ホンダ・ヴェゼルe:HEV 長期レポート | 購入編①第一印象は「腑に落ちない…これが新型ヴェゼル?」だった

僕がホンダ・ヴェゼルを選んだ理由 決め手はなんだったか?「e:HEV/FF/ボディ色はサンドカーキ・パール」

新型ヴェゼル e:HEV Z(FF)の車両本体価格は289万8500円
モーターファンをはじめとするさまざまなメディアで活躍中の山上博也カメラマンが新型ヴェゼルを購入した。「先代→新型」の「ヴェゼル→ヴェゼル」乗り換えである。第一印象は「えええっ?これが新型? これがヴェゼル?」と思ったのだが、購入に踏み切った。その理由から長期レポートをスタートしよう。
TEXT & PHOTO◎山上博也(YAMAGAMI Hiroya)

ヴェゼル→ヴェゼルへの乗り換え

6月10日新型ヴェゼルが納車された。購入したのはe:HEV Z のFF、ボディ色はサンドカーキ・パール。VEZEL to VEZEL、先代ヴェゼル(2016年式 HYBRID ZホンダセンシングFF、シナモンブロンズM)からの入れ替えとなる。新型ヴェゼル、今は気に入って購入したからまったく後悔はないが、じつは初対面での印象はあまり良くなかった……。

こちらが今までの愛車、先代ヴェゼル(2016年式 HYBRID ZホンダセンシングFF、シナモンブロンズM)

クルマ関連メディアでカメラマンをしていることから、幸運にも2月18日のワールドプレミアに向け2月10日に事前撮影をする機会を得た。所有の先代ヴェゼルは、5年の残価設定クレジットで購入しており、今年の4月下旬で満期を迎える。新型見て良かったらその場で直ぐディーラーにオーダーの電話をしよう!なんて考えながら意気揚々、撮影日が来るのを楽しみにしていた。

撮影場所はワールドプレミア前ということもあり一般の方の人目に触れないようテレビ収録や広告撮影などで使われる新宿区四谷の室内スタジオ、IMAGE STUDIO 109。検温など新型コロナ対応を一通り済ませたあと新型ヴェゼルが置かれているスタジオに案内された。

さあ、いよいよご対面だ。

ネット上では「CX-ハリアー」などと揶揄された新型ヴェゼルのスタジオカット。実物を見ると全然違うことがわかるのだが……。

「こちらへどうぞ」と入口の遮光カーテンを開けるとその先に白い(プレミアムサンライトホワイト)新型ヴェゼル(Z)があった。「んん!? なんかでかくなってない? なんかどっかで見たような…グリルが….なんか違うかも…」としっくりこない印象の初見であった。その左にベージュ(サンドカーキ)と黒のツートンの新型ヴェゼル(PLAY)が置かれていた。「この色は悪くないな」と思いながらも「新型ってこれなの?…」.と違和感が先に立ち、腑に落ちないまま撮影に臨んだのである。

これがホンダアクセス開発のグリル付のモデル。

まずはPLaYのフロント外観からの撮影、同色グリルに違和感を禁じ得ない。「メッキがないんだぁ…」キラキラメッキパーツが好きなわけではない筆者だが、そのフロント顔になじめないまま撮影を続けた。リヤ側に廻るとその奥先に赤いヴェゼルが見えた。その赤いクルマにはメッキと黒の「グリルがある!」。近寄って見るとそれはホンダアクセス開発のグリル付きアクセサリー車だった。

「デフォルトはこっちじゃないの」とつぶやきながらPLaYの撮影に戻る。まずは表紙用の決めカットを撮る為、さまざまな角度でカメラのファインダーを覗きかっこよく見えるポイントを探す。水平基調のプロポーションは決して悪くないデザインだと思いつつも、どこか既視感のあるデザインに「よし!これを買おう!」という高揚感は持てなかった。

先代ヴェゼルの内装。ジャズブラウンと呼ばれる茶色のコンビの内装だった。

ひと通り外観を撮影したあとインテリアの撮影に入る。まずはPLAYから。グレージュと呼ばれる白?明るいグレー?系の内装色は好印象。筆者、真っ黒内装は好きではない。所有の先代ヴェゼルもジャズブラウンと呼ばれる茶色のコンビの内装を選んでいたし、その前に乗っていたオデッセイもベージュ内装を選択していた。基本明るい内装色が好きなのである。

決め手は「ミラー」

新型ヴェゼルの内装。黒一色になってしまった……。PLayYはいいのだが、価格が……。

撮影のため運転席に座る。両脇のサポートもしっかりしているし座面の面圧も、シートは悪くない。フロントに目を移す。先代ヴェゼルより天井が低くなっているせいもありフロントウィンドウの縦幅が非常に狭く感じた。スタジオという特殊な場所なので実際の道路上の見え方はこの時点ではわからないものの、これもしかして信号見えづらいのではとちょっと心配になった。

