フォルクスワーゲン(以下VW)のタイロンは現在、中国市場にてクーペSUVのタイロンXとともに販売されているが、次期型では中国市場専売を離れ、グローバルモデルとしてリボーンする。つまり中国では第2世代となるタイロンは、ヨーロッパでは初代タイロン、米国では第3世代のティグアンとして販売される可能性がある。またグローバルモデルとして販売が計画されていることから、今後、日本を含むアジア地域での販売も検討される可能性がありそうだ。
VWは2023年9月、ベストセラーSUVであるティグアンの新型を発表した。しかし、7人乗り仕様の“オールスペース”は含まれておらず、このプロトタイプが“オールスペース”の後継モデルとなるようだ。
新型タイロンは、欧州ティグアンよりも長く、広々としており、ティグアンとトゥアレグの中間に位置する。VWはタイロンを「洗練されたオールラウンダー」と表現し、ドイツのヴォルフスブルクで開発されたことを発表している。
ティザー動画では、タイロンのリヤエンドが強調され、全幅のテールライトのアニメーションLEDグラフィックと、点灯するVWエンブレムが紹介されている。
中国工業情報化部(MIIT)から流出したEU仕様のタイロンを見ると、中国仕様のタイロンLのデザインを踏襲する可能性が高い。また、MITの資料によると全長4735mm、全幅1860mm、全高1680mmとされており、ティグアンより20cm近く長いほか、全幅、全高も大型化されている。またホイールベースを11cm延長して2791mmにすることで、3列目シート用に十分なスペースが確保されている。
量産型では、ティグアンとパサートの基盤となっている“MQB Evo”プラットフォームを流用、中国仕様のタイロンLは、1.5Lと 2.0Lのオプションを含む、従来の内燃エンジンの選択肢を提供しているが、欧州仕様のタイロンは電動化を採用する可能性がある。ヨーロッパのVWの他のラインアップから推測すると、タイロンのオプションにはマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドのパワートレーンが含まれる可能性があるが、通常のガソリンエンジンとディーゼルエンジンも提供されるものと予想されている。また、最も強力なPHEVセットアップは最高出力272psを発揮し、100 km(62マイル)の航続距離を実現するという。
10月10日のヨーロッパでの発売が近づくにつれて、さらなる詳細が明らかになるだろうが、米国仕様のティグアンが同じ時期にデビューするかどうかも注目され、欧州タイロンの機能と仕様が北米市場にどう反映されるかも興味深い。