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悪路走破力は国内最強の実力 乗り味良好な足まわりも自慢
ジムニーは悪路走破力の優れた軽自動車のSUVで、ジムニーシエラは、これをベースに開発された小型車だ。ラダーフレームやボディの基本部分、車内の広さなどはジムニーと共通だがエンジンは異なる。ジムニーは660ccのターボだが、ジムニーシエラは直列4気筒1.5lの自然吸気だ。最高出力は102ps(6000rpm)、最大トルクは13.3kgm(4000rpm)だから、前者はジムニーの1.6倍、後者は1.4倍に増強された。
エクステリア
ジムニーでも動力性能に不満はないが、ジムニーシエラは排気量が2倍以上に増えるから、ターボを装着しなくても実用回転域の駆動力が高い。特に低回転域の粘りと加速力に余裕を感じる。駆動力の細かな調節もしやすく、街なかから滑りやすい悪路まで、さまざまな場面でメリットを感じる。またジムニーシエラでは、ギヤ比がハイギヤード化されたので、エンジン回転数が抑えられてノイズも減った。変速の頻度も下がり、走りはスムーズだ。
乗降性
走行安定性も悪路向けのSUVとしては良好だ。軽自動車のジムニーは全幅が1475mmだが、ジムニーシエラはオーバーフェンダーの装着などによって1645mmまで広げた。トレッドも前後ともに130mmワイド化されて四輪が踏ん張る。
タイヤサイズは、ジムニーは16インチ(175/ 80R16)で、ジムニーシエラ は15インチ(195/80R15 )でもワイドだから、グリップ力も高まった。峠道などのカーブを曲がるときは、旋回軌跡を拡大させにくい。ステアリングシステムは悪路向けのボール・ナット式。操舵に対する反応は少し鈍いものの、悪路向けのSUVに不慣れなユーザーが運転しても、違和感はさほど生じない。
インストルメントパネル
4WDには前後輪の回転数を調節する機能が備わらないため、舗装路は後輪駆動のFRで走る。その代わり副変速機を装着した。4L(4WDのローレンジ)にシフトすると、速度が下がる代わりに駆動力が増強される。空転したホイールだけにブレーキを作動させ、グリップ力を確保するブレーキLSDトラクションコントロールも採用されたことにより、デコボコの激しい滑りやすい路面も走破できる。悪路向けのSUVらしく、最低地上高は210mmの余裕があり、ホイールベースは2250mmと短いので悪路のデコボコも乗り越えやすい。
居住性
コンパクトなSUVとしては、乗り心地も快適だ。足まわりが柔軟に伸縮して、指定空気圧は前後輪とも180kPaに抑えた。最近のコンパクトな乗用車では、燃費向上のために指定空気圧を230kPa以上に高める場合もあるが、ジムニーシエラは柔軟に感じる。その代わりWLTCモード燃費は、4速ATの場合、14.3kmとあまり良くない。軽自動車のジムニーも同じ数値だ。
うれしい装備
月間登録台数 1366台(21年10月〜22年3月平均値) 現行型発表 18年7月(一部改良 21年10月) WLTCモード燃費 15.0km/l※5MT車
ラゲッジルーム
それでもジムニーシエラは、日本で購入可能なSUVでは、悪路走破力が最も高い。ボディがコンパクトだから曲がりくねった林道にも最適で、Uターンを強いられた際の取りまわし性も優れる。雪道や悪路を走る機会の多いユーザーには最適で、ジムニーシエラなら動力性能と直進安定性も向上するから、高速道路を使った長距離の移動にも対応できる。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.141「2022-2023 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/141