「放置駐車違反金」を滞納すると、財産の差押えをくらう可能性もあり!
2019年の放置駐車違反車両への「放置車両確認標章」取り付け件数は110万1499件(うち駐車監視員によるものは75万4939件)。そのうち、92万3010件が放置違反金の納付命令を受けている。つまり、残りは正直に警察に出頭し、交通反則通告制度(青切符)を適用されているということだ。以前、当コーナーでも「出頭しない方がお得」ということはお伝えしたが、いまだに多くの人が反則金を科せられた上に1~2点の行政処分を受けているというのは驚きだ。
ちなみに、通常は一時停止違反などの反則行為を犯しても「交通反則通告制度」(反則金制度)の適用を拒否し、正式裁判を要求すれば、書類送検されたとしても99%は不起訴処分(推定無罪)になりチャラになる(行政処分は逃れられないが)と言うのが現状だが、駐車違反の場合は、それでは終わらない。結局は、使用者(所有者)が責任を問われ、「放置違反金納付命令」を受けることになる可能性がのだ。
で、その「放置違反金」だが、2019年の放置違反金滞納者に対する滞納処分が1万3091件、実施されている。
「放置駐車違反に対する責任追及の流れ」を見てみよう。
というわけで、反則金の方は、最終的に裁判を起こされる可能性がある、というのは通常の流れだが、もし、不起訴処分となり運転者の責任を問うことができなくなった場合は、なんと、改めて使用者(所有者)の責任が問われることになるということが、この図からわかるハズ。
さらに、「放置駐車違反金」を滞納すると、最終的に「車検が受けられなくなる」というのはなんとなく知っているとは思うが、督促状を受け取ったにもかかわらず、これを無視すると、なんと、「滞納処分」を受けることもある。要は、財産の差し押さえってやつ。TVやネットニュースで時々、報道されている、アレだ。「車検の期日がくるまでほっとこう」とか「どうせ次の車検前にクルマを手放すつもりだし」とか「250ccのバイクは車検ないから関係ないし」なんて高をくくっていると、突然、執行官が乗り込んでくるかもしれないということだ。
2019年の警察庁交通局の発表によると、放置違反金を納付せずに、車検拒否となったのは、1万4484件、さらに、放置違反金納付命令を繰り返し受けた常習違反者に対する車両の使用制限命令は2029件だった。
悪質な駐車違反に関する責任追及の例として、つぎの2例が挙げられている。
●パーキングメーターの料金支払いを免れる目的で、パーキングメーターに虚偽の情報を与えて駐車し、不正に作動させて管理会社の業務を妨害したとして、男性3名を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。
●放置違反金の納付命令後の督促状の送付を受けながらも納付しない悪質滞納者に対して、財産調査を行なったうえ、道路交通法に基づき仮想通貨の返還請求権の差押えによる強制徴収を実施した。
とにかく、「放置駐車違反金制度」というのは、出頭しなければ反則金や行政処分(基礎点数)から逃れられるというメリットもあるが、実は、その基本コンセプトは「逃げ得を決して許さない」ということ。たかが駐車違反、されど駐車違反。やむを得ず駐車禁止場所にクルマを駐め、「確認標章」を取り付けられてしまったら、下手に抵抗せず、お金で済ましてしまったほうがいいのかもしれません。
注・使用者とは、車両の使用権限を有し、車両の運行を支配・管理する「車両の使用者」のことをいう。通常、所有者でもある場合が多い。