1300ccクラスで3列シート7人乗りのコンパクトミニバン「セニア」とは? ダイハツはインドネシア第2位の人気メーカー!

日本車が大きなシェアを持つことで知られるインドネシアで、2024年7月18日~28日の期間、国際モーターショー「ガイキンド インドネシア国際オートショー2024(GIIAS2024)」が開催された。筆者が会場を巡り出会った、日本には無い"日本車"たちを紹介したい。
REPORT&PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro)

ダイハツはインドネシアで生産台数・販売台数2位のトップブランド

ダイハツは2023年のインドネシアで、現地生産台数及び新車販売台数のいずれも2位につける定番ブランドのひとつだ。現地ではトヨタ向けの車両供給も行っており、圧倒的な人気を誇るトヨタを影で支える黒子でもある。

そのダイハツのラインアップには、ロッキーのように日本と同じ車種もあるが、多くは新興国市場向けの海外専売モデルである。そのひとつが、今回の主役、3列7人乗りコンパクトミニバン「セニア」だ。ダイハツとトヨタが共同開発し、初代モデルを2004年に市場投入。歴代モデルはいずれもインドネシアで生産されてきた。まさにインドネシアのダイハツの顔と呼べるモデルなのだ。

初代セニア(2004年)
2代目セニア(2011年)

10年ぶりにフルモデルチェンジしてDNGAを採用

最新型となる3代目は、2021年11月に発表発売された。10年振りとなる全面刷新を図った現行型の最大のポイントは、ダイハツの新世代車作り「DNGA」による初のBセグメントコンパクトカーとなったことだ。これにより基本骨格から見直しが図られ、初代と2代目がFRレイアウトだったのに対して、FFレイアウトに改められている。

セニアR ADS。GIIAS2024で初披露されたセニアのスポーティ仕様となる最上位グレードだ。

新世代モデルとして、エクステリアも従来までの落ち着いたイメージを刷新し、スタイリッシュなものに生まれ変わらせた。今回のショーでは、上級グレード「R」をベースとしたスポーティ仕様の最上級グレード「セニアR ADS」が初披露された。その特徴として、ブラックルーフを始め、ガンメタリックのアクセントパーツを備えたエアロパーツや前後バンパーのクロームガーニッシュなどを追加するドレスアップを行っている。

シャープなLEDヘッドライトと薄型のフロントグリル、大型のロワグリル付きのフロントバンパーによる顔立ちは、ミニバンらしからぬ、なかなか精悍なもの。確かにボディフォルムは、ミニバンであることを示しているが、ボディサイドの強いキャラクターラインも堅牢さや安定感ある走りを予感させる。

フロントバンパー下部にスポイラーを追加し、スポーティさを増したセニアR ADS。

リヤスタイルも、フロントマスク同様に、シャープなデザインのLEDテールランプが与えられている。全体的に、フレッシュさもあるが、頼りがいや骨太さも強く感じさせるデザインだ。また上級グレード「R」には、フロントグリルとヘッドライト上部に赤のストライプが加えられているのも特徴のひとつだ。

セニアのボディサイズだが、全長が4395mmでホイールベースは2750mmとなる。

ボディサイズは、全長4395mm×全幅1730mm×全高1690mmと、ホンダフリードに近いサイズだが、ボディがややワイドでルーフが少し低い分、よりスタイリッシュに映るようだ。日本では、DNGA-Bプラットフォームを採用するモデルは存在しないが、インドネシアなどで展開される日欧とは異なる形式とデザインを持つヤリスクロスにも使われている。

1.5L直列4気筒DOHC16バルブ デュアルVVT-iガソリンエンジン。この他に1.3Lガソリンエンジンも用意する。

パワートレインは、1.3Lと1.5Lエンジンの二本立て。いずれも直列4気筒DOHCで、デュアルVVT-i仕様となる。その性能は、1.3Lエンジンが最高出力97.9ps/6000rpm・最大トルク12.4kgm/4200rpmを、1.5Lエンジンが最高出力106ps/6000rpm・最大トルク14.1kgmをそれぞれ発揮する。トランスミッションは、セニア初のCVTかつダイハツ最新のCVT「D-CVT」に加え、5速MTの選択も可能だ。

1.5Lエンジン車の場合、タイヤサイズは195/60R16で、展示車両はダンロップ・エナセーブを装着。1.3Lエンジン車は、インチダウンの185/65R15となる。

派手さはないがモダンにまとめられたインテリアデザイン

赤いストライプがアクセントに使われるダッシュボードデザイン。写真はCVT車のもの。

ダッシュボードデザインはシンプルかつプレーンなものだが、デジタル表示のエアコンやディスプレイオーディオとのバランスが良い現代的なスタイルに纏められている。シフトレバーの位置がインパネシフト風にも見えるが、正統な(?)フロアシフトだ。

メーターパネルは、センターにインフォメーションディスプレイを備えたアナログ2眼式。Rグレードだけに、ディスプレイオーディオも9インチと大きめだ。

3列7人乗りのキャビンは、2+3+2のシートレイアウトで、2列目と3列目がフルフラット対応となる。後席の快適性を高めるべく、ルーフ部には後席用ブロワーが全車に標準装備されている。
内外装共に、派手さはないものの、若い世代を強く意識したことをうかがわせるモダンなデザインだ。

フロントシート
セカンドシート
サードシート
ラゲッジスペース。2列目は4対2対4、3列目は5対5の分割可倒式でフルフラットにできる。

現地での販売価格は?

ADAシリーズは、2億5025万ルピア(約235万円)~2億8385万ルピア(約267万円)となっている。標準車の価格だが、「1.3M MT」で2億2265万ルピア(約223万円)からとなっており、1.5車の最上位グレード「1.5R CVT」が2億6845万ルピア(約252万円)という設定だ。ちょっとお高めなADAだが、ドレスアップの内容を考慮すれば、そう高くはないだろう。

インドネシアの乗用車市場では、近年、3億ルピア以下の車両の需要が伸びており、その中でミニバンの占める割合が大きくなっているとのこと。ダイハツでは、ひと回り小さいミニミニバン「シグラ」とタウンエースバンをベースとしたミニバン「ルクシオ」の3車種を展開している。

ルクシオ。その1.5BOXのスタイルは、初代タウンエースノアを彷彿させる。

2024年の8月末までのダイハツ新車販売では、シグラが全体の33%を占める3万8837台を販売してトップとなった。シグラはセニアよりも小さい3列7人乗りミニバンで、価格も1億3900万ルピア(約131万円)から1億7880万ルピア(約168万円)と、グッと抑えられている。

アストラダイハツ・シグラは全長4110mm×全幅1655mm×全高1600mmと、セニアよりもひと回り小さい。ガソリンエンジンも、1.0L直列3気筒と1.2L直列4気筒の2種類となる

セニアは最上位ミニバンだけに、ADSを設定するなどの内容を重視していることがうかがえる。それだけに今後の成長が期待される1台といえそうだ。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…