ゴルファー必見! キャロウェイ「E・R・C SOFTボール」初速すごっ! 打感やわらかっ! これもうツアーボールじゃん!?

クラブヘッドやフェース、パターのインサートの開発・設計にいち早くAIを導入、その道の先駆者となったキャロウェイから、満を持してAIが作ったボールがデビューした。絶賛発売中の「E・R・C SOFTボール」がそれ。AIが弾き出した構造や素材の配合でバージョンアップされた最先端のディスタンス系モデルということだが、果たしてどんなボールなのか? 試打職人・石井良介が、その実力のほどを吟味した。

TEXT&PHOTO:ゴルフサプリより転載(https://golfsapuri.com/)

ドライバーもアイアンも高初速の紛れもないディスタンス系ボールだけど?

E・R・C SOFTボール(以下ERCソフト)の設計にAIが投入されたことで、構造や素材の配合に関する設計数は爆発的に増加。人手による設計が過去5年間で約2600パターンだったのが約2000万パターンに。この膨大な件数からAIが導き出した最適構造は、中央部のハイパーエラスティック・ソフトファスト・Aiコア、中間部のハイスピード・Aiマントル、カバーのAiソフトハイブリッドカバーからなる3ピースだった。まず、そんなボールに対する石井の第一印象を聞いてみよう。

※本記事はゴルフサプリより転載。

『令和の試打職人』こと石井良介さんが解説。

「まず感じたのは、ドライバーショットでのボール初速の速さです。通常ディスタンス系のボールは、打った瞬間にポンッと球が上がる感じがあって初速が出づらいのですが、ERCソフトは思ったところに出球があって前に行きます。

これはデータを見ても明らかで、いきなり振った一打目から初速が67.3m/sも出ました。スピン量も2700rpmとディスタンス系としては多め。ミート率に至っては1.5と、これ以上ない数値でした。打ち出し角がもうちょっとあれば最高到達点が変わって、キャリーで245ヤードくらい行ったと思います。この一打に限らず、初速は平均的に出ていたのでびっくり。飛距離については間違いなくディスタンス系そのものです」

試打クラブは、石井の愛用ドライバーのひとつで使い慣れた「エリート ♦︎♦︎♦︎」(10.5度/VENTUS BLACK 6X)を使用。

ERC ソフト/ドライバー参考値

ERCソフト/アイアン参考値

アイアンではどうだったかというと、

「アイアン(7番)でもヘッドスピードの割に50.4m/sと初速が出ていました。スピン量もデイスタンス系にしては多めの4720rpm。打球は結構上がっていますが、それでもキャリーで150ヤードを軽く超えていました。飛距離的には十分ですし、ボールの落下角度も大きいですから止まりやすい球だと言えるでしょう」

ということで、飛距離やボールデータ的にはドライバー、アイアンともに予想を上回る結果だった。では、ディスタンス系ボールの弱点とも言える打感はどうだったのだろう? 気になるところを聞いてみよう。

インパクトでフェースに乗る感じ。ツアーボールのような適度なやわらかさ

ディスタンス系ボールのネックの一つとも言えるのが打感。一般的に硬く、フィーリング的に疑問符のつくボールが多いがERCソフトはどうなのだろうか。

「そうですね。ディスタンス系ボールは、おしなべて打感が硬く、弾く感じのインパクトになります。カバーが薄くてコアが硬いため、硬さが前面に押し出されて芯がない感じになり、打感がボヤけるのでしょう。いずれにしてもボールがフェースに乗る感じがありませんが、ERCソフトは誰が打ってもディスタンス系とは全く異なる打感が得られると思います。インパクトで“ムチッ”とボールがフェースに乗る感じがあるんです。これはいわゆるツアー系ボールで感じる適度な軟らかさに似ています。
キャロウェイのボールで比べると、クロムソフトよりはしっかり感があって、クロムツアーとはほとんど変わらないかちょっと硬めかもしれませんが、硬めと言うよりは、しっかりした感じになので僕は好きです。打音もカチン! ではなく、こもった感じですね。初速の速さに加えて打音を含めたフィーリングも悪くない。ディスタンス系ボールに対する見方がちょっと変わって、素直に“いいな”と思えました」

