあり。
対して2023~2024年現在参戦するJN-6クラスは、1800㏄以下のハイブリッド車や電気自動車などのAE車両クラス。ヤリスCVTの他、ホンダ・フィット、CR-Z、トヨタ・アクアなどの車両が参戦している。ちなみに、このAE車両の“AE”ってなんだ?と思って関係者に聞いたり調べたりしたが、誰も知らず、どこにも出てこなかった。“Automotive Electronics”かと思うが確信は…無し。
ワークス系バケモノマシンも多く一番注目されるJN-1(GRヤリス、シュコダのラリー2車両など)や、JN-2(GRヤリスやWRX STIなど)、またJN-3(GR86やBRZのFR車)などに比べると、JN-5もJN-6もごく身近な車両で、価格やパワー、ラリーカー仕様への製作費用もそこそこ。入門クラスとしても適している。
JN-6車両について清水さんはこう語ってくれた。
「ヤリスHEVはまず、燃費がいいからスタンドで入れる燃料がCVT(※2021~2022年)の時の半分。それと、バッテリーをどう使うか?というのは凄いポイント。ハイブリッドだからバッテリーは1kWhもないくらい大きくはない。が、小さいながらもそのバッテリーにどうやって電気を溜めるか等、そこに細かいノウハウがどうもありそう。それは技術屋さんと一緒に探りながら今、考えてるところ。だいぶ見えてはきたけどね」。
●ヤリスCVT時代から続くライバル・天野選手との戦い
最大のライバル、豊⽥⾃動織機・天野智之選手とのバトルはヤリスCVTのJN-5クラス参戦時から始まっている。
「とにかく、差を詰める! だから今、目指しているのは、今年1年かけて天野智之選手とどこまでガチで争えるか、だ。確実に同レベルか勝てるっていうコースもあるけど、逆にココはオレが遅くてダメっていうところがある。なので、天野選手に対して負けているところを明確にして、ソコを克服しないと天野選手を抜いての本当のチャンピオンにはなれない」(清水)と、2024年5月に行なわれた第4戦「YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg(通称:ラリー京丹後)」クラス優勝後に、天敵?最大のライバル天野選手との差について語っている。
JN-6クラスになってからの2023シーズン、シリーズ優勝は天野智之選手(豊田自動織機・DLアクアGR SPORT)だった。2位が海老原孝敬選手(スマッシュ DL itzz フィット)で、3位が清水和夫選手(SYE YARIS HEV)。「3位なんかじゃダメなんです!」と言ったかどうかは…知らんけど。
2024シーズンの途中経過では、トップが天野智之選手(TRT・DLアクアGR SPORT)、2位が清水和夫選手(SYE YARIS HEV)となっている(7月5日~7日2024 ARK ラリー・カムイ終了時点/海老原選手は6位)。「2位じゃダメなんです!」よね。
●差は徐々に縮まってきた!
ではここで、2023全シーズンと2024シーズン(第6戦終了時点)での、天野選手と清水選手のタイム差を見てみよう。
★2023年
★2024年
赤字で記した“天野選手に勝っているSSや、負けているSSでのタイム差も、確かに「な、詰まってきただろ?」(清水)。
ラリー・カムイ前に聞いた話。
「北海道グラベル(未舗装路)2戦の作戦っていうか、ターマック(舗装路)のラリーとはまず路面が違う。スペックも車高上げて、足もタイヤも変わるから、今までのターマックとはクルマが全く違う仕様になる。カムイを走るのは初めてだからオレも頭の中が赤ちゃん状態。手探りっていうか、最初からペースを上げるっていうことは考えられない。とにかく自分の経験値を上げないといけない。それである程度グラベルのことが分かったら、第7戦 9月6日~8日『RALLY HOKKAIDO』で勝負だな!」
それでも2024 ARK ラリー・カムイはクラス2位!
さて、清水和夫さんの戦い、2024年も残すところあと2戦を残すのみ(第7戦 9月6日~8日「RALLY HOKKAIDO」/第8戦 10月18日~20日「第51回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2024 supported by KYB」 )。
さぁ、シリーズではどうなるか? どこまでトップの天野選手に近づけるか??
「応援してくれ!!」(清水)