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至れり尽くせりの豪華装備 後席空間は完全な個室構造

国内ではレクサス初のミニバンとなるLMは、グローバルでは2代目となる。初代は中国市場からの強い要望に応えて、先代トヨタ・アルファード/ヴェルファイアの後期型を、いわば後づけで仕立て直したクルマだった。対して、新しいLMは同世代の〝アルヴェル〞と基本骨格を共有しつつも、初期段階から並行して別チームが開発した。そして、初代と同様の中国とアジアに加えて、日本、そして高級サルーンの本場といえる欧州でも販売される。
エクステリア




日本仕様のLMのパワートレインは「500h」という車名からも想像できるように、ヴェルファイア「Zプレミア」と共通の2.4ℓターボ+6速ATにモーターを追加したハイブリッドで、リヤにもモーターを配する4WDのみとなる。バリエーションは2種類で、3列6人乗りの「バージョンL」と、2列4人乗りの「エグゼクティブ」がある。
乗降性


特に後者の「エグゼクティブ」はまさにLMならではの存在と言っていい。前席背後には、乗用車用世界最大という48インチディスプレイやワインセラー、調光ガラス製の昇降ウインドウを備えるパーテーションが固定されており、後席空間はほぼ完全な個室構造となっている。その個室空間には、至れり尽くせりの豪華装備が満載のセカンドシートが2脚固定される。スライド機構が備わらないのは、前席より後ろの広大空間をふたりで独占しているから、あえてスライドさせる必要性がほとんどないことに加えて、フルフラットまで倒せる機能を邪魔しないためだ。また、イスとしての剛性感や座り心地も固定式の方が有利なのだ。
インストルメントパネル

後席には気分によって後席機能をまとめて最適化するコンシェルジュ機能も備わっている。そのひとつである「ドリームモード」にすると、サンシェードで室内は暗くなるのだが、シートはフルフラットではなく、適度にアップライトな姿勢となるのが面白い。そうやって身体を適度にホールドした方が、走行中は安眠できるからだという。LMは静粛性も非常に高いが、かといって〝無音〞というほどではないのは、天井をあえて音を反射する素材にするなどの意図的な仕立てによるものだ。聞けば、開発途中に静粛性を極限まで追求したところ「静か過ぎると逆に不快になる」ということを発見したからだという。
居住性


LMはあくまでセカンドシートが特等席なので、姿勢変化を起こしにくいようにアクセル特性や電子制御ダンパーも穏やかにしつけられており、ブレーキもリヤ配分が強めになっているそうだ。ただ、そうしてクルマをゆったりと上品に動かしやすくした調律は、実はドライバーズカーとしても見ても、なかなかに心地良い。ステアリングやブレーキの初期タッチはマイルドながらも、反応自体はあくまでリニアにしつけられているからだ。ドライブモードをノーマルやスポーツにすれば、接地感もロール感もピタリと決まる。
うれしい装備





月間販売台数 540台(24年5月~10月平均値)
現行型発表 23年10月(グレード追加 24年5月)
WLTCモード燃費 13.8 ㎞/ℓ※「LM500h version L」

ラゲッジルーム


かつて高級サルーンと言えば、英国ロールス・ロイスやドイツのメルセデスSクラスに代表されるセダンだけだったが、このLMはいよいよ高級サルーンの本場である欧州でも、日本独自ジャンルとも言える高級ミニバンの真価が問われるわけだ。

