梅雨を迎える前、旅行前にはぜひチェックしておきたいワイパーの劣化具合。

クルマが進化してもその役割は変わらず!雨の日の視界はワイパー頼りだけに、定期メンテを忘れずに。【カーケア&メンテナンス】

シンプルにして偉大な機能部品と言えるのがワイパーだろう。100年以上のクルマの歴史の中で、その形も機能性も大きくは変わらない。地味な存在だけにメンテを忘れがちだが、雨の日の安全を確保するためには、ワイパーのチェックを怠りなく。
PHOTO&REPORT:近藤 暁史

新しいカタチのワイパーを開発したらノーベル賞モノと言われるほど、100年以上にわたってワイパーの形は変わらない。一時、マクラーレンが超音波を使ったまったく新しいワイパーを開発中とされたが、結局その後はどうなったのか、あまり伝わってこない。結局、ゴムでガラス表面を“カッパぐ”のが一番早くて、確実ということだろう。それだけ完成度が高いということだし、ジェット機にも小さいのが付いていたりもするほどの頼もしさだ。ちなみにワイパーを発明したのはアメリカのアンダーソンという人物で、1903年に特許が出されている。

完成度が高いとはいえ、形はシンプルで左右に動くアームの先にワイパーブレードが付いていて、ゴムによってガラス表面に付いた水滴を落とすというもの。実はこれだけで湾曲したガラスにしっかりと追従し、水分をしっかりと拭き上げるだけに絶妙な塩梅が求められる。それゆえ、日頃からの点検や交換といったメンテナンスが重要になってくる。

まずは点検から。そもそもワイパーは日光にさらされたり、低温から高温まで幅広い気温下で当たり前のように使用されるし、雨であれば動きっぱなし。そう考えると、放ったらかしで大丈夫なわけがない。点検方法はまずゴム全体を見て表面のヒビや凹んだところが裂けていないか。そして横(断面側)を見て、曲がっていないかも見る。直立しているのが正常で、ヘタってくると曲がってきて、こうなるとガラス表面に正確に当たらないので水分の拭き上げ能力は低下してしまい、拭きムラや拭きスジなどの原因になる。

ワイパーの拭きムラが出ないのがベスト。拭きムラが出るようならワイパーの寿命かもしれない。

点検はこれだけではない。ゴムばかりに目がいきがちだが、屋台骨であるブレードもチェックしておく必要がある。ワイパーが湾曲したガラス面にも追従できるのはブレードが複雑な構造をしているからで、全体を押してみてスムーズにダンピングするか。軽く揺すってみて、リベット部分にガタが出ていないかを見ること。とくにダメージを受けやすいのがリベットによる接合部分で、作動によるストレスやサビの発生などでガタが出やすいし、もちろん出てしまったら、新品に交換する。またブレードが装着されるアームについても揺すってガタを一応見ておこう。

インターバルはシーズンごとに点検して、1年で交換するのがベスト。劣化していて交換する場合、リプレイスゴムが販売されているのでゴムだけの交換も可能ではあるが、上記の理由により、可能な限りブレード毎交換したほうが良い。交換も慣れれば簡単で、ブレード全体を新品にすればガラス面への圧着性、ゴムの払拭性も元に戻すことができる。もちろん費用が違ってくるため、ゴムだけでも替えないよりはましではあるのだが。

ただ、最近はゴムだけは交換できないタイプも増えている。いくつかタイプがあって、まず広く使われているのが樹脂ワイパー。リヤワイパーは今やほとんどがこのタイプだし、軽自動車では助手席側にこの樹脂ワイパーが使われている車種もある。切れ込みが入った専用の交換ゴムもあるにはあって、一般的な交換ゴムにも強制的に替えられなくはないがけっこう難しい。樹脂ワイパー採用の理由はデザインを含めていろいろあるが、通常より高くなるのでディーラーの売り上げアップのため、という話も聞くが、真偽のほどはわからない。

そのほか、輸入車や国産でもプレミアムモデルに多いのが、いわゆるエアロワイパーで、ブレードがないというか、樹脂の一本モノになっていて、そこにゴムが溶着されているのが特徴。こうなると別々では交換できずに一体で交換となる。ちなみに一般的なワイパーに装着できる後付けのエアロワイパーもあるが、連結するフックの部分がそもそも異なるので注意が必要で、少し違和感が出てしまうため、純正とはまったく同じにはならないので要注意だ。

最後にお悩みとして多いのが作動時のビビリだろう。音だけでなくて実際にブルブルと震えるため、けっこう不快だったりして、ガラスに撥水剤(液体ワイパー)を塗ると、とくにビビリが出やすい。対策については実はこれといって決定打がないが、最近よく見かけるグラファイトワイパーを使用するといいかもしれない。グラファイトとは鉛筆の芯にも含まれる黒鉛のことで、鉱物を細かく砕いて潤滑剤としても使われるものだ。グラファイトワイパーはその名の通り、この粉をゴムの表面にまぶすことで滑りをよくして、ビビリを抑えてくれる効果があるので、気になる人は使ってみるのといいだろう。

ビビリ防止にはグラファイトワイパーがオススメ。新品を用意する時は長さを確認しよう。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部