アウディA4の実質的な後継モデル、A5/S5は「ひとクラス上の車格感」最新技術満載だ

アウディS5 Avant
新型アウディA5シリーズは、A4の実質的な後継モデルである。メルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズと並ぶジャーマンプレミアム3の中核モデルは、どう進化しただろうか?
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)
アウディS5 Avant 車両本体価格:1060万円 生産はドイツ・ネッカーズウルム工場

新型アウディA5シリーズが国内に導入された。セダンタイプとアバント(Avant)と呼ぶステーションワゴンタイプの2タイプで構成する。セダンとはいえ、独立したトランクを持つ構造ではなく、電動ハッチゲートを備えるファストバックスタイルだ。実は、新型A5は従来のA4/A4アバントとA5スポーツバックを統合した格好。つまり、A4の実質的な後継モデルがA5だ。

エンジンとトランスミッションは縦置きに搭載される。新型A5シリーズは、新世代の内燃機関プラットフォームであるプレミアム・プラットフォーム・コンバッション(PPC)を初めて採用したモデルだ。

ラインアップするエンジンは次のとおり。

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

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2.0 TFSI (110/150 kW)

2.0 TFSI:2.0L直列4気筒ガソリンターボ
最高出力110kW/最大トルク280Nm 駆動方式:FWD
最高出力110kW/最大トルク280Nm 駆動方式:FWD
最高出力150kW/最大トルク340Nm 駆動方式:quattro

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

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2.0 TDI (150 kW)

2.0 TDI:2.0L直列4気筒ディーゼルターボ
最高出力150kW/最大トルク400Nm 駆動方式:quattro

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3.0 TFSI:3.0L V型6気筒ガソリンターボ
最高出力270kW/最大トルク550Nm 駆動方式:quattro

モデルエンジントランスミッション駆動方式車両本体価格
A5セダンTFSI 110kW2.0L直4ターボ(150ps/280Nm)7速DCTFWD588万円
TFSI quattro 150kW2.0L直4ターボ(204ps/340Nm)AWD681万円
TDI quattro 150kW2.0L直4ディーゼルターボ(204ps/400Nm)AWD後日発表
S53.0L・V6DOHCターボ(367ps/550Nm)AWD1035万円
A5 アヴァントTFSI 110kW2.0L直4ターボ(150ps/280Nm)FWD624万円
TFSI quattro 150kW2.0L直4ターボ(204ps/340Nm)AWD706万円
TDI quattro 150kW2.0L直4ディーゼルターボ(204ps/400Nm)AWD後日発表
S53.0L・V6DOHCターボ(367ps/550Nm)AWD1060万円

エンジンラインアップはセダンとアバントで共通。アヴァントはセダンの25万円高の価格設定となる。3.0 TFSIはS5/S5アバントの専用エンジンだ。トランスミッションはすべて7速Sトロニック。先代S5系は発進デバイスにトルクコンバーターを用いる8速ATを組み合わせていたが、新型はA5系と同じ、MTの機構をベースにメカを構成する7速Sトロニック=DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)に変わっている。

アウディS5 Avant 全長×全幅×全高:4835mm×1860mm×1450mm ホイールベース:2895mm

ボディサイズは拡大した。新型A5の全長×全幅×全高は4835×1860×1455mmで、先代A4より75mm長く、15mm幅広で、45mm背が高い。ホイールベースは2895mmで70mm長くなっている。先代A6(本国では新型がデビューしたばかり)の全長×全幅は4930×1875mmなので、ひとつ前のA6よりやや小ぶり。ただし室内寸法はほぼ同等で、アウディ・ジャパンの表現を借りれば、「新型A5はひとクラス上の車格感」ということになる。

実物を目にすると、確かに、というか相変わらず、外観品質が高い。○が横に4つつながったバッジを見なくても、高級車であることが第一印象で伝わってくる。パワートレーン縦置きレイアウトの特徴を生かした、ロングノーズの流麗なプロポーションも魅力的だ。先代A4はいわゆるクラムシェル型のボンネットフードが左右のフェンダーやフロントグリルまで回り込んでいたが、新型A5はボンネットフードの面積が小さくなり、フロントバンパーと左右フェンダーの一体感が強いでデザインとなっている。

アウディが力を入れているのがライティング技術。

近年のアウディはライティング技術に凝っており、新型A5もその流れを受け継いでいる。LEDを用いたデジタルデイタイムランニングライト(DRL)は全車に標準装備。このDRLはダイナミックインジケーター付きのLEDヘッドライトと連動して8パターンの点灯パターンから選択可能。リヤコンビネーションライトもダイナミックターンインジケーター付きのLEDだ。S5系は第2世代のOLEDリヤライトを標準で装備(A5系はオプション)し、より精細なライトシグニチャーを表現する。

Interior, displays and operation

インテリアでは、カーブしたディスプレイに搭載されたインフォテインメントシステムが目を惹く。ドライバーの目の前にあるメーターは11.9インチのAudiバーチャルコックピットプラス、センターには14.5インチのMMIタッチディスプレイが埋め込まれている。さらに、助手席の乗員専用の10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイを設定。S5系に標準、A5系にオプション設定する。情報表示系では、ヘッドアップディスプレイの表示面積が拡大し、情報量が増えているのも新型の特徴である。

