電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる

バッテリーEV(BEV)専用モデルとなった2代目ポルシェ・マカンがデビューした。モデルラインアップは4種類。「マカン」「マカン4」「マカン4S」「マカンターボ」である。マカンは後輪駆動。それ以外はリヤに加えてフロントにもモーターを搭載する4WDで、4→4S→ターボの順に高性能になっていく。スペックに関しては試乗したマカン4をベースにお届けしていこう。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

電気でも速いし、やはりポルシェ

ポルシェ・マカン4 Electric 4 車両価格:1045万円

現在でも注文可能な初代マカンは2.0L直列4気筒ターボと2.9L V6ツインターボのガソリンエンジン搭載モデルが設定されている。組み合わせるトランスミッションはどちらも7速PDK(DCT=デュアルクラッチトランスミッション)だ。2.0L版は最高出力195kW、最大トルク400Nmを発生。2.9L版の上位グレードはそれぞれ324kW、550Nmを発生する。

一方、BEVのマカン4Sの最高出力は285kW(ローンチコントロール時オーバーブースト出力は300kW)、最大トルクは650Nmだ。大容量のバッテリーを搭載しているので車重はガソリンエンジン版に対して300kg程度重くなるが、マカン4Sは0-100km/h加速を5.1秒でクリアする。初代マカンの2.0L版より1秒以上速く、280kWを発生する2.9L版のマカンS(4.8秒)に対してやや劣る程度だ。

ボディサイズ:全長×全幅×全高:4784mm×1938mm×1622mm ホイールベース:2893mm

新型マカンの全長×全幅×全高は4784×1938×1622mm。初代マカンSより60mm長く、11mm幅広で、1mm背が高い。ホイールベースは初代マカンSより86mm長い2893mmだ。ホイールベースの延長分に比して全長の延長分が短い点が示すように、前後のオーバーハングがホイールベースの延長分を少し相殺している。

すっきりしたフロントマスクは初代のイメージを受け継いでおり、近年のポルシェの特徴でもある4 in 1のライトユニットを採用している。ただし新型の場合、アッパーのライトユニットはデイタイムランニングライトで、ヘッドライトはバンパーに埋め込まれたロワーのライトユニットが受け持つ。

近年のポルシェの特徴でもある4 in 1のライトユニットを採用

プラットフォームはPPE

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像
R295/35R22

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像
R295/35R22

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像
R295/35R22

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像
床下は見事にフラット。エアロダイナミクスを考えた結果だ。

BEVにとって航続距離を左右する空気抵抗係数は重要で、新型マカンのCd値は0.25。床下を覗き込んでみたら、見事なまでにフラットだった。リヤサスペンションのロワーリンク底面にはカバーが装着され、フロントはタイロッド部に空気の流れをガイドする機能を持たせていると思しきパネルが設置されている。ヘッドライトユニットの下にはエアカーテンのインレットが設けられており、フロントホイールハウスに空気を導き、このエリアの空気の流れを制御する。

プラットフォームはフォルクスワーゲン/アウディグループで共用する電動車向けのPPE(Premium Platform Electric)を使う。アウディはQ6 e-tron、ポルシェはマカンが初出しだ。リチウムイオンバッテリーの総電力量は100kWh。これはグロス値で、実際には最大95kWh分を使う。角型セルはCATL製だ。システム電圧はJ1プラットフォームのタイカンと同じ800Vである。急速充電の充電出力は最大270kW。WLTCモードでの航続距離は613kmだ。

エンジンで走ろうが、モーターで走ろうが、ドアノブに手を掛けて開けた瞬間に音と感触で、「あ、これは確かにポルシェだな」と一瞬で悟らせる。そんなところが、さすがポルシェだ。ドアノブの操作にともなってドアがアンロックされる音とその感触が、精緻なメカの動きを想起させる。

紛うことなくポルシェのインテリア

8 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の8枚めの画像

9 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の9枚めの画像

10 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の10枚めの画像

1 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

3 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の3枚めの画像

4 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の4枚めの画像

5 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の5枚めの画像

6 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の6枚めの画像

7 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の7枚めの画像

8 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の8枚めの画像

9 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の9枚めの画像

10 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の10枚めの画像

1 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

3 / 10

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の3枚めの画像

インテリアはまさしくポルシェ。インパネの最も高い位置にメータークラスターがあり、アッパーウイングとロワーウイングが明確に分かれた構成で、911やタイカンと同じ。ドライバーの目の前にある扇形かつ三次元曲面形状のメーターはフルデジタルで、サイズは12.6インチ。中央に10.9インチのタッチディスプレイが収まっている。オプションで、助手席側にも10.9インチディスプレイを設けることが可能だ。

太めのグリップを持つステアリングホイールの左側に小ぶりのシフトセレクターが設置されている。幅広のセンターコンソールにコンベンショナルなシフトレバーがある初代マカンとは対照的な景色で、格段にモダンだ。

フロントサスペンションはマルチリンク式
リヤサスペンションもマルチリンク式

試乗車のマカン4はエアサスペンションとPASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)のセット、それに、5度の最大操舵角を持つリヤアクスルステアリングをオプションで装着していた。PASMは伸び側と縮み側それぞれ制御バルブを持つ2バルブの減衰力可変ダンパーを適用している。

タッチディスプレイでメニューを呼び出すか、ステアリングホイールに設置されたダイヤルで走行モードを切り換えると、モードに連動してダンパー減衰力の設定が変わる。また、タッチディスプレイではシャーシ、レベル(車高)を個別に切り換えることが可能だ。Electric Sport Soundのメニューもあり、これをオンにすると、加速時に電子的な演出サウンドが室内に響き渡る。Sport、Sport Plusの走行モードを選ぶと、Electric Sport Soundは自動的にオンになる。タイカンもそうだが、ポルシェの場合はエンジン音を真似るのではなく、完全なエレクトリックサウンドだ。

2 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

3 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の3枚めの画像

4 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の4枚めの画像

1 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

3 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の3枚めの画像

4 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の4枚めの画像

1 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

3 / 4

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の3枚めの画像

路面からの入力をボディがしっかり受け止めて妙に変位せず、サスペンションが意図どおりに機能するからだろう。「シャーシ」をSport、Sport Plusに切り換えても、しっかり感は増しこそすれ、それが不快感に結びつくことはない。操舵入力に対する反応は意図どおりだし、アクセルペダルの動きに対しても同様。応答はいいが過敏ではなく、踏めば踏んだだけ期待をどおりの力を出してくれ、爽快な気分にさせてくれる。ブレーキは強力無比だし、やはり、意図通りに減速・停止できる。

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

1 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の1枚めの画像

2 / 2

「電気になったマカンも「あ、これは確かにポルシェだな」と感じさせられる」の2枚めの画像

何もかもがドライバーの意思に忠実で、だから気持ちがいい。タイカンもそうだが、BEVであろうとポルシェはポルシェ。電動マカンの場合は後席の居住性や荷室の広さといったユーティリティの高さが魅力だ。

キーワードで検索する

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…