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堂々たる佇まいと贅を尽くした室内空間、両モデルに共通する存在感




アルファードの最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」に設定される2つのパワートレインは、いずれも外観上の大きな違いはない。
大胆なフロントフェイスと大型メッキグリル、精緻にデザインされたLEDランプ類により、高級車としての風格をしっかりと備えている。PHEVとHEVでは、車体サイズやホイールベースに差はなく、エクステリアだけで両者を見分けるのは難しい。
またインテリアにおいても、どちらもエグゼクティブラウンジ専用のシートや大型センターコンソール、後席モニターやオットマン付きの快適装備を備え、移動するラウンジとしての空間性を提供している。
なお、PHEVの方が車両重量は重くなっており、その主な理由は駆動用のリチウムイオンバッテリーを床下に搭載している点にある。この大容量バッテリーはEV走行を可能にするメリットを持つ一方で、車両の総重量増につながっている。
ただし、重量増により低重心化が図られ、走行安定性の向上という副次的な効果をもたらしている点も見逃せない。
トヨタ アルファード プラグインハイブリッド エグゼクティブラウンジ
ボディサイズ=全長4995mm×全幅1850mm×全高1945mm
ホイールベース=3000mm
車両重量=2470kg
タイヤサイズ=225/55R19(前後)
トヨタ アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジ
ボディサイズ=全長4995mm×全幅1850mm×全高1945mm
ホイールベース=3000mm
車両重量=2290kg
タイヤサイズ=225/65R17(前後)
異なる駆動方式が生む走りの質感と車両重量の差


走行性能の要となるパワートレインは、両モデルで異なる。
PHEVには、2.5L直列4気筒エンジンと大容量の駆動用リチウムイオンバッテリー、そして前後モーターによるE-Four(電気式4WD)が組み合わされている。これにより長距離のEV走行が可能となっており、日常の短距離移動ならほぼモーターだけで走行できる場面もある。
一方のHEVも同様に2.5LエンジンとE-Fourを採用するが、バッテリー容量が小さいため、あくまでエンジン主体の走りに電動アシストが加わるという構成となっている。こうした構造上の違いから、車両重量には明確な差がある。
前述のように、PHEVは駆動用バッテリーが床下に搭載されている分、ハイブリッドに比べて180kgほど重く、総重量は2470kgに達する。ただし、床下搭載により重心が低くなることで、走行安定性や乗り心地に寄与しているという評価もあるようだ。
モーターの出力そのものもPHEVの方が高く、静かで力強い加速を得られる場面がある一方で、重量の増加がもたらす走りの重厚感をどう捉えるかが選択のポイントとなる。
燃費やEV走行距離は使用環境によって変動するが、都市部でのEV走行が多い場合はプラグインハイブリッドの利点がより明確になるといえるだろう。
トヨタ アルファード プラグインハイブリッド エグゼクティブラウンジ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=177ps/6000rpm ※システム最高出力=225kW(306PS)
最大トルク=219Nm/3600rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=E-Four(電気式4WD)
トヨタ アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=190ps/6000rpm
最大トルク=236Nm/4300〜4500rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=E-Four(電気式4WD)/FF
カタログ価格以上の価値と補助金の影響をどう見るか


PHEVの車両価格は1065万円、HEVの同グレードは882万円と、カタログ上では約200万円の価格差がある。
しかし、PHEVはクリーンエネルギー車の補助金対象となる可能性があるため、自治体によっては20万円〜40万円程度の補助が受けられるケースもある。これにより、実質的な価格差は大きく縮み、ユーザーにとっては検討の後押し材料となるかもしれない。
装備内容は基本的に共通であり、快適性や安全装備に差はなく、価格の違いはほぼパワートレインに起因している。
日常的な使用においてモーター走行が中心になるなら、ガソリン代の節約という点でもプラグインハイブリッドが長期的に有利となる可能性もあるといえる。一方で、充電設備が確保できない環境や長距離移動が中心となるユーザーにとっては、ハイブリッドの方が扱いやすく、初期費用も抑えられるという安心感がある。
どちらもエグゼクティブラウンジとしてのラグジュアリー性は申し分なく、選択の鍵は使用環境とエネルギーに対する価値観にあるといえるだろう。