ルックス以外もスポーティさを強化して差別化「トヨタ・ヴェルファイア」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA VELLFIRE】

兄弟車「アルファード」とはまた異なるオーラを放つ「トヨタ・ヴェルファイア」。精悍で華やかなエクスエリア、19インチタイヤの標準装備など、自らが操る楽しさを予感させる。スポーティさにさらなる快適性を求めるハイブリッドモデルと力強さが際立つターボモデルの2つのパワートレインが用意され、全てが揃った中で迷う楽しさも提供している。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:田丸りさ

2列目居住性や快適性は別格 2.4ℓターボの走りも美点

ヴェルファイアは、アルファードと基本部分を共通化した姉妹車だ。従来型はアルファードがトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店で扱ったが、今はトヨタの全店が全車を販売する。従って姉妹車は不要だが、アルファードとは別にヴェルファイアを残した。この背景には2車種の高い人気があり、以前はヴェルファイアがアルファードよりも多く売れていた時期もあった。現行型ではヴェルファイアが従来以上にスポーティ感を強めている。

エクステリア

パワートレインや駆動方式にかかわらず全グレードに19インチタイヤを標準装備、最小回転半径も5.9mと全車で共通スペックとなる。サスペンションもヴェルファイア専用セッティングとなっている。外からは見えない部分だがステアリングの応答性を向上させるボディ剛性パーツ「フロントパフォーマンスブレース」を備えているのも姉妹車アルファードとの違い。
リヤスポイラーやバックドアガーニッシュのモールが漆黒めっきとなっているのが「ZPremier 」の識別点。上級グレードではめっきとなる。最小回転半径5.9m。

外観を見ると、ヴェルファイアはフロントマスクを漆黒めっきに仕上げて、LLサイズミニバンながら精悍な印象だ。インパネには14インチの大型ディスプレイオーディオが備わり、内装色はブラックとサンセットブラウンで、この組み合わせも欧州のスポーツモデルを連想させる。居住空間はアルファードと同じく広い。身長170㎝の大人6名が乗車したとき、2列目シートに座る乗員の膝先空間を握りコブシ3つ分に調節しても、3列目に座る乗員の膝先には3つ半の余裕がある。シート表皮は全グレードに上質なプレミアムナッパの本革を採用した。

乗降性

最も快適なシートは2列目で、「Zプレミア」にはエグゼクティブパワーシートが備わる。両側に固定式アームレストが備わり、リクライニングや足を支えるオットマンの調節は電動式だ。夏に快適なシートのベンチレーションも採用した。最上級の「エグゼクティブラウンジ」には、回転式テーブルや乗員の身体をマッサージするリフレッシュ機能なども加わる。ただし3列目には注意したい。左右に跳ね上げて格納する機能を採用するため、2列目に比べて背もたれや座面が薄い。床と座面の間隔も足りず、足を前方へ投げ出す座り方になる。それでも頭上と足元が広いので窮屈ではなく、現行型では座り心地も向上している。

インストルメントパネル

メーターは12.3 インチのフル液晶タイプで、3 つのレイアウトを基本に好みに合わせたセッティングが可能。ディスプレイオーディオはコネクティッド対応で14インチの大画面。

パワーユニットは、アルファードと同様の2.5ℓ直列4気筒のハイブリッドが主力だ。2.5ℓ自然吸気ガソリンエンジンは選べないが、アルファードにはない2.4ℓターボを設定。ハイブリッドはモーター駆動の併用により、加速が滑らかでノイズも小さい。2.4ℓターボは、4.0ℓの自然吸気エンジンに相当する動力性能を発揮して、実用回転域の駆動力も高くパワフルだ。4000rpmを超えると加速が活発化して、ATは8速の有段式だから、メリハリのある運転を楽しめる。

居住性

ヴェルファイアでは、専用装備としてボディ剛性を高めるフロントパフォーマンスブレースと19インチタイヤが全グレードに標準装着され、足まわりも専用にセッティングが施されている。これらの相乗効果により、車両重量が2tを超えて全高も1900㎜を上回る高重心のミニバンながら、峠道のカーブでも旋回軌跡を拡大させにくく、2.4ℓターボの動力性能とのバランスも良い。その代わり、街中での乗り心地はアルファードよりも硬いが、突き上げ感や粗さは抑えられている。

うれしい装備

スライドドアとリヤクオーターウインドウのサンシェードは電動式で、上から降りてくるタイプ。しっかりと陽射しを除けながら、流れる景色を見ていたいという乗員のニーズに応えてくれる。
月間販売台数      2741台(24年5月~10月平均値)
現行型発表       23年6月
WLTCモード燃費     17.7 ㎞/ℓ※「Z Premie(r ハイブリッド)」のFF車  

ラゲッジルーム

また速度が上昇すると次第に快適になる。ボディが大柄なため、最小回転半径は5.9mと大回りだが、硬めの乗り心地と余裕のある動力性能により、高速道路を長時間にわたって巡航する使い方に適する。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.164「2025年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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