先代ヴェゼルのミラー周り。死角が気になった。とても気になった。
どでかいドアミラーがAピラーと一体化していた先代。死角が…死角が…。

左右のドアミラーに目を移す。

「よしよし♪」ここはにんまりだ。先代ヴェゼルで筆者の最大の不満点はドアミラーの取り付け位置。どでかいドアミラーがAピラーと一体化して大きな死角をつくり、特に助手席側はひどく何度ヒヤッとしたことか。あまりに死角がひどいので、どうにかしたいと考えていたところ運よくアフターパーツメーカーのデータシステムさんが開発したサイドカメラの取り付け確認をしたいのでクルマを貸してほしいとのこと、良ければそのまま取り付けたカメラとモニターは差し上げますと相談されふたつ返事でOKした。

そのおかげで少しはましになったが、やはりモニター越しと実際の目視とは違うので、新型ではそこが解消されているのか、じつそこがエクステリアデザインより一番気掛かりだった。かっこよいエクステリアデザインであっても先代と同じように死角があるなら新型はパスするつもりだった。新型ではドアミラーの取り付け位置を変えたことでAピラーとの隙間が出来、視界がしっかり確保されていた。

こちらが新型ヴェゼル。
ミラー周りの死角が格段に減っている。

この変更点が最終的に新型への買い換えの決断の大きな要因のひとつになった。このドアミラーについては、撮影後に新型ヴェゼルの開発責任者の岡部氏に話を伺ったところ、先代に乗った奥様からも全然見えないと指摘されていたそうで、しっかり対策してきた旨ご返答をいただいた。

筆者にとって一番の懸案な部分はクリアしていたが、他はどうだろうか。

ミラー周りの死角が格段に減っている。
一番の懸念はこれでクリアになった。

次にラッゲジの撮影のためにテールゲートを開けた。新設定のパワーゲートになっており、ちょっと高級?になり、いい感じだ。荷室はというとここは一目で奥行きが先代より短くなっているのがわかる。カメラマンにとって機材を積む荷室は広いに越したことはない。手持ちの三脚が縦に入るか否か少し気掛かりなところではある。また内装は、先代ヴェゼルではドアの内張りがファブリックだったのが、樹脂パネルに変更となっていたりセンターコンソールのドリンクホルダーもピアノブラック仕上げから、装飾なしのハードプラになっていたりと、ちょっとチープで手抜きな感じの印象を受けた。

ラゲッジの側面もフェルト調仕上げからハードプラに変更とプラスチッキーなところが増え「なんで?コストダウンなの?…」という疑問点が湧いた(実際のコストはどちらがかかっているかは置いといての感想)。次はZの撮影、ドアを開けるとインテリアは真っ黒だ。先代Zのように他の色もあるのか、近くにいたホンダスタッフに尋ねたところ「ない」とのこと。この撮影時点では価格が発表されていなかったが噂ではPLAYは320万円を超えるらしい。予算的に支払いは現状と同じ程度にしたいので、購入するとなるとZだろうと考えていたが黒内装しかないという、これには正直がっかりした。

割り当てられた撮影の持ち時間が終了し、スタジオを出る。帰りの道中、今回の担当編集者から

「どうでした?新型、オーダー入れます?」と問われるも、

「いやぁ、なんかグッとくるものがないんだよね。少しマツダっぽいところもあるし……」マツダの魂動デザインは好きなのだが、ヴェゼルにそれは求めていない。ドアミラーの件は良かったが、この時点では新型にオーダーを入れる気持ちには全然ならなかった。

新型ホンダ・ヴェゼル購入記 「CX-ハリアー」とSNSで話題になったデザインが「じつはホンダらしい!?」と思えたのだ!

ワールドプレミアに向け先行撮影会でいち早く新型ヴェゼルの実車を見られたわけだが、撮影時はドアミラーの視界確保が確認できた以外はあっさりした水平基調のデザインは筆者の琴線に触れることなく今ひとつな印象だった。締め切りに間に合うよう事務所に戻り直ぐに撮影データを確認し入稿用データ作成のパソコン作業に入った。その時点では、まだ新型ヴェゼルのデザインに対し違和感は拭えなかった。しかしである……。 TEXT & PHOTO◎山上博也(YAMAGAMI Hiroya)

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著者プロフィール

山上博也 近影

山上博也

フォトグラファー。札幌市出身。株式会社ヴュー代表でWEB・DTPデザイナーだったりもする。
幼少より好き…