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ディーゼルエンジンは日本市場ではあまり馴染みがなく、現時点で設定している日本メーカーはマツダ車や、トヨタ、三菱の一部のモデルに限られている。一方で欧州勢は積極的にディーゼルをラインアップに取り揃えてきたが、ここのところEV、PHEVなどの電動車がトレンドで、欧州でもディーゼルへの風当たりが強くなってきている。
ただ、ディーゼルには燃費が良く経済性が良い、航続距離が長い、トルキーな走りなど魅力は多い。
今年の春に筆者の家族は初めてのディーゼル車を購入し、これまで色々なところへドライブしてきた。そこで今回は、燃料代が安い、航続距離が長いというこの2点の魅力について実際のデータとともに検証する。
購入から9ヶ月での走行距離は1万7323km!
BMW3シリーズを購入して、9カ月が過ぎた。
購入したのはBMW 320d Mスポーツである。
エンジンは、B47型2.0ℓ直4ディーゼルターボでパワースペックは最高出力:190ps(140kW)/4000rpm 最大トルク:400Nm/1750~2500rpmである。トランスミッションは8AT(ZF 8HP)との組み合わせだ。
また現行型からは4輪駆動(xDrive)のみの設定となった。このxDriveは、走行中にセンサーが常に路面状況を検知し、車両速度やドライバーのステアリング操作に応じて、電子制御で前後トルク配分を最適化することで、常に安定した走行を実現し、快適性を高めている。安定走行時には、後輪にほぼ100%エンジン・トルクを配分することも可能だ。北陸の福井県に住んでいることから雪を考えるとディーゼルとxDriveの組み合わせは大歓迎だった。
さて、ここ9カ月での走行距離は1万7323km。コロナ禍ということもあり、必要な長距離移動はほとんどこの一台で行なった。
記憶にある長距離移動だけで、福井〜秋田の往復が3回、福井〜川崎が3回、福井〜福岡、福井〜高知と、とにかく走った。また地方在住ということもあり、長距離だけでなく毎日の脚としても使用している。
現行320dの平均燃費はWLTCモードで15.3km/ℓだ。JC08モード燃費は18.9km/ℓとなっている。
ディーゼルは、長距離になるだけ燃費が良くなるというが実際の燃費はどうだろうか。
福井〜川崎、福井〜秋田、福井〜福岡を走り実燃費を計測する
筆者は、Motor-Fan.jp編集部員として普段は、地元福井県でリモートワークを行なっているが、7月の初旬、どうしても上京しなければならない用事があり、福井から川崎へ車で移動した。その際に実燃費を計測した。
北陸道の福井北インターから東名川崎インターまで、それぞれ高速道路に乗る直前と降りた直後に満タン給油し、その間の使用燃料を調べた。ドライブモードは「COMFORT」(つまりノーマルモード)で、速度は周囲のクルマに合わせながら走った。また途中のサービスエリアで2度の休憩を挟んだ。その日の天候は雨だった。
ガソリンスタンドの間の距離は、497km。その間に使用した給油量は20.88ℓ。そのガソリンスタンドの軽油単価は、129円だった。
満タン法で計算すると、
497km÷20.88ℓ=23.80km/ℓ
23.8km/ℓは好成績だ。
燃料代は2694円だったので1km走るのに5.4円だったというわけだ。
レギュラー150円/ℓ、ハイオク160円/ℓとすると、
レギュラー車なら27.7km/ℓ
ハイオク車なら29.5km/ℓ
と経済的には同等ということになる。
トヨタ・プリウス S(4WD)の燃費がWLTCモードで28.3km/ℓ、A”ツーリングセレクション”(4WD)が25.4km/ℓなのでほぼプリウスと同等の経済性を持っていることになる。メーターの誤差などは補正していないが、燃費がいいのは間違いない。
また燃料タンク容量は59ℓなので、この調子で走り続けるなら1400kmほど走れてしまうというわけだ。実際に、出発前の給油直後にはメーター内に表示される航続可能距離は864kmだったが、約500km走行して給油した直後には1256kmに伸びていた。ディーゼルは長距離が得意というのも納得できる。
同じように9月中旬に秋田市から福井市までのデータを計測すると
658km÷27.28ℓ=24.12km/ℓ
11月初旬に福井市から飯塚市(福岡市のお隣)までのデータを計測すると
759km÷34.07ℓ=22.28km/ℓ
という結果が出た。
このように、ディーゼルは長距離になればなるほど、その持ち味を発揮するということだ。特に現在、原油価格が高止まりしているのでハイオクやレギュラーガソリンと比較して、経済性は◎。パワートレーンの電動化が叫ばれる今日だが、長距離走行が多い方は今一度ディーゼルに注目してみてはいかがだろうか。