2018年7月5日、新型ジムニー&ジムニーシエラがついに発売。私が新型ジムニーを購入したスズキアリーナ横浜港北店にもジムニーとジムニーシエラの試乗車が準備できたと連絡があり、「そうだ、ジムニーシエラも乗ってみよう」と思い立ち、新型ジムニー XC 4AT車とジムニーシエラJC 4AT車を同じコースで比較試乗した。

店舗に到着するとジャングルグリーンのジムニーXC 4ATの試乗車の横になんと新型ジムニーのデザインルーツとなったご先祖様のジムニーがいた。新旧並んだジムニーの姿は新型を試乗に来ていたオーナーさんに許可をいただき、並べて写真撮影。歴史あるクルマ、期待の新型モデルなのだと改めて思った瞬間だ。

歴史と伝統を守り、発売された新型ジムニーの試乗会で、違う時代を生きる新旧ジムニーが並ぶ。

ディーラーには平日にも関わらず、新型ジムニー試乗希望の方たちで溢れ、「まるで混雑ピーク時のレストランのような人だかりと行列です。これまで経験したことのない混雑」とディーラーの営業担当者が驚いていた。若い方が多く、女性の方も何人かいた。新型ジムニーは老若男女の幅広い人々が「試乗したい」とディーラーに押し寄せ、大注目のデビューとなった。

迫力のオーバーフェンダーと僅かに伸びた前後バンパーがジムニシエラの特徴だ。

早速、新型ジムニシエラから試乗。ジムニーシエラの樹脂の質感を活かしたオーバーフェンダーはいかにもクロカンモデルらしく、いい感じのワイルド感が出ていて、写真で見るより迫力満点だ。ワイドトレッド化によって、操縦安定性もジムニーとは比べものにならないひど向上している。

大径タイヤ(大径ホイールではない!)は80扁平で分厚く、どんな悪路でも走破できそうなのはジムニーシエラも同じだが、ジムニーが16インチなのに対して、こちらは15インチを採用している。前後バンパーもジムニーに似ているがやや長く、幅広い。ボンネットフードが厚く、長く、ボリューム感があるスタイリングはジムニーシエラとなっても健在で、どちらも格好良く見えるデザインは実に秀逸だ。

ジムニーシエラのタイヤは15インチを採用。
ジムニーシエラはワイドトレッド化でジムニーよりどっしり安定しているがミラーtoミラーの寸法はジムニーと同じだ。

新型ジムニーシエラはオーバーフェンダーとワイドトレッド化されたが、実はミラーtoミラーの寸法はジムニーとジムニーシエラは同じ。街中での取り回しやすさや狭い道でのすれ違いなどではにそれほど大きな差はないのに安定性は向上して、歴代モデルの中でも抜群の安定感あり、格好いいデザインに仕上がっている。

ドアパネル下部はボディ色の鉄板むき出しでスパルタンな印象だ。
ジムニーシエラ JCのインパネはジムニー XCと共通。タコメーターのレッドゾーンは異なる。オレンジの独立メーターは古き佳き昭和レトロ感で趣がある。
ジムニーシエラJCとジムニー XCのLEDヘッドランプは割れないよう、ボディ内側寄りで、尚且つグリルより奥まった位置に装着されている。LEDは発熱しないこともあり、ヘッドランプウォッシャーも備える。スモールランプ点灯はこんな感じ。
ジムニーシエラJCとジムニー XCのLEDヘッドランプロービーム点灯とウインカーはこんな感じ。
ジムニーシエラJCとジムニー XCはウインカーレンズがドアミラーにも内蔵されている。
テールランプとリヤウインカー。悪路走破性を向上させるため、サイド部が切れ上がった機能的なデザイン。
4AT(4速トルコン式オートマチック)はグリップ部サイドのボタンを押しながら、前後に動かすストレートタイプ。昭和時代からの見慣れたレバーは実にシンプルで、運転に不慣れな人でも誤動作の心配が少ないというメリットがある。
オートエアコン周りのオレンジ照明は温かみがあって良い雰囲気だ。その下には左右パワーウインドウスイッチなどが並ぶ。
軽量コンパクトな設計のK15B型エンジン。ジムニーシエラ歴代で最も大きい1500ccの排気量で豊かなトルクとレスポンスの良さで胸のすく加速感が味わえる。

エンジンは自然吸気の直列4気筒1500cc、4バルブDOHCでジムニーシエラのために特別にチューニングされたもの。レブリミットは6200rpmと低めだが、とても自然な吹け上がりが印象的だ。ジムニーシエラ歴代で最も大きい1500ccの排気量によって低中回転域のトルクが豊かで、4気筒らしくスムーズな吹け上がりと静粛性も素晴らしいが、スポーツDOHCのようなビンビンのレスポンスと豊かなトルクによる胸のすく加速感はちょっと想像以上だ。


走り出してみるとややギヤ比がロングなので、発進時の元気さは軽のジムニーに譲るものの、じわじわと湧き出るトルクで伸びのある加速感は大人の余裕すら感じさせる。高速走行も試したが100km/hでエンジン回転数は3000rpm、ジムニーが100km/hで4000rpm弱であるのと比較して、静かで余裕が感じられる。街中での乗り心地がとても優しくソフトに感じられたジムニーに対して、ジムニーシエラはやや足が硬めの印象。

