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ボディ拡大に押しの強い意匠 街乗りの走りや加速力も秀逸
1995年に北米向けとして登場したレガシィ グランドワゴンは乗用車にSUVテイストを融合させたクロスオーバーの先駆け。いまでもレガシィ アウトバックという名でスバルのフラッグシップとして君臨している。新型は北米では2019年発売なので3年もタイムラグがあるものの、1.8lターボエンジンやアイサイトXの標準装備といった日本専用に仕立てられているので、待ったかいがあっただろう。
エクステリア
先代モデルに比べると全長50mm、全幅35mm、全高70mmの拡大を受け、 デザイン的にも押しが強くなったので存在感は大いに増した。また、SUVテイストがより濃厚になった印象を受ける。特に、2種類用意されるグレードのうち「X-BREAK EX」はラギッドな雰囲気だ。もう一方の「リミテッド EX」はアーバンでラグジュアリーなキャラクターが与えられている。
乗降性
エンジンはレヴォーグと同様のもので最高出力や最大トルクに変わりはないが、大きなレガシィ アウトバ ック向けにファイナルギヤを低くして加速力を向上させている。それもあってか、発進からスムーズで力強さを感じる。1700kgの車両重量を意識させないほどだ。
1600-3600rpmと、低くて幅広い回転域で300Nmの最大トルクを発生しているからこその発進加速に頼もしさがあり、2500rpm程度まで回すとさらにトルクフルな感覚。4000rpmに達すれば十二分に速い。ドライブモードを最もスポーティなS♯にするとアクセル操作に対するツキがさらに良くなり、ハーフアクセル以上ではステップアップ制御が働いてリニアな加速フィーリングが楽しめるようになる。CVTながら、ここまでダイレクト感があるのはあっぱれだ。
インストルメントパネル
最低地上高は先代よりも13mm高い213mmで、ライバルたちに対しても高くとられている。それだけ悪路走破性を意識しているわけだが、オンロードでの振る舞いもなかなかに優秀だ。最低地上高を高めつつ操縦安定性を確保するためには、サスペンションを硬くする必要があるものだが、レガシィ アウトバックは乗り心地が優しくて硬さなど微塵も感じさせない。音・振動も抑えられていて高級車のフィーリングだ。
居住性
強くブレーキを掛けたときにノーズダイブがやや大きめで、確かにサスペンションがソフトなことを実感するが、コーナーを素早くクリアす るような場面では思ったほどロールせずに、実に安心・安全な走りを披露する。これこそ低重心な水平対向エンジンを搭載する強み。スバル自慢の4WDも相まって快適性と安定性を、圧倒的に高い次元でバランスさせることが可能なのだ。
うれしい装備
月間登録台数 1343台(21年12月〜22年3月平均値) 現行型発表 21年10月 WLTCモード燃費 13.0 km/l
ラゲッジルーム
高い最低地上高に加えて、アプローチアングルやデパーチャーアングルなども本格SUVのようにとられているので、悪路走破性はステーションワゴンベースのクロスオーバーとは思えないほどに高い。まさに万能な走行性能をもち、インテリアの質感は高級車並み、世界的にも最高レベルの先進運転支援システムなど、フラッグシップモデルとして一点の曇りがないレガシィ アウトバック。 長らく待たされたが、実に満足度の高い日本仕様となっているのだ。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.141「2022-2023 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/141