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スポーツカーには欠かせない
最近のスーパースポーツカーには欠かせない装備となってきたもの、それがカーボンセラミックブレーキ。これはカーボン(炭素繊維)とセラミックによる複合素材で作られたブレーキローターで、その最大のメリットは軽いこと。
通常のスチール製ブレーキローターと比較するとカーボンセラミックローターは約半分の重量なのです。ご存知のとおり、ばね下の重量はクルマの運動性能に大きな影響を与えます。ブレーキ周りが軽くなると、サスペンションの動きがスムーズになって路面に対する反応や追従性が良くなるなど、とくにスポーツカーにとってそのメリットは絶大なのです。
さらにスチールよりも耐熱性や耐フェード性、耐久性にも優れているので、サーキットなど過酷な環境でも安定した性能を維持できるというメリットがあります。反面、低温時には制動力が甘く初期タッチが悪いなどの欠点もありましたが、最近のカーボンセラミックブレーキは街中でもほぼスチールローターと変わらないフィールを実現しています。ブレーキダストが非常に少ないという特徴もあり、ホイールが汚れにくいのも美点のひとつ。
ネックはやはりその価格
デメリットは、やはりコスト。ホンダNSXのカーボンセラミックブレーキのオプション価格は116万2300円(発売当時)と、安い軽自動車が買えてしまうほどの価格でした。
現行型のポルシェ911GT3にオプション設定されているポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)は、な、な、な、なんと! 152万9000円。
普通に走るぶんには通常のスチールローターでも性能は充分ですし、サーキットをガンガン走る人以外はこんな高価なパーツは不要なのですが……見た目も明らかにスチールローターとは違うカーボンセラミックブレーキはドレスアップ効果も高く、やはり欲しくなっちゃいますよね。
現在はフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンは一部を除いてカーボンセラミックブレーキをほぼ標準装備していますが、ポルシェ911はターボS以外はカーボンセラミックブレーキは基本オプション扱いです。
サーキット指向の高いGT3でもオプションというのは意外ですが、これはおそらく「ブレーキは消耗品だからコストの低いスチール製をひんぱんに交換したほうが良い」というポルシェの考えからでしょう。どちらが正しいかではなく、考え方の違いですね。
その後、日産GT-R NISMOが2020年モデルからカーボンセラミックブレーキを標準装備しています。ローター径はフロント410mm、リヤ390mmというかなりの大きさを誇りますが、これはGT-Rの重量を受け止めるためでしょう。
LFAもNSXも生産が終了してしまったいま、カーボンセラミックブレーキを装着している日本車は日産GT-R のT-spec仕様だけとなっています。そう考えると、さみしいですよね……。今後の日本メーカーに期待!