ボール中央部のハイパーエラスティック・ソフトファスト・Aiコアはボールスピードのアップ、中間部のハイスピード・Aiマントルはボールスピードとグリーン周りでのスピン性能の向上、カバーのAiソフトハイブリッドカバーは、よりソフトな打感を実現させた。とりわけAiソフトハイブリッドカバーは一般的なアイオノマーカバーの欠点を解消した前作までのハイブリッドカバーをさらにソフトにしたバージョン。前作で初採用されたグリップ・ウレタンコーティングシステムは続投しているので、打感の軟らかさはもちろんのこと、グリーン周りでのスピン性能は極めて高い。

アプローチでスピンを入れにいくとちゃんと反応してくれる!

ということで、最後にショートゲームでの性能を評価してもらおう。まずグリーン手前の花道から、グリーン奥に切られたカップに向けて約65ヤードのアプローチを打ってもらったあとパットを打ってもらった。

「打感はアプローチでもディスタンス系ボールのイメージと違って軟らかいですね。カバーのウレタンのコーティングが効いているのかもしれません。スピンのほどけ方には、ちょっとディスタンス系の匂いがしますが感触はいいです。イメージと違ったのは、ちょっと出球が高いことくらい。僕は普段スピン系のボールを使っていますが、違和感なく打てたのでちょっと不思議な気分です。スピン性能も感じて、普通に打ってもピンをオーバーすることはありません。かといってスピンが効きすぎるわけでもないので、アマチュアの方にはいいかもしれない。“スピンが効きすぎて止まっちゃった!”みたいなことが起こりませんからね。それでも、スピンを入れにいくとちゃんと反応してくれるところは、これまでのディスタンス系ボールにはない感じです」

「さすがにパットになるとディスタンス系の一面が出てきて初速が速いです。フェースに乗る感じは薄いですが、その分よく転がります。フェースインサートによっても変わるかもしれませんが、パターの作りを問わずよく転がると思うので、パットが打ち切れない傾向の人にはいいと思います」

前作に続き、ティショットやパットでボールの向きを合わせやすいと定評のあるトリプル・トラック テクノロジーを採用。センターに引かれた太めのレッドラインと2本のブルーラインの配置が絶妙で、ボールのセットのみならず、安定したストロークの実現にも一役買う。なお、カラーはホワイトとイエローの2種類をラインアップしている。最後にE・R・C SOFTのまとめと、どんなゴルファーに向くのかを聞いてみた。

「今回打ってみて、何ホールか使ってみたいなと思いました。僕にとってこんなディスタンス系ボールは初めてで、E・R・C SOFTは新世代のディスタンス系ボールという感じです。ヘッドスピードが40m/s前後の一般的なゴルファーが打っても、ロフト次第で高初速の球が出ると思います。ただ、トータル的に見るとディスタンス系ぽくないので、そこは面白いところですね。適性としては、ドライバーの飛距離がほしいけれど、グリーン周りでちょっとスピンを入れてコントロールしている感じも欲しい。スピン系ボールだと、技術的にスピンが入ったり入らなかったりで不安定という人におすすめだと思います。常識的に考えても、多くのゴルファーに適合するボールを作れるという意味でAIは優れていそう。アマチュアゴルファーにとっては隠れた名作になりそうなボールです」

キャロウェイ/ERCソフト
コア:ハイパーエラスティック・ソフトファスト・Aiコア
中間層:ハイスピード・Aiマントル
カバー:Aiソフトハイブリットカバー / ウレタンコーティング
カバーパターン:へックス・エアロネットワーク パターン
構造:3ピース

商品の詳細情報はキャロウェイ公式HPをご確認ください。

試打・解説:石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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