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内外装のリフレッシュに加えて、LEDヘッドライト採用やACCの機能アップも!
「え、もう?」と思ったのは、フィアットのMPV(マルチ・パーパス・ビークル)、「ドブロ」がこの12月にマイナーチェンジを行なったと聞いたから。2023年5月の日本発売開始から、まだ1年半しか経っていない。しかし、ドブロよりも約3年早く日本での発売が開始されたプジョー・リフターとシトロエン・ベルランゴは、それぞれ今年の8月と10月にマイナーチェンジを実施済み。ドブロもそれを追いかけるように、今回マイナーチェンジを行なったというわけだ。
あらためてドブロのおさらいをすると、ボディバリエーションはふたつ。2列・5人乗りの「ドブロ」と、3列・7人乗りの「ドブロ マキシ」が揃う。ボディサイズは、ドブロが全長4405mm×全幅1850mm×全高1825mm/ホイールベース2785mm、ドブロ マキシが全長4770mm×全幅1850mm×全高1845mm/ホイールベース2975mmとなる。パワートレインは両モデルともに共通で1種類。最高出力96kW(130PS)/最大トルク300Nmを発生する1.5Lディーゼルと8速ATが組み合わせられる。
では、旧型と見比べながら、新型ドブロの改良点を紹介していこう。撮影車の都合で、新型はドブロ マキシ、旧型はドブロとなっている。
まずはエクステリアから。新型はヘッドライトがLEDとなったのに加えて、フロントバンパーのデザインが刷新された。ヘッドライトをつなぐモールも廃止された一方で、グレーのスキッドプレートをバンパー下部に追加。どことなく愛嬌がある顔つきだった旧型に対して、新型はキリリと引き締まった印象だ。
ちなみに、新型の助手席側ヘッドライトの近くに配置されている4本線のマークは、1980-90年代のフィアットのロゴがモチーフになっているという。
サイドビューはあまり変化なし…と思いきや、ドア下部のサイドバンパーが変わっている。旧型では樹脂そのままだったのが、新型ではグロスブラック素材に変更。リヤビューも「FIAT」のエンブレムが赤バッヂのタイプから新世代のレタリングのロゴに変更され、フィアットの新型エンブレムの採用のほか、バンパーがボディ同色になったのが目を引く。こうした改良によって、新型は全体的に上質感がアップしたことがわかる。
インテリアは、随所で機能性アップに伴う変更が加えられている。まず目を引くのが、8インチから10インチに大型化されたセンターのタッチスクリーン。インフォテインメントシステムも新しくなり、使いやすさがアップしている。メーターも旧型ではアナログ式の速度計と回転計が鎮座し、中央に小さな液晶画面がレイアウトされていたのに対して、新型は7インチの全面液晶タイプとなって情報量が格段に増えた。
ステアリングも新型は上下が直線的になった新タイプに変更された。これまではステアリングコラムに設けられてたクルーズコントロール系のスイッチがステアリング左側に移設されたことで、より直感的な操作が可能となったのも朗報だ。また、ステアリングホイールヒーターも新装備された。
シフトスイッチも、ダイヤル式からコンパクトなシーソー式へと一新。隣には「ノーマル」と「エコ」を切り替えることができるドライブモードの操作スイッチも設けられている。USB-Cのソケットも2個装備。そのうちのひとつは、車両のインフォテインメントシステムとスマホをコネクトする機能が備わっている。旧型ではセンタースクリーンの脇にソケットがあったため、コンソールに置いたスマホとつなぐには長めのコードが必要だった。
シートも形状は同じだが、表皮が新しくなっている。ファブリックがネイビーとなり、ステッチのパターンを変更、さらにフロントシートの上部には「FIAT」のロゴがシルバーラインのアクセント上にあしらわれている。
ADAS(先進運転支援システム)も進化を遂げた。新型はミリ波レーダーの追加によってACC(アダプティブクルーズコントロール)の性能が向上し、停止後3秒以内の再発進が可能に。また、右寄り、左寄りといった具合に車線内の任意のポジションを維持するレーンポジショニングアシストも採用されたことで、ドライバーの負担を軽減している。
荷物も人もたくさん積めるドブロ マキシは、走りも絶品だった!
新型ドブロ マキシに乗ってみると、低回転からトルクフルなディーゼルエンジンとシャキシャキと変速をこなす8速ATのコンビネーションが好印象。1.6t強のボディを軽々と加速させる底力の持ち主だ。加速時にはガラガラというディーゼルならではのエンジン音も大なり小なり耳に入ってくるが、ほんわかとしたクルマのキャラクターのおかげか、運転していると細かいことはあまり気にならない。
乗り心地も快適だ。フカフカな羽毛布団に包まれているような、心地良さに癒される。それでいて、ただ柔軟なだけでなく、土俵際でも腰砕けせずにぐっと踏ん張ってくれるフットワークとの相乗効果によって、走るのがとにかく快適で、楽しい。
今回のマイナーチェンジでは、エンジンも足まわりも変更のアナウンスはない。マイナーチェンジ前のドブロの試乗経験がないため、もともとドブロの走りのポテンシャルが高かったのか、新型ではメカニズムの大幅な変更はないが細部の熟成が行なわれているのかは判然としない(すみません)。が、ふらりと入った定食屋さんで出てきた日替わりランチが期待以上に美味しくて、ほっこりと幸せな気分になれたようなうれしさが、ドブロの走りにはある。
そんな新型ドブロだが、価格は5人乗りのドブロが414万円、7人乗りのドブロ マキシが436万円。装備の違いはあるとはいえ、ベルランゴやリフターよりも20〜30万円程度リーズナブルな価格設定にもほっこりだ。
また、新型ドブロの導入を記念した80台の限定モデル「ローンチエディション」にも注目したい。5人乗りのドブロをベースに、通常モデルでは選択することができない小物収納付きのガラスルーフ「マジックトップ」が特別装備されている。価格は426万円。ローンチエディションにはアメリカのアウトドアブランド「POLeR(ポーラー)」とコラボしたソフトマルチコンテナとマルチユーティリティチェアもセットとなるので、ドブロの購入を考えている方は要チェックだ。
フィアット・ドブロ ※( )内はドブロ マキシ
全長×全幅×全高:4405(4770)mm×1850mm×1825(1845)mm
ホイールベース:2785(2975)mm
車重:1560(1660)kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン
形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
型式:YH01
排気量:1498cc
ボア×ストローク:75.0mm×84.8mm
圧縮比:16.4
最高出力:130PS(96kW)/3750rpm
最大トルク:300Nm/1750rpm
燃料:軽油
燃料タンク:50L
トランスミッション:8速AT
WLTCモード燃費:18.1km/L
市街地モード14.5km/L
郊外モード18.2km/L
高速道路モード20.2km/L
車両価格:414(436)万円