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暑すぎると冷房もなかなか効きかない…そんなときどうする?
真夏の炎天下の車内温度は、エンジン停止後わずか30分で40℃以上にまで上昇し、1時間も経てば条件次第では50℃に達することもある。
こうした夏場の車内温度上昇への対策はいくつかあるが、大きく分けると「車内温度の上昇を防ぐ方法」と「車内温度を効率よく下げる方法」の2通りのアプローチがある。
車内温度上昇を防ぐ方法としては、日陰に駐車したりサンシェードを使用するのが効果的だ。窓を少しだけ開けておく方法もあるが、イタズラや車内に侵入する虫には注意したい。
車内温度を下げる方法としてもっとも効果的なのは、もちろんエアコンの使用だ。
しかし、車内温度が高すぎる場合はエアコンをつけてもなかなか車内は冷えない。エアコンを効率よく効かせるためのには、先に車内の熱気を抜いてやることが肝心となる。
カーエアコンを効率的に働かせる方法
車内の熱気を抜く方法のひとつとして、ドアの開閉で車内の熱気を押し出す方法がよく挙げられる。
具体的には、車内の窓を1箇所だけ開けて、その対角線上のドアを数回開け閉めすると、空気の流れができて車内の熱気を排出できるという仕組みだ。
ただし、確かに車内温度は下がるが、熱気をいくらか和らげる程度の効果しかない。そのうえ、ドアの開閉音が周囲に響くため使いどころを考えないといけないうえ、炎天下で実際にやってみると体温が上昇し汗もかく。
車内温度を素早く下げるには、あれこれせずエアコンを作動させたらすぐに走り出す。これがもっとも効果的だ。
はじめは我慢が必要だが、走り出してしまえば走行風を使ってドアの開け閉めよりも効率的に熱気を抜くことができる。また、走行風によってエアコンコンデンサの温度も下がるためエアコンも効きやすい。
実際にJAFが実施したユーザーテストでも、数ある方法を試したうち「エアコン+走行」がもっとも早く車内温度が下がったと報告されている。
車内温度を素早く下げる窓と外気導入/内気循環の使い方
エアコンを最低温度・風用最大にして、窓を全開にするだけでも車内はすぐに涼しくなる。
だが一刻も早く灼熱地獄を抜け出したいなら、より効率的な「窓の使い方」と「エアコンの使い方」を覚えておこう。
エアコンを使いながら窓を開けて熱気を抜く
走行中のクルマの周辺は負圧が発生する。窓を開けて負圧を上手く利用すれば窓を全開にするよりも早く車内の熱気を抜くことが可能だ。
4つのドアに開閉可能なウィンドウが備わるクルマなら、対角線状の窓を開けるようにしよう。後席の窓を全開にして、その対角線上にある前席の窓を半分くらい開けるようにすると、それぞれの窓付近に圧力差が生じてより車内の空気が抜けやすくなる。
電動サンルーフ付きのクルマはチルトにしておくとより効率よく空気が抜ける。窓が2つしかない2ドア車などは、左右窓の開き具合を変えてやるとよいだろう。
ポイントは走行風を取り入れることよりも、空気を抜くことだ。この方法は車内の換気にも有効となる。
窓の開け具合による空気の抜けはクルマの形状や速度によっても異なるため、事前に最適な開き具合を探っておくとよいだろう。速度と窓の開き具合が上手く決まれば、車内を風が一定方向に流れていくのを肌で感じ取れるはずだ。
はじめは内気循環よりも外気導入のほうが冷える
もうひとつのコツは、エアコンを作動させながら設定を外気循環にしておくことだ。
エアコン使用時は内気循環にしておくのが一般的だが、車内が極端に熱い場合は少しでも温度が低い外気を取り入れて冷やすほうが車内は早く冷える。
実際にJAFのユーザーテストで内気循環固定と外気導入固定で車内が冷える早さを比べたところ、最終到達温度は内気循環の方が低かったが、最初の数分間は外気導入固定のほうが温度降下が早かったとの結果が出ている。
体感で車内温度が外気温と同じくらいになったら外気導入から内気循環へと切り替え、同時に窓も閉めよう。後は普段どおり内気循環でエアコンを作動させておけば、車内はすぐに涼しくなる。
エアコンの使い方にはコツがある
最も早く車内を冷やす手順は以下のとおりだ。
- 温度最低/最大風量/外気導入でエアコンON
- 前後対角線上の窓を開ける
- 走り出す
- 車内温度が下がってきたらエアコンを内気循環に切り替える
- 窓を閉める
クルマに乗り込んだ瞬間は熱気を感じるが、走行開始後すぐにある程度の速度を出して走れるのであれば、ものの数分で車内は快適温度まで下がるだろう。
ただし、長時間にわって車内に直射日光が当たっているとハンドルやシフトノブが加熱され運転ががままならないときもある。
こういった場合は濡れたタオルなどで拭き上げ、気化熱で冷却を促してやるとよいだろう。しかし、その間は灼熱の車内で過ごすことになる。
そうならないよう、停車前にサンシェードを使用したりハンドルやシフトノブにタオルをかけるなどして、すぐに走り出せる環境をあらかじめつくっておくことも大切だ。