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■480psを発生するモンスタースポーツR35型GT-R登場
2007(平成19)年9月26日、日産自動車は新型「日産GT-R(R35型)」の発表を行い、先行予約を開始した(発売は12月6日)。名車「スカイラインGT-R」の走りの血統を継承したGT-Rだが、このモデルからスカイラインの冠が外れ、日産GT-Rと名乗るようになった。
3代目スカイライン“ハコスカ”で初めて設定されたGT-R
GT-Rを初めて名乗ったのは、1969年に設定された3代目スカイライン“ハコスカ”の「スカイライン2000GT-R(10型)」である。さらにそのルーツは、第2回日本グランプリに参戦するために2代目スカイライン1500をベースに、ワンランク上のグロリアの2.0L直6エンジンを搭載した「スカイラインGT」まで遡る。
スカイラインGT-Rは、デビューの年のJAFグランプリレースで優勝を飾り、以降1972年まで国内レースで破竹の49連勝という金字塔を打ち立て、ここに速くて強いスカイラインGT-Rの歴史が幕を開けた。
スカイラインGT-Rは、続いて1973年の4代目“ケンメリ”でも110型GT-Rが設定されたが、排ガス規制に対応できず、わずか3ヶ月という短命モデルに終わった。その後、一時GT-Rの名は封印されたが、1989年にエンジンを2.6Lに拡大したツインターボ“RB26DETT”を搭載したスカイラインGT-R(R32型)が復活した。
その後、9代目R33型(1995年~)、10代目R34型(1999年~)とスカイラインGT-Rがラインナップされたが、2002年に強化された排ガス規制に上手く対応できずに、スカイラインGT-Rは一旦生産を終了することになった。
V6ツインターボ(VR38DETT型)を搭載しパワーアップしたR35型
そして、5年のブランクを経て2007年に登場したのが、R35型GT-Rであり、それまでのスカイラインの冠が外れて、日産GT-Rを名乗ったのだ。
最大の特徴は、エンジンがそれまでの2.6L直6ツインターボ(RRB26DETT型)から、3.8L V6 DOHCツインターボ(VR38DETT型)に変更されたこと。最高出力は、R34型の280ps/最大トルク40kgmから480ps/60kgmへと大幅に向上し、トランスミッションは6速DCTで最高速度は300km/hを超えた。
スタイリングは、より流線美が強調され、円形テールランプはスカイラインGT-Rからの伝統を継承。フロント縦置きエンジンのフロントミッドシップレイアウトで、駆動方式は電子制御トルクスプリット(アテーサ4WD)システム、サスペンションは4輪マルチリンク、ブレーキはイタリア・ブレンボ製のベンチレーテッドディスクと、基本仕様は先代と同じだが、エンジンのパワーアップに対応した改良が加えられた。
車両価格は、標準グレード777万円、プレミアムエディション834.75万円。当時の大卒の初任給は、19.8万円(現在は約23万円)程度なので、単純計算では現在の価値で標準グレードが約903万円に相当する。
R35型は進化を続けているが、次期GT-Rは電動化か!?
その後もGT-Rは進化を続け、最新の最高出力は570ps(NISMO仕様で600ps)/最大トルク65kgmまで向上。さらに、2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」でGT-Rの2024年モデルが公開され、大きな注目を集めた。課題だった車外騒音規制については、エンジン制御や排気管形状、サイレンサーの最適化によってクリアし、標準グレードの車両価格は1375万~2915万円と、初期モデルの2倍近く高額になっている。さらに、今春(2024年)には、ブラッシュアップされた2025年モデルも発表された。
ただし、ピュアエンジンのGT-Rは、これで最後になるかもしれない。次期車の確かな情報はないが、次期GT-Rがあるとすると、2027年か2028年に電動化(EV?)となる情報が流れている。
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国産最高性能を誇ったR35型GT-Rは、モータースポーツでも大活躍を見せ、国内外のGTレースでは圧倒的な速さと強さを見せた。R35型の誕生によって、スカイラインから決別して日本を代表するモンスタースポーツへと生まれ変わったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。