フォーミュラEもサクラ! 日産が桜のデザインを取り入れた 新カラーリングのGen3マシンを公開

次のシーズンを戦う日産のフォーミュラEマシン。
2014/2015シーズンからスタートした「電気自動車のF1」という位置づけのフォーミュラE。マシンは、2018/2019シーズンから第2世代(Gen2)に進化し、次のシーズン(2022/2023)から第三世代(Gen3)に切り替わることになっている。そのGen3のマシンが公開された!

第3世代で大きく進化するフォーミュラE

Nissan Gen3 Reveal, France on november 19th 2022 – Photo Germain Hazard / Royal Spark
Nissan Gen3 Reveal, France on november 19th 2022 – Photo Germain Hazard / Royal Spark

「電気自動車のF1」という位置づけのフォーミュラEは、2014/2015シーズンからスタートしている。マシンは、2018/2019シーズンから第2世代(Gen2)に進化し、次のシーズン(2022/2023)から第三世代(Gen3)に切り替わることになっている。また、2024年には東京・お台場周辺での開催も予定されている。

Gen3は、戦闘機の空力フォルムにインスパイアされた破壊的なデザインを持ち、フォーミュラEのレースが開催されるストリートサーキットでのホイール・トゥ・ホイールに特化・最適化が行なわれている。パフォーマンス面では、フォーミュラE史上最速となる最高速度322km/h(理論値)を誇り、レースで使用されるエネルギーの40%以上を回生ブレーキで賄う。最大出力350kW(470BHP)の電気モーターによる電力効率は、内燃エンジンが約40%なのに対し、約95%を達成するという。

Nissan Gen3 Reveal, France on november 19th 2022 – Photo Germain Hazard / Royal Spark
Nissan Gen3 Reveal, France on november 19th 2022 – Photo Germain Hazard / Royal Spark
次のシーズンを戦う日産のフォーミュラEマシン。

また、フォーミュラカーとして初めてフロントとリヤにパワートレーンが搭載され、リヤの350kWに加え、フロントに搭載された新パワートレインで250kWを追加し、現行シャシー“Gen2”の2倍以上となる合計600kWの回生能力を実現する。さらにレース中の追加エネルギーとして、世界最先端商用充電器の約2倍となる600kWの超高速充電機能にも対応する。

日産は、フォーミュラE世界選手権に、日系メーカーとして初めて、シーズン5(2018~19)から参戦している。日産はGen3マシンが導入されるシーズン9(2022/23)からシーズン12(2025/26)まで、フォーミュラEに継続して参戦し続けることを発表している。

2022年4月には、e.damsレースチームを買収し、フォーミュラEへの取り組みをさらに強化した。そして、2022年6月には、フォーミュラEでGen3マシンが使用される期間を通じて、マクラーレン・レーシングに日産のEVパワートレーンを供給することも発表している。 

日産のアシュワニ グプタCOO(最高執行責任者)は
「日産の長期ビジョンを実現するための電動化戦略において、フォーミュラEは大きな役割を担っています。日産単独チームとして初めて参戦するシーズン9は、日産にとって新しい時代の到来を告げるものとなるでしょう。日産の長いモータースポーツの歴史を支えてきたのは、他がやらぬことをやるという精神です。日本の伝統を表現した新しいカラーリングも、コース上で大きな注目を集めることでしょう。Gen3時代の素晴らしい幕開けを迎えるための準備はできています。シーズンの開幕が本当に楽しみです」と述べた。 

日産フォーミュラEのゼネラルマネージャーで、日産フォーミュラEチームのマネージングダイレクターであるトマソ・ヴォルペ氏は
「私たちは、新シーズンの門出を祝し、日本のDNAを取り入れた今までにないユニークなデザインのマシンをつくろうと考えました。今シーズンは、フォーミュラEにとってGen3マシンを導入する大きな節目です。また、私たち日産にとっても、チームの全オーナーシップを取得し、新チームとして運営を始める重要な節目となります。さまざまなチャレンジを乗り越えて新シーズンを迎えることを、すべての日産従業員、関係者が楽しみにしています」と語った。 

