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新型PHEVはハイブリッド車と共通デザインに
■2代目プリウスPHV
プリウスは4代目プリウス発売から遅れること2017年2月に登場。プリウスPHVとしては2代目にあたる。初代プリウスPHVは3代目プリウスのプラグインハイブリッド車として2009年12月からリース、2012年1月から一般販売が開始され、2016年4月まで販売された。
この2代目はTNGAプラットフォームなど基本骨格は4代目プリウスと共用しつつも、全くオリジナルのデザインとなりワンモーションフォルムは共通ながら、切れ長のヘッドランプや左右が連続するテールランプなどは新型プリウスにも通じるように思われる。
縦長のディスプレイやダブルバブルリヤウインドウ、トヨタブランド発となるCFRP(炭素繊維強化樹脂)製のリヤゲートなど先進の技術が詰め込まれたが、大型化したハイブリッドバッテリーをラゲッジルームに搭載する関係で、ラゲッジルーム床面が高くなっていた。また、乗車定員も4名とされるなど使い勝手はハイブリッド車に軍配が上がり、価格面も含め実用車というよりイメージリーダー的な立ち位置にも感じられた。
■新型プリウスPHEV
新型プリウスPHEVは新型プリウスのワールドプレミアで同時に発表され、実車も公開された。独自デザインが与えられた2代目のPHVと異なり、基本的にはハイブリッド車と共通のデザインとなっている。
そこにPHEV専用のリヤのコンビネーションランプとガーニッシュのカラー(ハイブリッド車:赤、プラグインハイブリッド車:白)や、専用デザインのホイールが装着されていた。
ただし、今回の発表ではプラグインハイブリッド車はドアやリヤゲート、ボンネットを開けることはできず、内装やエンジンについては確認することはできなかった。
新型プリウスのデザインはPHVに近い?
■フロントビュー
4代目プリウスから大きく変わった新型プリウスのデザインだが、それはプリウスPHVと新型プリウスPHEVにも言える。ただ、プリウスPHVは4代目プリウスと異なるヘッドランプユニットを備え、ブラックアウトされたフロントグリルと連続したデザインになっているため、新型プリウスと4代目プリウスよりは近いように感じられる。
一方でワイド&ローが強調された新型ではバンパーも開口部は薄く幅広にデザインされ、バンパー中央部をブラックアウトして高く見せるとともに縦型のポジションランプを配するプリウスPHVとはデザインの方向性が異なっている。
加えてキャラクターラインや加飾、ランプ類の配置なども新型では極めてシンプルにまとめられたのがわかる。
■サイドビュー
2代目プリウスPHVのサイドビューは4代目プリウスと大差はない。ただし、フロントまわりのデザインが異なることから全長は4645mmと4代目プリウス前期型からは100mm以上(後期型で70m)伸びている。
2代目プリウスPHVの全長はフロントまわりのヘッドライトとデザイン変更によるものなので、フロントオーバーハングが4代目プリウスよりも長くなっていた。写真を見比べると新型プリウスPHEVは現行型に比べて前後オーバーハングがかなり短くなっているのがわかる。
フロアからボディ後方に跳ね上がるキャラクターラインが存在するのは新型と現行型の共通点ではあるが、新型では跳ね上がる位置がかなり前方、フロントドアの中間くらいに移動している。
また、現行型でフロントバンパーからリヤドア辺りまで伸びていたもう1本のキャラクターラインは、新型ではなくなりシンプルなサイドビューになった。
■リヤビュー
ダブルバブルリヤウインドウから続く三次元曲線を描いたテールに、リヤコンビネーションランプからガーニッシュが続くデザインが特徴的な2代目プリウスPHVのリヤまわりのデザイン。
それに対して新型プリウスPHEVでは完全に横一直線になっている。ナンバープレートをバンパーに移したことからテールゲートが平滑になり、サイドへ続く下向きのキャラクターラインもコンビネーションランプのガーニッシュから連続的になったことと、縦デザインのランプ類が無くなったことと合わせて、いたってシンプルになった印象を受ける。
「PHEV」のバッジがテールゲート右下に配置されているのはハイブリッド車と同様で、違いは「P」が入ってるかいないかだけだ。
モデル | 新型PHEV | 現行型PHV |
全長 | 4600mm(-45mm) | 4645mm |
全幅 | 1780mm(+20mm) | 1760mm |
全高 | 1430mm( -40mm) | 1470mm |
ホイールベース | 2750mm(+50mm) | 2700mm |
タイヤ直径 | 679mm(+53mm/+44mm) | 626mm(15インチ) 635mm(17インチ) |
ホイールサイズ (タイヤサイズ) | 19インチ (205/50R19) | 17インチ(215/45R17) 15インチ(195/65R15) |
PHEVのインテリアはハイブリッド車と違いはあるのか?
