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■アキュラの北米専用車MDXを日本で輸入販売

2003(平成15)年2月27日、ホンダは2000年に北米で販売が始まったプレミアムSUV「MDX」を日本で輸入販売することを発表(販売は3月14日)した。MDXは、3列シートの7人乗り大型SUVで、アキュラブランドのフラッグシップSUVである。
1986年高級車ブランド“アキュラ”を米国に設立
米国ホンダモーターは、1959年にホンダ初の海外現地法人として設立されて2輪車の販売を、1970年には小型4輪「N600」の販売を開始した。その後、1982年にはオハイオ州のホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリングの工場で、日本の自動車メーカーとして初めて米国で4輪車「アコード」の生産を開始して、日本メーカーとして歴史的な第一歩を踏み出した。
米国進出の先陣を切ったホンダだが、1986年には日本メーカーとして初の海外向け高級ブランド“アキュラ”を設立。開業とともに全米60店舗のディーラーを通して、「アキュラ・レジェンド」と「アキュラ・インテグラ」の販売を始めた。
アキュラ・レジェンドは、1996年に販売が終了し、後継車が「アキュラ RL」と名乗って登場したが、日本では2012年までレジェンドとして販売が継続されていた。
アキュラ・インテグラは、若者向けのスポーティなモデルとして人気を獲得し、2002年からは「アキュラ RSX」に車名を変えて販売されたが、2006年に生産を終了。しかし、2022年にインテグラが復活して大きな話題を集めた。
その後も、セダンの「ILX」、「TLX」」、「RLV」など、SUVとして「CDX」、「RDX」、そしてフラッグシップSUV「MDX」を市場に投入している。
なお、この日に日本で輸入販売を発表した「MDX」は、2001年に北米で販売が始まった初代モデルである。
3列シート7人乗りの堂々たるMDXが日本上陸

米国で販売されたMDXは、3列シートの7人乗りパッケージングが好評で人気を獲得。日本への導入は、ホンダにおける高級車ラインナップの充実が目的で、「レジェンド」と並ぶフラッグシップという位置付けだった。

そもそも米国専用車として開発されたMDXは、プレミアムモデルに相応しい大型で高級感と快適性が重視されていた。ボディサイズは、4790×1955×1820mm(全長×全幅×全高)で、スタイリングは“サイの低重心、ワイドスタンスのプロポーション“をイメージしたとされている。

パワートレインは、最高出力260ps/最大トルク35.2kgmを発揮する3.5L V6 VTECエンジンと5速ATの組み合わせ。4WDシステムは、電子制御トルク配分型“VTM-4”を採用。これは、センターデフとリアデフのLSD機能を備えたツインクラッチ機構により、走行状況に応じて無段階に前後のトルク配分を制御する4WDである。

MDXは、パワフルなV6エンジンと高性能な4WDシステム(VTM-4)によってSUVらしい力強い走りと走破性、さらに上質なインテリアと7人乗車も可能にした多彩なシートアレンジ、さらに収納スペースを持つ室内空間を合わせ持っていた。

日本での車両価格は、1グレードのみで485万円に設定された。限定台数1700台で2006年まで販売された。

MDXのボディサイズはどれくらい大きいのか
MDXのボディサイズを、同時期に北米で人気を獲得して日本に導入した日産自動車の大型SUV「ムラーノ(2004年~)」とトヨタの2代目「ハリアー(2003年~)」のボディサイズと較べてみた。

【全長×全幅×全高】
・MDX :4790×1955×1820mm
・ムラーノ:4770×1880×1685mm
・ハリアー:4735×1845×1670×680mm
その他、比較的最近の3列シート7人乗りのSUVとして、マツダ「CX-8(217年~)」、三菱「アウトランダー(2021年~)」、「エクストレイル(2022年~)」、ランクル250(2024年~)のボディサイズを較べてみた。

【全長×全幅×全高】
・CX-8 :4925×1845×1730mm
・アウトランダーPHEV:4710×1860×1740-1745mm
・エクストレイル:4660×1840×1720mm
・ランクル250:4925×1980×1870mm
本格オフローダーのランクルは別格としても、MDXが際立って大きいことがよく分かる。

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MDXは、北米仕込みのダイナミックなスタイリングと広々と高級感あふれる室内空間で評価は高かったが、日本では大きすぎて扱い難く、北米生まれのマニアックなクルマとして位置付けられた。しかし、その堂々たる風格あるボディは、ホンダのフラッグシップSUVとしての役割は十分果たせたと思われる。
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