目次
新型フェアレディZ 3.0ℓ60度V6DOHCツインターボ
フェアレディZが搭載するのは、3.0ℓV6ツインターボ。型式はVR30DDTTだ。北米で言えば、5.0ℓV8自然吸気エンジンの代替だし、もちろん日産のスポーツモデルの心臓部を担う役割を持つ。
Vバンクは60度。ボアピッチは、VQ型から引き継いだ108mmだ。ボア×ストロークは86.0mm×86.0mmのスクエア。
ターボチャージャーは各バンク外側に1基ずつの計2基。シリンダーはVQと同じオープンデッキだが、3.5層のガスケットやヘッドボルトの軸力管理で大きな燃焼圧力に耐える。ターボチャージャーは出力確保のために高回転化。オーバーランを避けるために渦電流式の回転センサーで回転数を監視。水冷式インタークーラーと電動ウェイストゲートで効率アップを図っている。
VR30DDTT
形式:V型6気筒DOHCターボ
型式:VR30DDTT
排気量:2997cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:298kW(405ps)/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5600rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)
使用燃料:無鉛プレミアム
タンク容量:62ℓ
GRスープラ 3.0ℓ直6DOHCターボ
スープラの心臓部は、BMW製直列6気筒ターボだ。型式はB58。現行のBMWのモジュラーエンジンの6気筒版だ。3気筒(1.5ℓ B38型)、4気筒(2.0ℓ B48型)、6気筒(3.0ℓ B58型)で単筒容積は500ccというわけだ。過給はツインスクロール式のターボチャージャーを使う。
スープラのデビュー時は「B58B30C」を積んでいた。現行モデルは「B58B30B」型を積む。
B58B30C 最高出力340ps(250kW)・最大トルク500Nm
B58B30B 最高出力387ps(285kW)/最大トルク500Nm
と47psもパワーアップしている。圧縮比はB(11.0)からC(10.2)と低くなっている。
B58B30B
形式:直列6気筒DOHCターボ
型式:B58B30B
排気量:2997cc
ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm
圧縮比:10.2
最高出力:285kW(387ps)/5800rpm
最大トルク:500Nm/1800-5000rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)
使用燃料:無鉛プレミアム
タンク容量:52ℓ
パワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオは?
パワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオも見てみよう。パワーウェイトレシオは、車両重量を最高出力で割ったもの。1psが受け持つ重量を示している。トルクウェイトレシオは同じく車両重量を最大トルクで割ったものだ。
パワーウェイトレシオ
フェアレディZ 6MT:3.926kg/ps
フェアレディZ 9AT:4.000kg/ps
GRスープラRZ(MT):3.928kg/ps
GRスープラRZ(AT):3.953kg/ps
トルクウェイトレシオ
フェアレディZ 6MT:3.347kg/Nm
フェアレディZ 9AT:3.410kg/Nm
GRスープラRZ(MT):3.040kg/Nm
GRスープラRZ(AT):3.060kg/Nm
とどちらも車重の軽いスープラの方がいい数値になっている。
BMEPも比べてみる。BMEP(Brake Mean Effective Pressure)とは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。
BMEP
フェアレディZ(VR30DDTT):19.9bar
GRスープラ(B58B30B):21.0bar
Zの新開発9ATとスープラの名機ZF 8HP
トランスミッションは、どちらも6速MTを設定しているのがトピックだ。新型フェアレディZの6MTは愛知機械製、スープラはZF製を使う。ハイパワースポーツモデルでMTが選べるのは、いまや貴重だ。
ギヤ比を見てみよう。
6速MTのギヤ比
最終ギヤ | 1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | 6th | ||
フェアレディZ | 6MT | 3.538 | 3.794 | 2.324 | 1.624 | 1.271 | 1.000 | 0.794 |
GRスープラRZ | 6MT | 3.462 | 4.110 | 2.315 | 1.542 | 1.179 | 1.000 | 0.846 |
1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | 6th | ||
フェアレディZ | 6MT | 13.423 | 8.222 | 5.746 | 4.497 | 3.538 | 2.809 |
GRスープラRZ | 6MT | 14.229 | 8.015 | 5.338 | 4.082 | 3.462 | 2.929 |
今度はATだ。
ATのギヤ比
新型フェアレディZは前型の7速ATから9速ATに進化した。9速ATはジヤトコ製だ。
トランスミッション自体は7速ATからサイズアップせずに9速化している。
対するスープラは、名機の誉れ高いZF製8HP(8AT)を使う。縦置きATのベンチマークとなっているトランスミッションだ。BMW、ジャガー、ランドローバー、アルファロメオ……など多くのFRモデルが8HPを使っている。
レシオカバレッジは
フェアレディZ:9.102
スープラ:8.203
とフェアレディZの方がワイドだ。
こちらもギヤ比を見ていこう。
最終ギヤ | 1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | 6th | 7th | 8th | 9th | ||
フェアレディZ | 9AT | 3.133 | 5.425 | 3.263 | 2.249 | 1.649 | 1.221 | 1.000 | 0.861 | 0.713 | 0.596 |
GRスープラRZ | 8AT | 3.154 | 5.250 | 3.360 | 2.172 | 1.720 | 1.316 | 1.000 | 0.822 | 0.640 |
1st | 2nd | 3rd | 4th | 5th | 6th | 7th | 8th | 9th | ||
フェアレディZ | 9AT | 16.997 | 10.223 | 7.046 | 5.166 | 3.825 | 3.133 | 2.698 | 2.234 | 1.867 |
GRスープラRZ | 8AT | 16.559 | 10.597 | 6.850 | 5.425 | 4.151 | 3.154 | 2.593 | 2.019 |
タイヤサイズは
フェアレディZ ver.ST:F255/40R19 R275/35R19
GRスープラ:F255/35ZF19 R275/35ZR19
で駆動輪(後輪)のサイズは同じだ。
最後は燃費対決
燃費も比較してみよう。
フェアレディZ(6MT)
WLTCモード燃費:9.5km/ℓ
市街地モード 6.4km/ℓ
郊外モード 9.9km/ℓ
高速道路モード 11.6km/ℓ
フェアレディZ(9AT)
WLTCモード燃費:10.2km/ℓ
市街地モード 6.6km/ℓ
郊外モード 10.9km/ℓ
高速道路モード 12.6km/ℓ
GRスープラ(6MT)
WLTCモード燃費:11.0km/ℓ
市街地モード 7.6km/ℓ
郊外モード 11.3km/ℓ
高速道路モード 13.3km/ℓ
GRスープラ(8AT)
WLTCモード燃費:12.1km/ℓ
市街地モード 8.2km/ℓ
郊外モード 12.5km/ℓ
高速道路モード 14.9km/ℓ
となっている。