■インストゥルメントパネル
今回の発表では残念ながら新型PHEVはドアを開けることができず窓越しに見るだけにとどまったが、現行型のプリウスとプリウスPHVほどの大きな差異は見受けられなかった。多少の差別化はあるかもしれないが、現行モデルのプリウスとPHVほどの差は無さそうだ。
11.6インチの縦型タッチディスプレイをセンターに配したコンソールが特徴的な現行型のコクピットだが、センターメーターやインパネシフトなど、デザインのみならずインターフェースの配置も新型に継承されている要素はまったくと言っていいほどない。
■シート
新型プリウスではインテリアカラーが3つ用意され、写真のハイブリッド車のレッド系の他に、グレー系とブラック系がある。発表会の新型PHEVはシートに赤系の加飾が見てとれたが、インテリアカラーの設定やPHEVならではの専用インテリアが用意されるかはまだわからない。現行プリウスでは撮影車両のファブリックシートや、本革シートなどが用意されていた。
また、現行型ではデビュー時はリヤシートを2名掛けとした4名乗車になっていたが(2019年のマイナーチェンジで5名乗車に改良)、新型PHEVのリヤシートがどうなっているかは確認できなかった。おそらく、ハイブリッド車と同様に5名乗車になっているのではないかと思われるが……。
■ラゲッジルーム
現行型はラゲッジルームの床下にハイブリッド用の大型リチウムイオンバッテリーユニットを搭載しているため、床の位置がかなり高い。6:4分割可倒式の後席格納時のフラットさは良好だが、縦方向のスペースはハイブリッド車より減少している。
発表会ではドア同様リヤゲートも開けることができず、ラゲッジルームがPHEVとハイブリッド車で異なっているのかは確認できなかった。しかし、新型PHEVではハイブリッドバッテリーをラゲッジルーム床下ではなく、後輪車軸前方のリヤシート下に設置しているのでラゲッジルームが現行型のように狭くなっている可能性は低い。
スポーツカーに匹敵するパワーと1.5倍のEV航続距離
やはり今回の発表で新型PHEVのエンジンルームを見ることはできなかったので、現行PHVとの見た目で比較することはできない。発表されたデータでは、2.0Lエンジンを搭載してシステム最高出力が223ps、0-100km加速が6.7秒、EV走行距離が従来から50%以上向上となっている。
未発表の車重次第ではあるが、200psオーバーの出力と0-100km6.7秒の加速はスポーティな走りを予感させるに十分な数字だ。特に加速で言えばアバルト595やアバルト124スパイダー、ポロGTI(先代モデル)といったターボエンジンを搭載したコンパクトスポーツと同等。モーターのトルクの立ち上がりの速さを考えれば、ダッシュ力はかなり高いのではないだろうか。
モデル | 新型PHEV(2.0L) | 現行PHV(1.8L) |
システム最高出力 | 223ps 164kW | 122ps 90kw |
0-100km/h加速 | 6.7秒 | (1※) |
EV走行距離 | 102.3km(※2) | 68.2km |
※2 「50%以上向上」からの編集部計算値
「50%以上向上」としているEV走行距離は、従来型の発表値が68.2kmだったので単純計算で102.3kmとなる。ハイブリッドバッテリーが小型化しているにも関わらず、大幅なパワーアップとEV走行距離を伸ばしたことは、新型PHEVの大きな進化と言えるだろう。
現行型のようにハイブリッド車とプラグインハイブリッド車が大きく違うということはなさそうで、プラグインハイブリッド車の実用性や使い勝手はハイブリッド車と同等と考えても良さそうだ。
1500WのAC100V電源はハイブリッド車同様に装備し、さらにPHEVには現行型にも用意されているコンセント付きのビークルパワーコネクターもある。リヤウインドウに設置する外部給電アタッチメントも用意されていて、野外での電力供給源として使うことができるので、レジャーやアウトドアはもちろん災害時の非常用電源としても活用できるのは頼もしい限りだ。
加えてこの動力性能となれば、新型PHEVには大いに期待したくなる。今後発表される追加の情報や、インテリア、ラゲッジルーム、エンジンルームを見ることができる機会が待ち遠しい。