セリカLBオーナーが雨の日用に買った2.8GT! 壊れないから安心して乗れるセリカXX2800GT! 【喜多方レトロ横丁 レトロモーターShow】

ネオクラといえばリトラ、というくらいリトラクタブルヘッドライト車の人気は高い。中でも直列6気筒エンジンを搭載するセリカXXはその後のスープラ含めてド定番な1台。とはいえ当時3ナンバーになる2800GTは非常にレア。喜多方のイベントで現役の2800GTを発見した!
PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
1981年式トヨタ・セリカXX2800GT。

日本国内では2代目に当たるA80スープラの中古車価格が高騰して久しい。映画の影響で人気が火がつき、それが海外まで波及した結果、中古車相場は鰻登りになってしまった。2019年に現行モデルが発売された後も人気は続いているので、もう相場が元に戻ることはないだろう。そのスープラのご先祖とも呼べるのがセリカXX。初代は1978年に発売されたラグジュアリーモデルだったが、2代目は一転してスポーツ路線へ変更。これはラグジュアリー路線をソアラが引き継いだためで、セリカXXには別の価値が必要とされたことへの転換だった。

マフラーだけステンレス製に変更している。

ただ、初代セリカXXから現行スープラまで一貫して変わらないのが直列6気筒エンジンを搭載すること。初代は2リッターと2.6リッターのSOHCでスタートし、マイナーチェンジで3ナンバー車が2.8リッターへ拡大。とはいえこの当時は3ナンバー車に高額な税率が適用されていたため、国内での販売はごくわずか。その多くがアメリカなどの輸出向けだったと言っていい。

ヘッドライトをポップアップすると精悍な表情。

セリカXXは1981年にフルモデルチェンジを受けて2代目へ進化する。この時から3ナンバー車の搭載エンジンが2.8リッターDOHCの5M-GEU型へ切り替わる。国内での主力である2リッターエンジンは発売翌年にターボを追加。さらに半年後にはDOHCの1G-GEU型を追加してスポーツ路線をより鮮明にした。スタイルも大きく変わり、初代の丸みを帯びたものから一転して角張ったデザインを採用。さらにリトラクタブルヘッドライトを採用したことでまるで別のモデルになった。発売当初はフェンダーミラーしか認可されていなかったため、後付けのドアミラーが大いに売れた時代でもあった。

純正アルミホイールを履き続けている。

販売の主力は1G-GEU型を搭載する2000GTに変わり、1983年のマイナーチェンジ時には認可されたドアミラーが標準装備とされる。そのため現存する多くの2代目セリカXXは後期型の2000GT。SOHCモデルや前期型は部品取りにされてしまうことが多く、良い状態で残っているものは少なくなった。前期ではテールゲートが黒く塗装されていたが、後期になるとボディ同色になる。またテールランプのデザインも異なり、前期は下写真のデザインだが後期は横へ溝が掘られバックアップランプの位置が内側へ寄せられる。

前期型テールランプは後期型とデザインが異なる。

2024年7月に福島県喜多方市で開催された「喜多方レトロ横丁 レトロモーターShow」の会場には多くの国産旧車が並ぶことになり、その一角にトヨタ車ばかりが連なっていた。そのうちの1台が今回のセリカXXで珍しいことにフェンダーミラーのままの前期型。これは話を聞かなければと近くにいたオーナーへ話しかけると、さらに珍しい2800GTであることが判明した。

直列6気筒DOHCの5M-GEU型エンジンは2759ccの排気量。

セリカXX2800GTのオーナーは66歳になる池澤武志さん。喜多方から遠くない山形県在住の方で、セリカXXは2台目の趣味グルマとして入手されている。というのも長らく初代セリカLBを所有されていて、真夏や雨の日でも乗ることができる旧車としてセリカXXを選ばれたのだ。事実、この日も昼過ぎから雨が降り始めたが、そもそも雨の日用なので気にすることなく展示され続けていた。

ステアリング含めノーマルを保つインテリア。

この個体はそもそも東京で新車登録されたもの。それを仙台の人が譲り受け数年乗るものの、さらに池澤さんが住む場所の隣町の人が引き継ぐこととなる。隣町の前オーナーと池澤さんは知り合いだったことから、20年ほど前に譲り受けることになった。都合4人目のオーナーということになり、これだけ履歴がはっきりしているためか、ほぼノーマルのままを維持されている。

80年代に流行したデジタルメーター。

池澤さんが手に入れた時点での走行距離は6.8万キロほどだった。それから20年を経て走行距離は15万キロを超えた。積雪のある冬場は乗らないことを考えると、そこそこ走っているといえる。それもこれも旧車イベントへトヨタ車仲間と出向くことが多いからで、この日も旧知のカリーナオーナーやレビン・トレノオーナーたちと歓談されていた。

新車時のオプションでトヨタ初の装備であるナビコンを装備していた。

購入後に8万キロ以上を走ったことになり、その間には当然トラブルにも遭われたことだろう。そう聞けば一度だけ走行中にラジエターホースへ亀裂が入り慌てたことがあるそう。ところが目と鼻の先にホームセンターがあったので、カッターを買って亀裂部分をカット。多少短くなったもののラジエターホースを再接続してことなきを得たそうだ。

ナビコンはオーディオ上のパネルで目的地の方角をセットする。

さらにラジエター自体がパンクしてしまったこともあるが、それ以外はほとんど故障することがなかった。過去のオーナーたちが手厚くメンテナンスを続けられたこともあるが、それなりに走らせていることが好調を維持する秘訣のようだ。入手時にはスタッドレスタイヤを履いていたが、雪の日に乗るわけでもないのでタイヤは即交換。冬季以外はできるだけ乗るようにされているとか。

バーガンディの内装も80年代らしい。

雨の日や真夏のイベント用として手に入れたセリカXXだが、実は暑さに弱いという。ラジエターがパンクしたのもそのためと思われ、事実真夏の午前中に乗ってガレージへしまうと夕方まで熱いままだという。1G-GEUの2000GTならそこまで熱は持たないから、2800GTならではのことだろう。どんなに良くできたクルマでも40年以上前の個体なのだから、手入れと同時に日頃の気遣いも大事だということだろう。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…