新ドライバーラインアップ

日産フォーミュラEチームは、フォーミュラEレースでの優勝経験もあるノーマン・ナトー選手と、2022年のスーパーフォーミュラでランキング2位となったサッシャ・フェネストラズ選手という、経験と若さを兼ね備えたふたりの新しいドライバーで新シーズンに挑む。ナトー選手は17号車を、フェネストラズ選手は23号車をドライブする。 

ナトー選手のコメント

「これまでにない新しいカラーリングをとても気に入っています。サーキットでも、とても目立つことでしょう。この桜のデザインは、新たな扉を開く選手権やチームにとってふさわしいものです。私自身のキャリアにおいても新たなスタートを迎えることになり、本当にワクワクしています。やることはたくさんありますが、それも楽しみでしかありません。これからもマシンの開発とチームの準備を進め、開幕戦のメキシコに良い状態で臨めるように集中していきます。私は準備万端です。新しいチームでの新シーズンが待ち遠しいです」

フェネストラズ選手のコメント

「マシンは美しいですね。桜のデザインも気に入りました。フォーミュラEでこのようなデザインは見たことがありませんし、日本の伝統に敬意を払うことは素晴らしいことだと思います。バレンシアに着いたらすぐにテストを始めたいですし、コースに出るのが待ちきれません。フォーミュラEに参戦することは、私にとって大きなステップです。そして、チームのプロ意識と献身的な姿勢に触れ、ベストの結果を出すよう決意を新たにしています。シミュレーターも使いながらマシンの開発と調整を繰り返し、良いスタートが切れるよう準備を進めていきます」 

日産フォーミュラEチームのドライバーは、12月13日から16日にかけてバレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで行なわれる公式プレシーズンテストで、新たなカラーリングをまとったGen3マシンの初走行を行なう。

シーズン9はフォーミュラE史上、最多となる17戦が予定されている。インド、南アフリカ、ブラジルの3都市で初めてレースが開催され、ロンドンe-Prixが最終戦となる予定だ。 

シェルとザ・ウールマーク・カンパニーとパートナーシップを締結

日産フォーミュラEチームは、シェルとの提携を継続するとともに、ザ・ウールマーク・カンパニーと新たなパートナーシップを結んだ。 シェルは、新シーズンにおいても日産チームとのパートナーシップを継続し、EVの効率を最適化するシェルEフルードの開発と、EV充電ネットワークの拡大につなげていく。

シェル・モビリティのグローバルエグゼクティブバイスプレジデントであるイストゥバン・カピターニ氏は
「フォーミュラEにおける日産とのパートナーシップを通じて、私たちはサーキットで得た経験を、一般道におけるEVユーザーに向けた製品やサービスの開発に活用しています。フォーミュラEは、シェルリチャージやシェルEフルードなど、よりクリーンな製品を開発・生産するための重要な実験場なのです」と語った。 

ザ・ウールマーク・カンパニーは、日産チームのテクニカルパートナーとして、メリノウールを使用した高性能なチームユニフォームを開発した。メリノウールは肌に優しく、通気性に優れているため、湿度や体温の調節がしやすいという特長がある。こうした特長を高度なパフォーマンスが要求される環境に合わせて最適化し、チームのユニフォームに採用した。

ザ・ウールマーク・カンパニーのマネージングディレクターであるジョン ロバーツは
「私たちの技術チームは繊維特有の性質を生かし、環境負荷の少ない、これまでにない製品を開発することに成功しました。メリノウールならではの革新的な性能を、私たちの開発力と生産技術によって最大限に引き出し、フォーミュラEの活動を支えていきます」とコメントしている。 

ヴォルペ氏は
「サステナビリティと電動化という視点で、価値観や優先課題、そして長期目標を共有できる企業と提携することは非常に重要なことでした。日産と同様に、より持続可能な未来の実現を目指すシェルとザ・ウールマーク・カンパニーの両社と、技術とイノベーションを通じた協業ができることを誇りに思います」と締めくくった。

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