2019年に設立された「エムズスピード阪南工場」が担う大きな役割とは?

【大人の工場見学へ!】完全デジタル&オートメーション化! 最新のエアロパーツ製作現場は驚きの連続だった!

・完全自社生産を目指した「エムズスピード阪南工場」の設立
・FRP素材からABS/AES素材へ変更された理由とは?
・真空成形機やNCルーター、最先端設備の導入

ネットショッピングも見据えた、流通スピードの向上と量産体制の強化

エアロパーツをはじめ、ホイールやマフラー、さらにはサスペンションキットなど、様々なカスタマイズパーツを開発している「エムズスピード」。新型車の製品開発に積極的なうえ、同社のオリジナルパーツでカスタマイズされた新車が購入できる「新車カスタムコンプリートカー」の販売をいち早く展開してきた。最近はネットショッピングにも力を注いでいるが、その体制を整えるための一歩だったのが、カスタムパーツの完全自社生産を目指した「エムズスピード阪南工場」の設立(2019年)。従来のエアロパーツ製作過程と現在ではどう変化してきたのか? エムズスピードの津田さんに話を伺ってみた。

エムズスピード/津田さん:(以下、津田)従来のエアロパーツはFRPと呼ばれるファイバー素材で製作されていました。熟練の職人が、手作業でファイバーを貼りながら製作する工程でしたので、ひとつの商品を製作する時間も当然かかります。それとFRP製品の場合、クルマへ取り付けるためのフィッティング加工や塗装といった作業も必要。購入したお客様はプロショップ等で取り付けてもらう必要がありますので、商品代の他に塗装代や取り付け工賃といったコストが別途かかっていました。それを大きく変えたのが最新の設備や技術の導入です。

エアロ開発の過程を大きく変えた、“3Dスキャン&3D CAD デザイン”の導入

津田:阪南工場の設立は、エアロパーツの開発をFRPからABS/AES素材へ変更し、完全自社生産を目指す目的もありましたが、それ以前に導入していたのが“3D CAD デザイン”によるエアロ開発です。クルマ1台を3Dスキャンによってデータ化し、“3D CAD デザイン”によってエアロパーツをデザインします。高精度な製品開発を目指し、ミリ単位でエアロパーツをデザインしていきますので、フィッティング精度が格段に高まります。この“3D CAD デザイン”と阪南工場の設立によって大きく変化したのが商品の量産体制強化と流通スピードの向上です。1週間で製作できるエアロパーツが、FRP素材の場合5セット程度に対し、ABS/AES素材で作業工程をオートメーション化した阪南工場であれば50セット以上作ることができます。結果、常に在庫を用意することができますので、お客様からのオーダーにスピーディに対応できます。また、ABS/AES素材のエアロパーツは塗装せずそのまま装着できますので(未塗装品の設定もあり)、ネットショッピングで購入した商品をお客様自身が取り付けられます。それまで必要だった取り付け工賃や塗装代が必要ないので、コスト削減にも繋がります。デザインが複雑なものやLEDなどの配線が必要なエアロキットに関しては、DIYで取り付けるのが難しい場合もありますが、将来的にはそういったエアロパーツもDIYで取り付けられるような製品を考えていきたいと思っています。

1枚の板(ABS/AES樹脂シート)が形状化されるまでわずか数分

製品クオリティを向上させることで、「クルマのカスタムは専門店にお願いする」というこれまでの概念を、「自分でも簡単に楽しめるもの」へと変化させてきたエムズスピード。その根幹を支えているのがエアロパーツの完全自社生産を可能にした「エムズスピード阪南工場」の設立。最先端設備の導入により大きく進化したエアロパーツの開発現場を、津田さんと阪南工場の河内さんに案内していただいた。

エムズスピード阪南工場/河内さん(以下、河内):エアロパーツを製作していく工程ですが、まずは“3D CAD デザイン”によってデータ化されたデザインを元に、3Dプリンターで試作品を作ります。完成したサンプルを車両へ実際に取り付けてデザインやフィッティング感をチェックしますが、この過程が時間のかかる作業。この製品データのOKが出れば、エアロパーツを成形するための「真空成形機」、成形された製品をきれいにカットしていく「NCルーター」といった専用設備によって一気に製造が進みます。「NCルーター」でカットする際にできる「バリ」と呼ばれる出っぱりやトゲのようなものは、工場スタッフの手で処理していきますが、製造工程のほとんどがオートメーション化されていますので、短時間での大量生産を可能にしています。

【1】真空成形機によって瞬時に成形

ABS/AESエアロ製作の要となるのが「真空成形機」。ABS/AES素材のシートを高温で熱し、柔らかくなったシートを製品の型に押し当てながらシートを真空吸引する。瞬間冷却され、あっという間に成形される。今回は新型ヴェルファイア用のフロントグリルが製造される工程を直接見ることができた。

【2】成形されたフロントグリルを誤差なくカット

真空成形されたフロントグリルの不要部分を「NCルーター」でカットしていく。3D CADで製作された設計データを元に、0.1mmの誤差も生じないレベルでカットされていく。カットされた不要部分は廃棄されず再利用されるなど、環境にも優しい試みをおこなっている。

【3】“バリ”取り、両面テープの貼り付け、梱包、そして発送!

製品の”バリ”をきれいに処理し、固定するための両面テープを設置。最終的な仕上げ作業は工場スタッフの手によって行われる。検品作業後、梱包されお客様の元へ発送される。

一部車種の製品は3Dプリンターによって製品化

エアロパーツの多くが3Dプリンターを使い製品サンプルを製作しているが、一部製品に関しては3Dプリンターによって出力したものを製品化している。小ロッドでの製作が可能なため、将来的にはオーダーメイドのパーツ開発も夢ではないかも!?

【エムズスピード阪南工場】

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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