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7年経ってセールスが上向くクルマは少ない!
4代目NDロードスターがデビューしたのは、2015年5月。すでに7年が経とうとしている。ライトウェイト・オープンスポーツというカテゴリー自体が、いまやロードスターだけ、と言っていいから、まさに孤軍奮闘の活躍を続けているわけだ。
7年といえば、通常はモデル末期も末期で販売台数もかなり減って……ということが多いのだが、マツダ・ロードスターの場合はそれは当てはまらない。おそらく、あと数年はNDロードスターは生産されるだろうし、マツダもNDロードスターの改良を続けていくだろう。
2021年12月の商品改良では、KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)と呼ぶ車体姿勢の新しい制御技術を投入、同時に新しいボディカラーの投入を行なった。ハイライトは、「990S」という軽量の特別仕様車を設定したことだ。
990Sのドライビングインプレッションについては、また別に報告するが、ここではロードスターの販売状況を見ていこう。
ロードスターの累計販売台数は、1989年からこれまでに
グローバル:110万台以上
日本:約21万台
となっている。
日本での内訳は
NA型(1989-1998年):11.9万台
NB型(1998-2005年):3.1万台
NC型(2005-2015年):1.9万台
ND型(2015年~):4.1万台
となっている。
初代NAロードスターの大ヒットぶりがここからもわかるが、「NAへの回帰」を志向したNDロードスターがヒットしていることも見てとれる。
NDロードスターは、2015年から堅調に売れている。
990Sは予想以上に売れている!
ロードスターの主査である齋藤茂樹さんにお話を伺った。
MF 商品改良前は、Sグレードのシェアは4%でした。今回の990Sは26%も占めています。これは狙い通りですか?
齋藤さん 正直言って外しています(笑)。かなり上振れしています。990Sはすごく面白いクルマです。昔のNAを知ってる世代には、ものすごくさ刺さるだろうなと思って、我々も準備をしてきました。しかし、ナビゲーションがないとか、いろいろハードルが高い部分があるので、まぁ実際は1割ぐらいの構成比になるだろうと考えていました。
MF ところが、それが26%!
齋藤さん 蓋を開けてみると、50代を中心に多くの人から受注できています。ロードスターからロードスターへの乗り換えも多いですね。これを機に新たに一歩踏み出してきていただいた方もやっぱり多いです。
MF 受注に占める「新規購入+増車」の割合は40%です。
齋藤さん じつは30代以下の若い世代の構成費が倍になったんです。昨年までは20~30代で15%くらいしかいらっしゃらなくて、やっぱりロードスターはおじさんの乗り物っていう感じになってたんですけども。この商品改良で20~30代が30%に倍増しました。きっかけは言うまでもなく、990Sだと思います。軽井沢でお披露目したあたりからものすごく受注が増えてきています。若い方にもこのライトウェイトらしさっていうのが響いているんだと思います。
MF 990S、どうしてこんなに売れているのだと思いますか?
齋藤さん ブルーのコーディネートもよかったんだろうなと思ってます。カーナビの装備がないのですが、最近若い方は、スマホがあるのでナビいりませんよっていう方も多くて、特にハードルにはならなかったのかなと思っています。もうひとつは価格もあると思います。990Sの車両価格は300万近い(289万3000円)のですが、元々Sグレード(262万3500円)を買う方は、時間をかけてじっくりクルマを育てていくというか、そういう方が非常に多いのです。そういう視点から見ると、990Sはブレンボと大径ローターと鍛造のアルミが最初から付いています。それで、Sとの価格差が27万円くらいなんです。最初からついているのでものすごく買いやすい。そういう設定なのです。
MF 実際の販売台数はどうですか?
齋藤さん 1月の登録実績は1000台を超えました。受注で見ると、1月末に1160台を記録しました。ロードスターは、何年も月400台から500台ぐらいの販売でした。前に月1000台を超えたのは2016年の11月でした。RFを追加投入した月ですから、じつに5年2カ月ぶりの1000台超えです。
現行NDロードスターは、導入して7年が経つクルマです。7年経った商品改良で販売台数が倍増するっていうは、私も経験がありません。やはり990SとKPCの効果ですね。
MF コロナ禍の影響で世界的にロードスターの販売が好調だと聞きました。
齋藤さん 世界的にも見ても傾向は同じです。じつは、日本は、ですね。コロナ始まった直後はセールスが結構落ちたんですよ。でも2020年後半くらいからぐいぐい伸びてきまして、もうそれ以降もずっと前年超えの受注をいただいている状況です。それが今回の商品改良でまた急激に伸びてきたという感じですね。
MF 今までロードスター持ってた方が990Sに乗り換えるケースは多いのでしょうか?
齋藤さん 多いです。ロードスター全体では2割くらいがロードスターが下取りなのですが、990Sは大体3割くらいです。
MF NC型からND型へ、ですか?
齋藤さん 大多数はNDですね。NDからNDです。少しNCが混ざってきます。NAは1台もいないと思います。NAは、もう貴重品になりましたから、多分持ってる方は手放さない。うんNAはほぼいないですね。
MF 今回の商品改良は、KPCにしろ990Sにしろ、デザインには手を入れていません。いわゆるコスメティックチェンジはしていませんが、NDロードスターの今後はどうなりますか?
齋藤さん 商品改良の中期計画は、毎年のように立てながら、どこに何をやろうか、いろいろと検討してます。今後は今回の990Sもそうですけが。動的な領域も含めていろいろと商品改良を検討していきたいなという思いはあります。ですが、デザインについては、変えるつもりはありません。デザインが変わるときは、次期型NE型ということです。とはいえ、なにぶん、このロードスターはまだ先が長いんでね(笑)。
グローバルの販売台数はどうなっている?
コロナ禍でロードスターの販売が増加しているのは、日本だけではないと聞いて、調べてみた。
まずは、北米の販売台数だ。2013~2021年までの年間販売台数を以下の通りだ。
2013年:5780台
2014年:4745台
2015年:8591台
2016年:9465台
2017年:11294台
2018年:8971台
2019年:7753台
2020年:8807台
2021年:10547台
2015年からND型に切り替わったわけだが、その後も販売は堅調。しかも、コロナ禍の2020、2021年は確かに販売台数が増えている。
欧州はどうだろう?
2021年のロードスターの欧州販売は6891台。これは前年比46%アップ。確かに、ロードスター、売れている。