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EV専用非対称パターンによって氷雪上性能と耐摩耗性能を高次元で両立。同社汎用スタッドレスタイヤ「M919」と比べて転がり抵抗を15%低減しつつ、耐摩耗性能を38%向上
日本国内のCO2排出量のうち、部門別では運輸部門が全体の約2割を占め、物流業界ではモーダルシフトなど脱炭素化に向けた取り組みが本格化している。商用車メーカー各社もEVトラックのラインナップを強化しており、短距離輸送を主体とした小型車両のEV化が進行中だ。また、大手の荷主や運送会社に対し、輸送手段における「非化石エネルギー」への転換が義務づけられたことから、EVトラックは今後さらに需要の増加が見込まれている。
EVでは航続距離が重視され、タイヤにはこれに貢献する「低電費」性能が求められる。とくにEVは、バッテリー搭載による車両重量の増大、パワフルな駆動力による加速性能の向上、回生ブレーキの使用などの特徴を持つため、タイヤに対する負荷が高くなる。このような車両の特性や市場ニーズを考慮し、トーヨータイヤは小型EVトラック専用のスタッドレスタイヤを開発した。
新商品「ナノエナジーM951 EV」は、EV専用非対称パターンを採用し、氷雪上性能と耐摩耗性能を高次元で両立。ブロックを大型化することで剛性を高め、また高密度に配置されたサイプによりアイス性能も確保した。さらに、耐摩耗NCPコンパウンドを採用し、低電費性能と耐摩耗性能の向上を追求している。なお、ビードワイヤーには環境に配慮した再生素材が用いられている。
同社は今年6月に発売した「ナノエナジーM151 EV」と、このたび発表した「ナノエナジーM951 EV」により、今後活用拡大が見込まれる小型EVトラックの社会的な貢献を足回りから支えていく。また、引き続き、専門的な知見を蓄積し、ユーザーの課題解決や社会の要請に応えるトラック・バス用タイヤの開発と普及に注力していく方針だ。
トレッドパターン設計
小型トラックが活用される小口配送においては、ストップ&ゴーの頻度が高く、また、EV特有の高トルクによる早期摩耗を抑制する必要がある。ナノエナジーM951 EVは、リブ(縦溝)パターンによって耐摩耗性能の向上を図りつつ、大型ブロックパターンに高密度ウェーブ3Dサイプを配置して、高トルクに対応するトラクション性能と氷雪上性能を発揮する。
配合設計
トーヨータイヤ独自の材料設計基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」を活用。さらに、ゴムコンパウンドのエネルギーロスを低減できる独自のプロセス技術「Nano Composite Polymer(ナノ・コンポジット・ポリマー)」を用いて、最適なコンパウンドを設計。同社現行商品(汎用スタッドレスタイヤM919)比で、転がり抵抗を15%低減したうえ、耐摩耗性能を38%向上させた。