【2021年の推しカー|ルノー・カングー】ディーゼル+MT。最後の限定車にふさわしい名車だ!(吉田直志)

ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
2021年1月〜2021年12月の1年間に発表・発売されたニューモデルのなかから、思いっきり個人的な観点からベスト3を選出していただくこの企画。四駆系雑誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとなった吉田直志さんが選んだ「2021年の推しカー」、その第1位はルノー・カングーのディーゼルエンジン+マニュアルトランスミッション搭載モデル。現行モデルの最後の限定車として話題を呼んだ1台だ。

TEXT●吉田直志(YOSHIDA Naoshi)

日本ではその気配を強く感じることは少ないが、グローバルには化石燃料をダイレクトに用いるモデルからの脱却が、一気に進んでいる。コロナ過ゆえに計画通りの生産台数に達していないこともあって、輸入車ではもう生産(日本導入)中止にしちゃったの?モデルも出てきており、そんな希少価値も高まって、中古車価格まで高騰。実はそういったモデルを選ぶ、最後のタイミングが来ている。

いうまでもないが、その多くは、いわゆるイマドキの先進安全装備が付いておらず、また、MT搭載グレードが残っていたりする、それこそ化石的な存在と称されてしまうモデルたちだ。たとえば、春先にコスパのいいモデルとしてピックアップしたルノー・トゥインゴS(MT)は、すでに販売中止となっており、中古車は新車価格を超える勢いが見られるとか。

こういうモデルに魅力を感じている、特に同世代にお伝えしたいのは、もはや迷っている暇はないということ。2022年になったらなんてのんびりと考えていたら、手に入らないことも考えられるのだから。ちなみに、この選び方について、その裏(いや表か)には、EVシフトという理想との矛盾があることは承知の上で…。

第3位:フォルクスワーゲン・ゴルフ

「試乗前は圧倒的なトップになると思っていたが…」

さて、いつもながらに前置きが長くなったが、ベスト3に選んだのはフォルクスワーゲン・ゴルフだ。ゴルフは、自らがベンチマークとしているモデルでもあり、試乗前は圧倒的なトップになるだろうと思いきや、3位。コンフォート感をベースに、ワインディングを走ってみたら超スポーティ(ベーシックグレードであっても)という、あのゴルフらしさは残っているものの、6→7世代目で感じたような、驚かしが少なかったことがその要因。熟成待ちかなといった印象もある。もちろん、モータードライブを見据えた設計であることは理解できるのだが…。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
フォルクスワーゲン・ゴルフ

やっぱりゴルフは奥深い。1.0ℓのeTSI Activeで不満なし

8代目となったVWゴルフ。ゴルフ8は、1.0ℓ直3ターボと1.5ℓ直4ターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた2種類のパワートレーンを設定する。もちろん、1.5ℓモデルの方が価格は高いのだが、では、1.0ℓモデルでは物足りないのか? 1.0ℓのeTSI Activeに試乗した。

第2位:ルノー・メガーヌR.S.

「GRヤリスも価格帯は近いが、自分はこちらを選ぶ」

2位はルノー・メガーヌR.S.(マイナーチェンジモデル)。このモデルは、最新技術を用いたハイパフォーマンスがクローズアップされてしまう(当たり前のこと)が、たんに速いだけではなく、操る愉しさを奥深くから引きだしている操縦性、日常域における快適性を備えている、そのハイバランスぶりに美点がある。

この改良モデルではそれをさらに追求しており、その揺るぎないスタンスに対して、もう拍手喝采といった感がある。しかも、車両本体価格が464万円からと、安い。いや、高いけど、内容を考えると、安い。近い価格帯にGRヤリスのトップグレードがラインナップされているが、ターゲットとした性能が異なること、クラスが異なることもあり、それを除いたとしても、自分はメガーヌR.S.を選ぶ。

ルノー・メガーヌR.S.
ルノー・メガーヌR.S.

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第1位:ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT

「豊かな接地感は言葉に言い表せないほど最高」

さて、1位は、21年7月に、現行型カングー最後の限定車と謳われて登場したルノー・カングー リミテッド ディーゼル MTだ。これぞ、最初に触れた、消え往く魅力を備えたモデルの1台。そもそもカングーの最終モデルということもあって、熟成レベルは最高潮に達したが、重量のあるディーゼルユニットを搭載したことで豊かな接地感にさらにしっとりといった質感が加えられており、もう、言葉にいい表せないほどに「最高」。

それは日常域だけではなく速度域をアップしていくと、さらに高められて行くもので、タイヤが路面に吸い付いているかのようなあのフィーリングが顔を出しつつ、その動きはまさにフラットであり、カタカナを使いたくなるほどにコンフォートでもある。直進性もすこぶる高く、ドライバーを含めた乗員から笑みがこぼれてしまうほどだ。

一方、ワインディングでは大きめのロールが酷評されることがあるが、実は、唐突なロールフィールを引き出さないようなハンドリングを行うと、その動きはまさにコンフォートであり、ドライバーはとんでもなく愉しい気分にひたれる。

気になるディーゼルユニットのスペックはたいしたことなく、実際、発進直後のトルクは想像しているほど太くはなく、2速発進を行えそうな雰囲気を伝えてくるものの、2速発進を実際に行うと、クラッチミート領域がごく僅かであることもあって、エンストを誘発する。しかしながら、2000回転前後でのトルクは太いと表現するよりも豊か過ぎて、完全にノックアウトされてしまうほどで、その回転前後を多用しての走りが実に愉しい。

ちなみに高回転域は、ほかブランドの最新ディーゼルユニットのようなトピックは見当たらないが、カングーディーゼルでは専用ギア比とした6速を採用していることもあって、すべてが3000回転以下で事足りてしまうため、不足を覚えない。そうそう、ミシュランのエナジーセーバー(195/65R15)との相性がとてもいいこと、さらにホイールキャップなしのスチールホイール(ブラック)は掃除しやすいこともお伝えしておきたい。

と、褒めちぎったカングーディーゼルの乗り味だが、ここまで愉しめる対話性は、ルノーはもちろん、これからの新型車が目指している乗り味のメニューからは外されていくもの。だからこそ、迷っているヒマはないのだが、残念ながら、この限定車は発表とともに即完売。その中古車価格は新車価格を大きく上回るプライスをつけているようだ。

ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT
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30年近く、紙パック式掃除機(もちろん電源コードあり)を使い続けてきたが、やはりハンディタイプにある、面倒なく掃除できる気軽さに魅力を感じていた。ただ、どうせならとサイクロンタイプなハイスペックタイプを見ると、年末でセールになっていても4万円と高額。

と、そこで発見したのが、いわゆるコンパクトハンディなスタイルに延長ノズルをプラスしたこのタイプ。もちろんサイクロンタイプではないけど吸引力は十二分だし、コンパクトなヘッドは扱いやすさがあるし、15分程度の連続使用性能でも十分だし、セールで1万円程度という価格を含めて、理想。ま、ゴミ捨てにコツが必要だけど、そんなの気にならないレベル。おかげで、ちょっとしたホコリを見かけただけで掃除をするようになりました。

ちなみに、バッテリーは、HiKOKIの工具ならば流用可能。そこもポイント。

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著者プロフィール

吉田直志 近影

吉田直志

四輪駆動車専門誌出身ながら、コテコテのクロカンモデルだけではなく、乗用車系ハイパワー四駆も所有。後…