今回は、ブガッティのパイロットであり、ル・マン優勝者のアンディ・ウォレス氏が、ドイツのパペンブルク・サーキットで「特別な」ミストラルのハンドルを握り、その潜在能力をフルに発揮した。彼が記録した時速453.91キロ(282マイル)は、限定生産のブガッティW16ミストラルの公式最高速度を34キロ(21マイル)も上回っている。
この大偉業を成し遂げたスペシャルモデルは、1400万ユーロ(約22億円)というW16「ミストラル」(500万ドル)の約3倍だ。ワールド・レコード・カーの仕上げには、ブラックカーボンの外装と対照的な、下部ボディとそれにマッチしたホイールのジェットオレンジのグラフィックが採用されている。また、キャビン内にも、オレンジのアクセントで同様のテーマが続いている。
ブガッティは、シャシーや最高出力1,600psを発揮する、8.0L W16クワッドターボエンジンに関するアップグレードについては言及しなかったが、この記録挑戦は「何ヶ月にも及ぶ綿密な準備と、この車の計り知れない能力を探るための綿密に計画されたテスト」の末に実現したと述べており、なんらかの調整が行われた可能性がある。
このスペシャル「ミストラル」は、インドのパンジャブにある「ザ・シン・コレクション」の一部として、ブガッティの世界記録車の完全なコレクションを所有する特別な顧客の所有物だという。この夢のガレージには、2010年に時速431.07 km(267.8 mph)に達した「ヴェイロン16.4スーパースポーツ」、2013年に時速408.84 km(254 mph)に達した「ヴェイロン16.4グランスポーツ ヴィテッセ」、そして2019年に時速490.48 km(304.7 mph)という驚異的な記録を樹立した「シロン スーパースポーツ300+」も並んでいるという。
2019年に正式に速度記録の追求から撤退した同ブランドだが、最高速度445 km/h(277 mph)のリミッターを備えた、ブガッティ「トゥールビヨン」新型が新記録樹立へ動くまで、そう時間はかからないかも知れない。