日産の商用車「NV200バネット」は流行りのミニバンよりアクティブに使える初代もカッコいい!【今日は何の日?4月2日】

日産「NV200バネット」
日産「NV200バネット」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日4月2日は、日産自動車のマルチパーパスな小型商用車「NV200バネット」が誕生した日だ。NVバネットは、ビジネスだけでなく、多様化するニーズに合わせてレジャーなどプライベートユースにも対応できる新世代バンである。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・80年代日産車のすべて、バネットセレナのすべて

■シリーズ5代目となるNV200バネット

2009(平成21)年4月2日、日産自動車は新型小型商用車「NV200バネット」を発表(発売は5月21日)。NV200バネットは、商用車と乗用車両方に求められるニーズに応えるために開発された小型バンであり、荷室を広く確保した商用車タイプに加えて、快適性を高めた7人乗り乗用車系ワゴンも設定された。

日産「NV200バネット」
日産「NV200バネット」
日産「NV200バネット」
「NV200バネット」のリアビュー

NV200バネットの初代はダッタサン・バネット

1980年に誕生した「ダットサン・バネット」、このクルマがNV200バネットの初代にあたる。ダットサン・バネットは、すぐれた積載力と作業性を特徴としつつ、運転のしやすさ、居住性、乗降性も重視された、ドライブやレジャーにも使えるマルチユースカーで、乗用車仕様のコーチも設定された。

ダットサン・バネット(ライトバン・ロング)
1980年にデビューした初代バネットの「ダットサン・バネット(ライトバン・ロング)」

ダットサン・バネットは、1985年にモデルチェンジして2代目へ移行。先代と同様にピックアップ、バンおよび乗用車系コーチが設定された。コーチは、当時のワンボックスワゴンが流行ったこともあり人気を獲得し、バネットシリーズは小型ワンボックスではトップシェアを誇った。

歴代バネット
歴代バネット

1991年にバネットコーチの後継として独立モデルのミニバン「バネット・セレナ」が誕生した。これが、現在人気のミニバン「セレナ」の初代に相当する。従来の商用車ベースのバネットとは異なり、キャブオーバーから前輪を前席の前に搭載するセミキャブオーバーに変更。さらに、エンジンを前車軸後方のミッドシップに搭載したのが特徴。目指したのは、理想的な3列シートのファミリーユースを第一に考えたマルチパーパスなミニバンとして存在感をアピールした。

「バネットセレナ(初代セレナ)」
1991年にデビューした「バネットセレナ(初代セレナ)」

3代目(1994年~1999年)と4代目バネット(1999年~2017年)は、マツダ「ボンゴ」のOEMモデルとなり、2017年にNV200バネットに統合されて、ここでバネットは終焉を迎えた。

「バネットセレナ(初代セレナ)」
1991年にデビューした「バネットセレナ(初代セレナ)」

レジャーでも使えるマルチユースな商用NV200バネット登場

OEMモデルの4代目バネットが販売される中、2009年のこの日に発表されたNV200バネット。従来の地味な商用車を打破すべく、ビジネスはもちろん、デイリーユースやレジャーにまで幅広く使えることを目指して開発された。

日産「NV200バネット」
2009年にデビューした小型商用車「NV200バネット」

スポーティな2ボックススタイルで、サイズではセレナよりひと回り小さいが、商用車らしく全高は高い。室内は、ウエストラインが低く開放的な横基調と縦基調のシンプルなデザインである。

日産「NV200バネット」
「NV200バネット」のコクピット

グレードは、バン(2人/5人乗員)と、乗用車系ワゴン(7人乗員)の2タイプを設定。パワートレインは、最高出力109ps/最大トルク15.5kgmの1.6L直4 DOHCエンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は、FFである。

次世代小型商用車として特徴的なのは、マルチパーパスな用途に使えること。従来のワンボックスタイプのバネットのようにフロントシートをフロントタイヤの上に設置させることを避け、最近人気のミニバンのようにフロントタイヤの後にフロントシートを設置するスタイルに変更し、乗降性を大きく向上。さらに荷室についても低いフラットな床と高い荷室高で、クラストップレベルの積載量を誇った。

日産「NV200バネット」
「NV200バネット」5人乗車バンのシートレイアウト
日産「NV200バネット」
「NV200バネット」乗用車系ワゴンの7人乗車シートレイアウト

また3列シートを備えた乗用車系ワゴンは、一般的なファミリーユースとは一線を画して、ユーザーの使用パターンに応じて自在にアレンジできる本格的なマルチパーパスなワゴンだった。車両価格は、5人乗車のバンが165.375万円、ワゴンが186.375万円と比較的リーズナブルに設定された。

日産リーフに続く、商用車EVのe-NV200も登場

2014年6月、日産自動車はNV200バネットをベースにした商用車EV「e-NV200]を発売した。

商用車EV「e-NV200」
2014年にデビューした商用車EV「e-NV200」

リーフとの共通性を持たせたフロントマスクなど、内外装にはEV専用のデザインを採用。駆動モーターやリチウムイオン電池、制御モジュールは、基本的にすべてリーフと共通だが、商用車であることから力強さを発揮するため、減速比はリーフよりも大きく設定された。

リチウムイオン電池も、電圧360Vで容量240kWhとスペックはリーフと同じだが、ガソリン車と同等の荷室スペースを確保するため、モジュールの配列を工夫。e-NV200の航続距離は、JC08モードで185km~190km、最高速は120km/hという性能を実現。満充電に要する時間はAC200Vで約8時間、急速充電では約30分である。

EVらしい力強い走りと、重いバッテリーを床下に搭載することで低重心による優れた走行安定性は評価されたが、積載時や高速運転時の航続距離が大幅に悪化することが不評で、結局日本での販売は2019年10月に終了した。

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商用車ながら、流行りのミニバン的な要素も取り入れたNV200バネット。全体的に商用車という印象はかなり薄い、カスタマイズできるカッコいい商用車として、アクティブなユーザーに重宝されているモデルである。ちなみに、NV200バネットは、欧州において“インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー2010”を受賞している。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…