ワイドトレッドになって、コーナリングでもどっしり感が増えていることは想像通りだが、最も違いを感じたのは高速走行での直進安定性だ。ジムニーは強い横風が吹くと柔らかくてグラッとロールする足のためユラユラと揺れて、直進安定性が悪化する。横風が吹かなければもちろん問題ないが、対するジムニーシエラはワイドトレッドと締め上げられた足回りで横風にも強く、直進安定性はとても良い。高速道路での長距離ドライブでは安心感と疲労度がかなりの差が出そうだ。

新型ジムニーシエラJC 4ATはまずとにかく格好いい!これほど迫力あるオーバーフェンダーを装着した格好いい車が200万円ほどで買えること自体が素晴らしい。更に中身は本格クロカン4WDである。しかも前後重量配分は50:50に近く、街中ではFR車としてスポーツカーのように走れて、小回りが効く。そして、オフロードへ行けば4WDに切り替え、乗用車ベースのSUVではスタックしまうような悪路も走破してしまう逞しさを秘めている。実に魅力的なクルマだ。

エンジン、足回り共に大人の余裕が感じられ、しなやかに穏やかに走れる。オフロード走行、林道走行はいかに乗り心地の良いジムニーシエラであっても上下に身体が揺すられ、疲労も溜まる。行き帰りの高速走行ではジムニーシエラのエンジントルクの余裕、高速直進安定性の高さ、静粛性の高さがありがたく感じるだろう。高速走行で先行車を追い越したり、100km/h以上の高速走行をしたい人、ロングドライブをする人に適している。

対して、軽の新型ジムニーXC 4ATはジムニーシリーズの中で最も元気で若々しく、フレッシュだ。スタートから元気にグィ!っと加速して、キビキビ走ってくれる。いつも元気で楽しい。遊園地の乗り物に乗っている感じはジムニーXC 4ATが一番だろう。街乗りメインでたまに高速走行するのみ、それも法定速度以下でトコトコ走って目的地に向かう人には全く高速走行も問題ない。ワクワク感、キビキビ感、「楽しさ」だけに着目すれば、新型ジムニー最強だ。

5MTを選んだ筆者だが、4AT車の2台の出来の良さに正直驚いた。普通の4ATの熟成された走り、乗り味はなかなかのものだ。

あとはデザインの好みで選んで自分好みに走りと見た目をカスタマイズする。豊富なアフターパーツでそれができるのも新型ジムニー、新型ジムニーシエラの魅力だ(詳細は前回の新型ジムニーXC 4AT試乗記をご覧ください)。

発売直後にジムニーXC 4ATをスズキディーラーで初試乗! 【出来利弘のジムニーオーナーレポート:Vol.3】

2018年7月5日、新型ジムニーがついに発売。購入した店舗にはまだ実車が来ないが、スズキアリーナ船橋に試乗車があるという。1日も早く試乗したい気持ちが抑えきれず、早速お願いして新型ジムニー XC 4AT車を試乗させてもらった。初めて見る新型ジムニーは存在感に溢れ、期待以上の格好良さだった。 REPORT:出来利弘(Toshihiro Deki)

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試乗車と同じ生産ロッドをゲット! 自動車研究家の出来利弘はなぜジムニーを選んだのか。【ジムニーオーナーレポート:Vol.2】

自動車研究家で執筆活動を続ける出来利弘がマイカーとしてスズキ ジムニーXC 5MTを購入した。33年前に同じく新車発売時にすぐに予約、購入したユーノスロードスター以来の衝撃を受けたというジムニーの魅力をオーナー目線でレポートする。第2回は「なぜジムニーを選んだのか」に続いて、ボディカラーとグレードを選択し、購入を決めた理由。ディザーカタログを眺めて興奮した日々が蘇る! REPORT:出来利弘(Toshihiro Deki)

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自動車研究家で執筆活動を続ける出来利弘がマイカーとしてスズキ ジムニーXC(5MT)を購入した。33年前に同じく新車発売時にすぐに予約し、購入したユーノスロードスター以来の衝撃を受けたというジムニーの魅力を、オーナー目線でレポートする。第一回は「なぜジムニーを選んだのか」購入に至った経緯とどんな仕様を選択したのかに迫る。 REPORT:出来利弘(Toshihiro Deki)

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ヨンクマニアじゃないボクが1週間ジムニーを使って感じた良いところと気になるところ。スズキ・ジムニー試乗記

2018年7月に発表された現行ジムニーは、デビュー後しばらくの間、社会現象といえるほどの人気を呼んだ。現在のような半導体不足も生産の停滞もなかった時代に1年以上も納車を待たされるのはザラだった。そんな、異常なほどのジムニー過熱期を過ぎたいま、あらためてじっくりと向きあって、フツーの人にとってもジムニーは乗りやすいクルマなのかどうかをいま一度、確かめた。 PHOTO&REPORT:森本太郎

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