成形したパネルの反りを抑制し、パネル成形精度を向上させた点が高く評価
日産が実用化した「対向式ダイレス成形」は、棒状の成形工具を取りつけたロボットが、パネルを徐々に変形させて成形する「インクリメンタル成形」技術を用い、工具を対向側にも配置することにより、複雑な形状の成形を可能とした工法だ。この工法は、従来のプレス成形に比べて多品種少量生産に適しており、日産は現在、生産が終了した旧型車の補修部品の成形に適用している。
今回の研究では、同工法で成形したパネルの反りを抑制し、パネル成形精度を向上させた点が高く評価された。具体的には、品質工学を活用した実験により、成形後にパネルが反るメカニズムを解明するとともに、工具の形状や動かす速度といった成形時の各種条件を、高いロバスト性と効率性を両立させて最適化した。こうした取り組みにより、成形後のパネルの反りを抑制して、寸法精度を大きく向上させた。今回の受賞テーマと受賞者は以下のとおり。
●受賞テーマ
インクリメンタル成形におけるパネル成形精度向上に向けた反り抑制条件の設定
●受賞者
小林義洋(こばやしよしひろ)、吉田智行(よしだともゆき)、西野眞司(にしのしんじ)、會場達夫(あいばたつお)、長井圭祐(ながいけいすけ)、佐田和美(さたかずよし)※敬称略
「品質工学賞発表賞」は、品質工学の研究を奨励し、技術の発展と社会の充実に貢献することを目的として、精密測定技術振興財団が贈呈。日産は、2018年にも「鋳造製造技術での品質向上の取組み」で「品質工学賞発表賞 銀賞」を受賞している。