BMW320d 3年2万6000km走った燃費は? ディーゼルは依然としてアリか?

新車購入して3年。初回車検を迎えたBMW320dは2万6000kmのマイレージを刻んでいる。エンジンは、2.0ℓ直4ディーゼルターボである。果たして、BMW320dの燃費はどうか?

平均燃費は15.6km/ℓ!

筆者は、2018年12月にF30型(前期型)320iからF30型(後期型)320dへ乗り換えた。ガソリン→ディーゼルの乗り換えだ。320d Sportで、駆動方式はRWD(後輪駆動)、トランスミッションはご存知ZF製8HPだ。

エンジンは、B47型2.0ℓ直4ディーゼルターボでパワースペックは最高出力:190ps(140kW)/4000rpm 最大トルク:400Nm/1750~2500rpmである。

1年前(2020年12月)のレポートでは、

2年間で走行距離は1万7123km
平均燃費:15.4km/ℓ
平均速度:29.0km/h

2年前(2019年12月)のレポートでは
1年間で走行距離9800km
平均燃費:15.0km/ℓ

だった。

ちなみに、2019年12月末の軽油価格が125円/ℓ、2020年12月末のそれは109円/ℓだった。2021年12月の軽油価格
143円/ℓ。軽油も高い!(ちなみに、レギュラーは165円/ℓ ハイオクは176円/ℓである)

我がBMW320dは3年間(正確には2年11カ月)で26284kmを走行した。

平均燃費は15.6km/ℓだった。
平均速度は29.2km/hだった。

3年間で走行距離26284km
平均燃費:15.6km/ℓ
平均速度:29.2km/h

だった。
燃費は徐々に良くなっている。ここで注目したいのが、「平均速度」だ。

平均速度と燃費の関連性

じつは、我が320dはこの春、テストのためにオールシーズンタイヤに履き替えている。その際、季節外れの雪を求めて東京~山形往復1000km一気乗りを行なった。

このときの燃費は
平均燃費:21.2km/ℓ
平均速度:71.8km/h

だった。

平均速度が上がれば平均燃費も上がる……かどうか?

このロングドライブの出発時に、オンボードコンピュータをリセットして燃費を計測した。ここから11月までに7371km走った(約251時間ドライブしていた)。この7371kmのデータでは

平均燃費:16.5km/ℓ
平均速度:30.4km/h

と出ていた。

平均時速29.0km/hで15.4km/ℓ
平均時速29.2km/hで15.6km/ℓ
平均時速30.4km/hで16.5km/ℓ

平均時速37.6km/hで17.6km/ℓ(車検後の258km 都内〜富士スピードウェイ往復時の燃費)
平均時速71.8km/hで21.2km/ℓ

である。

ちなみに、F30型3シリーズの頃のモード燃費は日本ではJC08、欧州ではNEDCだった。それぞれのモードは
NEDCモード:最高速度120.0km/h 平均速度33.6km/h
JC08モード:最高速度81.6km/h 平均速度 24.4km/h

ドイツ生まれ(ただし、我が320dの生産国は南アフリカ)の320dは、ベースとしてはおそらくNEDCに合わせて開発しているはず。とはいえ、アウトバーンをもつドイツでの高速巡航速度は120km/hより高い場合も多い。ちなみに、上に書いたように、車検後にクルマを引き取って、東京都内〜富士スピードウェイ往復258kmで平均時速37.6km/hの条件で17.6km/hℓだったから、日本での使用条件でも、きっと平均速度50km/h前後くらいがもっとも燃費が良いのではないだろうか。

B47D20A シリンダー配列 直列4気筒ディーゼル 排気量 1995cc 内径×行程 84.0mm×90.0mm 圧縮比 16.5 最高出力 190ps(140kW)/4000rpm 最大トルク 400Nm/1750-2500rpm 給気方式 ターボチャージャー カム配置 DOHC ブロック材 アルミ合金 吸気弁/排気弁数 2/2 バルブ駆動方式 ロッカーアーム 燃料噴射方式 DI VVT/VVL ×/×

F30型320dのB47型エンジンには、尿素SCRシステムは付いていない。が、もちろん、DPFはついている。DPFとは、ディーゼル・パティキュレート・フィルターことで、PM(Particulate Matter=粒子状物質)をフィルターに吸着させて燃やす仕組みだ。フィルター内でPMを燃やしているときに、周囲の温度が上がる。これを「再生(リジェネレーション)」という。走行条件にもよるけれど、おそらく300-500kmに一度くらいだと思う。

再生は

①DPF内に一定数以上煤が貯まる
②排気ガス温度が240℃以上。
③エンジン水温が75℃以上。
④燃料残量が10ℓ以上。再生中は燃料を燃焼後にもう一度噴射して燃焼温度を上げるので通常より多く燃料を使う。ゆえにこの間は燃費が悪化する。

4つが作動条件だ。高速道路走行中に再生するのが一番いい(そもそもドライバーは気づかない)が、ときどき、自宅の駐車場に帰ってきたときに、再生中、あるいは再生直後のことがある。このときは、エンジンを切っても冷却ファンが回り、温度が下がるまで作動しているから、「あ、再生していたんだな」とわかる。

ディーゼルの経済性の高さとトルキーな気持ち良い走りは、3年経っても健在だ。輸入車だと、ガソリンエンジン車はハイオク指定(本当はRON95で済むはずだが)が多いから、軽油との価格差は30円/ℓにもなる。

軽油143円/ℓ レギュラー165円/ℓ ハイオク176円/ℓだと仮定すると

F30(前期型)320i(N20型2.0ℓ直4ターボ)は生涯燃費が11.5km/ℓだったから

2万6000km走るのに
320i:2260ℓ=39万7760円(15.3円/km)
320d:1666.7ℓ=23万8338円(9.2円/km)

で、

スマホのアプリ「My BMW」は、自車位置、目的設定、メンテナンス情報などがチェックできて、意外と便利だ。

かかることになる。差額は15万9000円余りにもなる。たいていの場合、ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の価格差は約30万円と考えると、燃料価格が上昇したこと(早く適正な価格に下がってほしい)で「ディーゼル代」は5万kmほどで元がとれる計算になる。

ディーゼルの魅力は経済性だけではないが、給油のたびに飛んでいく千円札が少ないのは、やはり悪い気分ではない。電動化に注目が集まり、ディーゼルにやや逆風が吹いているが、エコロジーとエコノミーは切っても切り離せない。ディーゼルは、いまだ「アリ」だと考える。


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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…