プロボックスといえばトヨタの4ナンバーサイズの商用車。オリジナルの発表が2002年7月。そして2014年にフルモデルチェンジといえるほどの大改修が行われ、エクステリアでも前後の大幅なデザイン変更があったものの、進化をし続けるという表現がふさわしいのがプロボックスだ。そのためなんとその歴史は今年2022年で驚くことに満20年にもなる。
その間にプラットフォームの進化や、サクシードとのエクステリアの共通化、ハイブリッドの追加などなど様々な歴史を持つことになったが、商用車としての基本の扱いやすさはピカイチ。だからこそ、ここまで生き続け、そして他の追随を許さなかったのだと思う。全幅1690mm、全長4245mm、最小回転半径4.9mというコンパクトさも、未だ狭い路地の残る日本では有難いところだ。
そのデザインは、まさにものを運ぶ仕事のための車。四角い実用一点張りの車でありながらも、角を削ったようなちょっとした洒落具合が20年経過した現代でもあまり違和感とならない。
実用車であっても、その時代のトレンドに迎合しすぎたり、変にスポーティさを印象づけようとしたりすると、時代経過のなかで古さはどんどん強調されていってしまうもの。しかし、まず実用ありきで使いやすさを追求したところが、古さを感じさせない第一の理由になっている。逆に考えるならば、使いやすいならば、敢えて変える必要はない、その理論によってここまで多くのユーザーから愛されてきたのだ。
そしてこのプロボックス、昨年2021年12月に車種整理などが行われた。最もベーシックなDXというグレードがなくなり、GXグレードが新設。これによってグレードはG(ガソリン仕様 1.3L/1.5L)、GX(ハイブリッド仕様)、GL(ハイブリッド仕様)、F(ガソリン仕様 1.5L)、F(ハイブリッド仕様)の5つのバリエーションとなった。価格はガソリン仕様の最もベーシックなGで149.1万円(税込)、ハイブリッド仕様では179万円(税込)と魅力的。よりハイブリッドに力を入れたラインナップとなっている。
ところでこの新しいプロボックスのグレードを外観から見分ける方法をご存知だろうか。ポイントは2点。ホイールキャップ、ドアサッシのブラックアウトかドアハンドル等のブラックアウト化か、ということだ。
ホイールキャップを装備すれば最上級のF。このモデルと次のグレードのGLはサッシをブラックアウト化している。なので、ホイールキャップを付けずにサッシがブラックならば、GLということになる。そしてホイールキャップがなく、サッシをボディ同色とするのが、その下のGXとG。この2グレードは、ドアハンドル、サイドミラー、バックドアガーニッシュがブラックとなる。ただしGXはハイブリッドのみなので、ハイブリッドの表示がなければGだとわかる。
そして何より嬉しいのが、どのグレードもリヤシートを倒すと床面がフラットになること。それも最上級のFには座面などの厚いシートが採用され、座面を持ち上げるダブルフォールディング式を採用するので、後席の快適性までにも配慮されている。また、座面は外すこともでき荷室の最大長を稼ぐこともできる。さらにこのシートは、その他グレードにもメーカーオプションとなっているので、希望すれば最もベーシックなGでも、このシートを選ぶことができるのだ。
まだまだ、ユーザーに優しいプロボックスだが、不思議なのはこの車を超えるモデルが出てきていないこと。20年も経過してもプロボックスの価値は不動なのが、いいのか悪いのか、ちょっと考えてしまうのだ。