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自衛隊新戦力図鑑

最新戦闘機が6カ月ごとにローテーション配備

嘉手納基地は3500m級の滑走路を2本持つ。これだけの規模の航空基地は、日本国内では日米あわせても他にない。アメリカ空軍の西太平洋における重要な戦略的拠点として、歴史的に重視されてきた。また近年では対中国の最前線としても、その重要度が再認識されている。

第421戦闘飛行隊のF-35A戦闘機。同部隊は、ユタ州のヒル空軍基地からローテーション配備された。ローテーション部隊は、部隊名に「遠征(Expeditionary)」の語が加わり、「第421遠征戦闘飛行隊(421st EFS)」となる(写真/筆者)

嘉手納基地の主要部隊は、アメリカ空軍第18航空団であり、2個の戦闘飛行隊(戦闘機部隊)を中心として構成されている。これら飛行隊には長くF-15C/D戦闘機が配備されていたが、中国の脅威増大に対抗するため、現在は旧式化した同機の退役と最新型F-15EXへの交代を進めている。

現在ローテーション配備中である第336遠征戦闘飛行隊のF-15E。胴体側面に密着するように配置された増槽(コンフォーマル・タンク)により、以前のF-15より迫力がある(写真/筆者)

ただ、EXへの完全交代には2年間を要する見込みであり、その中継ぎとして嘉手納には常時3~4個の飛行隊がアメリカ本土などから6カ月ごとのローテーションで配備されている。現在はF-35Aが2個飛行隊、F-15Eが1個飛行隊配備されているが、これまでにはF-22やF-16も来訪したことがあり、さまざまな戦闘機を間近で見る機会ともなっている。

嘉手納基地に隣接した県道沿いに建てられた「道の駅かでな」。滑走路を一望できる大きな展望台があり、戦闘機が離着陸する様子を眺めることできる。筆者たちが訪れた日も修学旅行の学生など観光客が戦闘機の姿に見入っていた(写真/筆者)

「同盟国に安心を与える」司令官インタビュー

嘉手納を訪問した筆者たちを出迎えてくれたのは、第18航空団司令官/嘉手納基地司令官のニコラス・エヴァンス准将だ。嘉手納基地や、今後予定されるF-15EXの配備について、お話を伺った。

―まず、嘉手納基地の役割について伺えますか?

エヴァンス准将:私たちの主な任務は北朝鮮や中国、ロシアなど敵対勢力を抑止し、日本を含めた東アジアの同盟国やパートナー国に安心を与えること、そして日本を防衛することです。ご存じのとおり、私たちの基地では配備機をF-15EXへ移行しているさなかですが、この期間中も抑止や防衛、そして安心を与えるという任務を継続するため、戦闘機部隊のローテーション配備を行っており、防衛上のコミットメントを果たしています。

インタビューに答えてくれたニコラス・エヴァンス准将。自身もF-35Aのパイロットである(写真/筆者)

―F-15EXとは、どのような機体ですか?

エヴァンス准将:F-15EXは先進的な多用途機であり、これまでのF-15C/Dよりも多くの兵器を搭載可能で、より長射程の兵器も搭載できます。空対空のみならず、対艦・対地攻撃にも優れ、先進的な攻撃・防御能力を備えた強力な戦闘機です。

F-15EX「イーグルII」はF-15シリーズの最終発展型であり、制空はもちろん対地・対艦任務も可能な優れた多用途機だ。嘉手納には36機が配備される予定(Photo by Staff Sgt. Blake Wiles)

―F-15EXは非ステルスの第4世代機に属しますが、第5世代機(F-22やF-35などステルス機)が主流となるなかで、どのように戦うのでしょうか?

エヴァンス准将:第4世代機と第5世代機はステルス性以外にも、以前はアビオニクス(電子機器)の構成や統合に大きな違いがありましたが、現在では第4世代機のアビオニクスも第5世代機に匹敵するほど向上しています。

また、第4世代機は非ステルスではあるものの、コストが低く、多くの兵装を外部に搭載することができます。両世代機を混成運用することが、もっとも効果的であり、F-15EXやF-16など第4世代機と、F-22やF-35など第5世代機を組み合わせ、優れた混成部隊を組むことができます。私たちは那覇基地の航空自衛隊F-15J部隊とも世代混成の訓練を行っています。

南西諸島防衛を考えたとき、嘉手納基地の存在が果たす役割はとても大きい。アメリカもまたそのことを理解し、自衛隊とのあいだでも緊密な連携が行われていることが准将の言葉からも知ることができた。今後も、嘉手納基地を中心とした日米の防衛協力体制が、南西諸島の平和と安定の礎となっていくことは間違いないだろう。

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