試乗車にはとくに希望してS5アバントを選んだ。セダンのS5でもよかったのだが、このタイミングではS5系一択だった。なぜなら、新開発の48Vマイルドハイブリッドシステム、MHEV plusを搭載しているのはS5系とディーゼルの2.0 TDI搭載車だけだからだ(ガソリンエンジンの2.0 TFSI搭載車には未設定)。ディーゼルエンジン搭載車は国内法規に対応するために遅れての導入になり、現時点で最新のMHEV plusが体感できるのは、S5系のみだ。

48V MHEVのシステム構成図
PTG(パワートレーンジェネレーター)の構成図

MHEV plusはパワートレーンジェネレーター(PTG)と呼ぶモータージェネレーターユニットを、縦置きに配置するトランスミッションの後端に付加した格好。ギヤトレーンでトランスミッションの出力軸とつながっており、ドッグクラッチで完全に動力伝達系から切り離すことができる。減速時に最大25kWで回生したエネルギーは、ラゲッジルーム下に搭載するリチウムイオン電池(三元系ではなくリン酸鉄リチウム=LFPを採用)に蓄える。

電池の容量は約1.7kWhだ。MHEV plusはこのほか、エンジン始動用のベルトスターターオルタネーター(BAS)と電動コンプレッサー、48Vの電圧を電装系に使う12Vに変換するDC/DCコンバーターで構成される。

燃費の向上(=CO₂排出量削減)とパフォーマンスの向上を担うのがMHEV plusに課された役割。SOC(充電状態)にもよるが、0km/hから140km/hまではPTGが発生する最大18kWのパワーでエンジンの駆動力をアシスト。Dレンジ選択時のアシストはアクセルペダル開度が約80%以上、もしくはキックダウン時に限られるが、Sモードを選択した際は低いアクセル開度からPTGによるアシストが上乗せされる。

また、低車速時はEV走行を行なう。85km/h以上の車速域で一定速度で走行する際はドッグクラッチを切ってPTGを切り離すオペレーションに入る(Sモードでは常時接続)。引きずりによる損失を低減するためだ。減速時はPTGでエネルギーを回生。iBRSと呼ぶ統合ブレーキ制御システム(いわゆる協調回生ブレーキ)を適用しているため、回生ブレーキと油圧ブレーキの配分を最適に制御する。

タイヤ:F&R 245/40R19 ピレリP ZERO

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フロントサスペンションは5リンク式マルチリンク

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リヤサスはマルチリンク式

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リヤサスペンション

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フロントサスペンションは5リンク式マルチリンク

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リヤサスはマルチリンク式

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リヤサスペンション

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「アウディA4の実質的な後継モデル、A5/S5は「ひとクラス上の車格感」最新技術満載だ」の1枚めの画像
フロントサスペンションは5リンク式マルチリンク

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リヤサスはマルチリンク式

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リヤサスペンション

MHEV plusの働きを確かめるのがメインで試乗したせいでもあるが、EV走行時にその状態がメーターにはっきり表示されないのが惜しい。瞬間燃費計のバーがmaxを指していればEV走行していることになる。回生時は、そのバーがmaxの位置を越えて右側に伸びる。試乗時はたまたま踏切を先頭にした20km/hに満たないノロノロ走行(完全停止も含む)を2分半ほど経験したが、その間ずっとEV走行だった。

フロントシート
リヤシート
トランク容量:448L

前述したように、Dレンジではアシストの出番は限られる。Sモードを選択すると雰囲気は一変。アクセルペダルを踏み増した際のツキが断然違う。90度のVバンク間に収めるシングルのターボチャージャーにVTG(可変容量タービン)を適用した効果もあるだろうが、応答が極めて良く、アクセル操作に対して瞬時に返ってくる加速感の上昇が気持ちいい。

減速回生時は今どきの電動車両には珍しく、(インバーター由来の?)高周波音が車室内に侵入してくる。MHEV plusの働きがしっかり感じられるので、筆者は好意的に受け止めた。わずかな試乗時間だったので燃費はチェックしていないし、S5の性格からして燃費に対して神経質になるのも無粋だろうが、付いていないより付いていたほうが燃費はいいはずだ。Sモード選択時に限られはするけれども、加速時のPTGのアシストによるツキの良さは絶品である。

アウディS5 Avant
全長×全幅×全高:4835mm×1860mm×1450mm
ホイールベース:2895mm
車重:1990kg
サスペンション:F/R5リンク式マルチリンク
エンジン形式:V型6気筒DOHCターボ+48Vマイルドハイブリッド
エンジン型式:DWV-4451-ECR
排気量:2994cc
ボア×ストローク:84.5mm×89.0mm
圧縮比:12.0
最高出力:367ps(270kW)/5500-6300rpm
最大トルク:550Nm/1700-4000rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:60L

トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
WLTCモード燃費:13.3km/L
 市街地モード 10.4km/L
 郊外モード 13.4km/L
 高速道路モード 14.9km/L
車両本体価格:1060万円

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…