戦国時代のハイグリップラジアルタイヤ界! 最新のコレは、好感触だぞ!【TOYOTA GR86 長期レポート25_AE86~GR86への道】

今回は235/40R18サイズを装着。ホイールサイズは18×8.5J 43だ。
群雄割拠のハイグリップタイヤ市場。今回、そのなかでも「実力と価格面でのバランスが取れている」と名高いネクセン・N FERA SUR4Gを投入してみたぞ。これが意外なことに(失礼ながら)、快適な街乗り性能を確認できたのだ。

TEXT&PHOTOS:加茂 新(KAMO Arata)

純正採用されるメーカー

ハイグリップラジアルタイヤは戦国時代。筆者のこれまでの履いた経験を元にするならば、最強のグリップはBridgestone[ POTENZA RE-71RS ]だった。もちろん価格もそれなりに高い。
プレミアムな路線のYOKOHAMA[ ADVAN NEOVA AD09 ]がライバルとして存在するが、もうちょっと価格は高い。
逆に少し価格が低く、グリップはそこそこながら、それを長く使えるDUNLOP [ DIREZZA ZⅢ ]は根強い人気を持つ。

そんな関係図に割って入ろうというのがNEXEN[ N FERA SUR4G ]だ。価格は実勢価格でDIREZZA ZⅢよりも2割ほど安いイメージ。

そもそもネクセンとはどんなメーカーかというと、75年以上もあるメーカーでポルシェやフォルクスワーゲンに純正採用される実績をもつ、ハンコックタイヤと並んで韓国からハイパフォーマンスなタイヤを供給しているメーカーだ。
そのなかでもSUR4Gはいわゆる街乗りからサーキットまで楽しめる、ハイグリップラジアルと言われるカテゴリーのタイヤ。

デザインは回転方向が指定されるタイプだが、じつは最近のタイヤ、この部分に流行が現れているのだ。

手前方向に回転する指定がされている設計。ショルダー部のブロックは独立していないので、かなり大型でステアリングに対するインフォメーションやグリップ力の安定化を狙っていると推測できる。

ひと世代前のタイヤはそのほとんどが回転方向を指定するタイプだった。しかし、ここのところRE-71RSやAD09のような、回転方向を指定ではなく、タイヤの内側と外側を指定するタイプが増えている。
これには荷重がかかりやすいアウト側の構造を強化したり、ブロック自体を大きくして摩耗しにくくするとか、潰れやすいイン側の構造を専用に見直すなど、より細かく設計ができるからだと推測される。

タイヤによっては内側と外側のラウンド形状が違っていて、キャンバー角を補うような設計がされていることもあるという。そういった最新トレンドもあるが、SUR4Gは回転方向を指定するタイプ。
だから、悪いとか古いとか言っているわけではないから誤解なきよう。設計思想が違う、というだけの話なのだ。

それは、しっとりと路面を掴む

履いてみてすぐに感じたのは、ロードノイズの少なさ。皆さんは同じタイヤで新品にしたことがあるだろうか。それだけで相当ノイズは静かになる。
ということは、異なる銘柄のタイヤに装着して静かになったら、それは新タイヤの性能なのか、新品にした効果なのかがわからないのである。とはいえ、その新品効果を差し引いても静かなのである。
過去にはアジアンタイヤと呼ばれるリーズナブルなタイヤで、物凄いロードノイズが出るものがあったが、そういった類いの商品でないことは確かだ。

乗り心地も結構ソフト方向。剛性が高く、ゴリゴリと乗り心地が悪化するタイプではない。しっとりと路面を掴むタイプで、快適性はかなり高い。
加茂は今回、サーキットでの試乗はしていないが、持ち主をよそにタイヤだけはサーキットをしこたま走行。1日で60分以上もミニサーキットを走行した。

今回はGOLDEX本庄モーターパークを走行。15分枠を6回走行。各枠すべてを走りきったわけではないが、60分近くは走っている。

だからその後の帰路で、熱が入ったことでどう変化するかが楽しみだった。その結果はというと、やや高周波的な甲高いロードノイズが増えた気もするが、それほど増えてはいなくて許容範囲。
フィーリング的にもゴリゴリさが増えたりもせず、あまり変化は感じられなかった。

減りはこんな感じなので、ライフは結構長い方。このあと硬くなったりしないかを継続してテストしてみようと思う。

自分ではサーキット走行をしていないが、グリップはDIREZZA ZⅢレベルだという。
つまり最新ハイグリップタイヤのトップレベルではないが、充分にサーキットを走るハイグリップタイヤとしてのグリップ力はあるという結論が出た。
価格はお手頃で、それでいて減りもさほどではない。サーキットで遊ぶタイヤとしての性能充分! これはなかなかだぞ。

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トヨタとスバルが共同開発したFRスポーツ、86。フルモデルチェンジを受けてGR86となったわけだが、86といえば元祖AE86カローラ・レビン/スプリンター・トレノ。AE86、86KOUKI、そして最新のGR86に乗り換えた86マイスター、加茂新がオーナーだからこそわかるGR86の魅力を長期レポートします。

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著者プロフィール

加茂 新 近影

加茂 新

1983年神奈川生まれ。カメラマンの父が初代ゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継ぐ影響で16歳で中型バイ…