高級車と大衆車を分ける境界線とは何だろうか?
豊かなパワーとトルクがもたらすパフォーマンスだろうか?
あるいはレザーやウッドをふんだんに使って仕立てたインテリアだろうか?
はたまた、路面の凹凸を感じさせないほど快適な乗り心地だろうか?
確かにこれらは高級車の魅力に違いない。しかし、最近のクルマは内装の仕立てや乗り心地のレベルは高く、以前よりも高級車との差は縮まってきている。それでも、これまでさまざまなブランドのクルマに乗った経験から言うなら、高級車と大衆車でいまだに差がつくポイントと考えているのが「オーディオ」だ。
というのも、クルマのオーディオは単純に良いスピーカーを搭載するだけではなく、路面と接する際の振動から発生するノイズや、クルマそのものから生じるエンジン音などのメカニカルノイズさらに街中の環境音を総合的に減らすことで静粛性が高まり、結果としてオーディオの良さが際立つ。
同じ道を走っているにもかかわらず、高級車と言われるクルマは車内全体に音楽が響き渡ってロードノイズを目立たせないのだが、大衆車ではラジオパーソナリティの声や音楽が掻き消されてしまう。たとえ音量を上げても足元にあるスピーカーの存在感が目立つだけで臨場感に欠ける。その経験から“オーディオが良いクルマ”は目に見えない部分がしっかりとつくり込まれていると想定する一つの判断材料になっている。
これが「ノート」の選び方における一つのポイントとなる。
スポーティな乗り味の「NISMO」と、オーテック独自のデザインが施された「AUTECH」といったモデルを除けば、「ノート」とその上級モデル「ノート オーラ」の2モデルで購入を悩むこととなる。そして「ノート オーラ」にはオプションでBOSEパーソナルプラスサウンドシステムが用意されている。
「ノート オーラ」にオプション設定されているBOSEパーソナルプラスサウンドシステムは、ヘッドレストに内蔵されたスピーカーを含めた8スピーカーで構成されており、室内空間に合わせてサウンドのチューニングも行なわれる。プロパイロットなどとセットで装着する必要があり、価格は40万1500円高まる。
オプション込みの価格で「ノート オーラ(G)」は301万1800円。対する「ノート」は最上級グレードの「X」で218万6800円と差は大きい。しかし、「ノート オーラ」の場合、フロントドアガラスには遮音膜が入る。さらに、天井やドアにシンサレート吸音材が配置され、10〜20km/hの低速域でのエンジン音を「ノート」から2割も下げる制御が組み込まれている。先述したように、オーディオの良さを際立たせるための下地がしっかりとしているのだ。
「ノート」にプロパイロットを装着する場合、価格は44万2200円高まる。さらに、LEDヘッドランプ(9万9000円)や本革巻きステアリング(7万3700円)を装着して「ノート オーラ」と同等の機能を持たせると価格は280万1700円となり、差額は21万100円まで縮まる。ちなみに、「ノート オーラ」ではLEDヘッドランプと本革巻きステアリングは標準装備だ。
クルマでの移動時間を上質なものにしたいなら、境界線に一歩踏み込んで、「ノート オーラ」を狙ってみては?
モーターファン別冊 NISSAN NOTE Seriesのすべて
2021-2022カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した日産「ノート」を網羅した集大成。各車の特徴はもちろん、デザインやメカニズムの開発秘話も収録。