新型クラウン クロスオーバーは、現行クラウンが使っているフロントにエンジンを縦置きするプラットフォーム(後輪駆動ベース)のTNGA GA-Lではなくエンジンを横置きするGL-Kプラットフォームを使う。大変化だ。
しかも、トラディショナルなセダンではなく、クロスオーバーという車型をメインに据えてきた。
フォーマルセダンとは違う佇まいに賛否両論があるだろうが、新しいカタチで伸びやかで新鮮だ。しかも世界に打って出るという重要な役割も担うことになった。
ワールドプレミア時点ではピンとこなかった(失礼!)カタチだが、見ているうちに、伸びやかで美しく見えてみた。
大径タイヤを履いて車高を上げたスタイルを「クロスオーバー」とトヨタは名付けているが、意外なことにほかにライバルを見つけにくいデザインであることがわかる。
強いてあげると、
メルセデス・ベンツGLC/BMW X4あたりだろうか。
こうして見ると、GLCもX4も「SUVクーペ」然としている。SUVのCピラーを寝かせたスタイルがその特徴だ。この2モデルと比べるとクラウン クロスオーバーは4ドアクーペといわれた方が納得いくデザインだ。
「クロスオーバー」らしいのは、大きなタイヤ&ホイールだ。クラウン クロスオーバーRSが履くタイヤサイズは
225/45R21
である。21インチ(!)だ。このタイヤ外径は736.4mmにもなる。
ちなみに現行クラウンRSのタイヤは225/45R18でタイヤ外径は660.2mm。タイヤサイズの違いは、76.2mmも新型の方が大きいのだ。
新型クラウン クロスオーバーのボディサイズは
全長×全幅×全高:4930mm×1840mm×1540mm
ホイールベース:2850mm
では、メルセデス・ベンツGLCとクラウン クロスオーバーを並べて見てみよう。
メルセデス・ベンツGLCクーペ220d 4マチック
全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1605mm
ホイールベース:2875mm
だから、ホイールベースはGLCの方が長いが全長は190mmもGLCの方が短い。かといって、クラウン クロスオーバーの前後オーバーハングが長くて間延びしているか……といえばそうは見えない。
BMW X4 xDrive 20d Mスポーツ
全長×全幅×全高:4765mm×1920mm×1620mm
ホイールベース:2865mm
GLCとX4は同じ文法の上に構築されたスタイルであることがわかる。
タイヤサイズは
メルセデス・ベンツGLCクーペ220d 4マチック=235/60R18=739.2mm
BMW X4 xDrive 20d Mスポーツ=245/50R19=727.6mm
クラウンクロスオーバーの225/45R21=736.4mm
とタイヤ外径はこの3モデルは大径タイヤを履いていることがわかる。
全高はクラウン クロスオーバーが1540mm、GLCが1605mm、X4が1620mmでクラウン クロスオーバーが圧倒的に低い。サイドビューからわかるように、ボディの上下方向が薄いからスマートに見える。
いずせにせよ、新型トヨタ・クラウン クロスオーバーは、セダンでもクーペでもSUVでもいわゆるクロスオーバーでもない、新しいカタチを提案している。メルセデス・ベンツGLCやBMW X4よりも新しい印象を見る者に与える。
国内で「クラウン」と言えば泣く子も黙る絶大なブランド力、知名度を誇るが、世界に出ていくと、おそらく中国以外ではほとんど知られていないだろう。新しいクラウン クロスオーバーの新しいカタチが世界でどう評価されるのか? メルセデス・ベンツの3ポインテッドスターやBMWのキドニーグリルのようなひと目でわかるフロントフェイスも持っていない新型クラウン。国内よりも海外の評価がどうなるか、興味は尽きない。