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合計100万km以上の走行を目指して着々とテスト中!
異例の試作車公開。“三菱ふそう”の電気小型トラックが第二世代モデルへと進化する。今回の報道発表は電動トラックでリードする同社の取り組みを披露するのが狙い。公開の場となったのは敷地面積117万㎡を誇る喜連川研究所。178の実験設備を備え、走行試験路の総延長は14.4kmに及ぶ。その実験設備はさらなるEV開発に伴い、積極的な設備投資を行い、順次刷新されているのである。
同社では2039年までに国内の全新型車両をカーボンニュートラル化すると明言。そのためには“さらなる電動化”を推進すると言う。(もちろん開発は電動化の1本に絞られているわけではない。)
2017年から投入されているeCanterもすでに5年が経過しグローバル市場で350台以上を販売。日本でも110台以上が稼働、累計走行距離は450万km以上に及んでいるそう。下のフリップ(昨年11月時点での公表データ)を見直すと、普及の勢いが伸びていることがわかる。
eCanterは2020年にマイナーチェンジされて安全装備を充実させた。さらに今回披露したモデルは次世代モデルとされている。発売時期や新型車両の詳細についても明らかにされなかったが、その動向について、今年中にはハッキリする模様だ。
目指した進化は架装も含めてラインナップの拡充。現行はGVW(総重量)7.5トンだったが、多彩なニーズに対応できるようにする事。航続距離も伸ばす。様々な車体バリエーションが用意されるだけに、バッテリー搭載もユーザーニーズに応じて選択可能になる。
当然、基本的な航続距離が伸びていることも間違いないが、それについては未公表。唯一明言されたのは、災害時等に役立つよう、給電装置を装備できるよう考慮したと言う。
なお、車両は公開されたものの、許されたのは遠巻きからの外観撮影のみ。室内撮影も接近撮影もNG。ただ初代モデルとはバッテリーが異なっている事、その搭載方法も違う事がわかる。あくまで試作車なので推測に過ぎないが、重量物の搭載レイアウトを見直し、バランスの良い走行性能が追求されているのではないかと思えた。
バッテリー電圧の高圧化等も含め、実用航続距離や充電時間等、第二世代モデルがどのような進化を披露してくれるのか、楽しみな存在であることは間違いない。
実験施設もEV用に次々刷新中。
上はシステムテストベンチ(台上試験装置)。実車を持ち込み、必要な負担を加えながらの模擬走行実験を行うことができる。バッテリーやインバーター等の冷却設備も整えられている。
右はコンポーネントテストベンチ。モーター等単体で台上試験ができる。以前はエンジンテストをしていた場所を転用。上方には圧力センサーの名残が見える。
2017年、所内各所に設備された50kw DC充電器。写真の急速充電器は、3種のコネクターを持つ。右から順に日本で普及しているCHAdeMO、欧州タイプのCCS、普通(家庭)充電のACにも対応。2021年には将来に備えて、175kW級の高出力急速充電器も追加設置された。
悪路で疲労を促進する耐久テスト。
うねりの多い石畳路を走る次世代eCanterの試験車両。沢山の水溜りが残る様は、堀の深いギャップの多さを物語る。もちろん各車フル積載。実際よりも過酷な状況を課すことで、確かな耐久信頼性を培う。