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TESLAのフラッグシップモデル【モデルS】
TESLAの名を世界に広めた、TESLAのフラッグシップモデルです。ボディスタイルは基本的に4ドアクーペですが、他に類のない独自性の強いデザインとしての押し出し感を醸し出しています。初期モデル生産から早くも10年近くが経ってしまいましたが、エクステリアやインテリアは改良が進み、2022年時点でも先進感は失われていません。
現在、TESLAの日本ホームページで掲載されているモデルSは、米国仕様のスペックとして表示されています。それによりますと、走行性能は、最大出力は670馬力、最高速度は時速250km、停止状態から時速100kmまでの加速時間は3.2秒、満充電での航続距離は652kmです。また、ハイスペックモデルのモデルS「Plaid」では、それぞれの数値が1020馬力、時速322km、2.1秒、そして637kmとなっています。
こうした数値からも分かるように、日本での一般道路や高速道路では、豪快な走りを体感することは難しいですが、実車に乗った感覚は、重厚で力強く、ゆったりとした気分になれます。
TESLA大躍進のヒットモデル【モデル3】
TESLAの大躍進の立役者が、モデル3です。マスク氏は報道陣に対して、モデルSの量産に取り掛かった時点で「できるだけ早い時期に、よりリーズナブルなモデルを導入したい」という夢を語っていました。一般的にクルマのプレミアムブランドでは、上級モデルでブランドイメージを築き上げてからエントリーモデルを拡充するといった事業戦略を立てます。TESLAとしては、単なるブランド戦略というより、「BEVをより広く普及させたい」という想いが強く、満を持して市場導入したモデルは発表直後から数十万台規模のバックオーダーを抱える大人気車となりました。
グレードはRWD(後輪駆動)、満充電での航続距離が689kmとロングレンジなAWD、また停止状態から時速100kmまでの加速時間が3.3秒のパフォーマンスグレードを設定しています。
近年、日本仕様は価格改定でよりリーズナブルになったことなどから、TESLAジャパンによりますと「全国で試乗体験予約が大きく増加している」と話します。
選択肢が広がったミッドサイズSUV【モデルY】
モデルYはモデル3をベースにしたミッドサイズSUVです。フロントとリアを合わせて2100L以上の積載スペースを備え、利便性が高まっています。
日本での導入に期待が高まっていましたが、ついに2022年6月10日から全国のテスラストアやオンラインでの注文受付を開始しています。デリバリーについては、今夏から順次行っているとのことです。
また、モデルYのグローバル市場での販売動向を見ると、まず最初に欧州市場で2022年第1四半期(4月〜6月)からデリバリーを開始し、今回、日本に加えて、同じく右ハンドル仕様となるオーストラリア、ニュージーランド、またアジア全域での受注が可能になりました。
日本では、アウディやボルボに加えて、トヨタ、スバル、日産からミッドサイズSUVのBEVが続々登場している中、BEV市場のベンチマークとなったモデル3にモデルYが加わることで、ユーザー目線では自分にあったBEV選びがより楽しくなるのではないでしょうか。
その姿はまるでスーパーカー【モデルX】
「本当にモデルXは量産されるのか?」。2010年代初めから半ばにかけて、アメリカ国内で開催されたモーターショーでお披露目されたプロトタイプを見て、世界各国から詰めかけた報道陣は、モデルX量産に対して懐疑的な見方をする人が少なくありませんでした。
そうした現場に、筆者も立ち会っていますが、マスク氏の熱意あるプレゼンテーションが今でも強く記憶に残っています。マスク氏の主張は「やっと量産が始まったモデルSをベースとして、車内空間がより広く、日常生活の中での使い勝手が増すSUVタイプに対する市場ニーズはグローバルでさらに高まることは間違いない」というものでした。
さらに、先進性を高めるためドアを一般的な開閉方法ではなく、まるでスーパーカーのような跳ね上げ式を採用。この手法はコンセプトモデルでは珍しくありませんが、大量生産向きではないと言われていました。それをTESLAは紆余曲折を経て、見事モデルXを世に送り出したのです。
TESLAの量産第1号モデル【ロードスター】
TESLAの量産第1号モデル。すでにTESLAホームページの量産ラインアップには載っていません。ロードスターを見て、英国ロータスをイメージする人が少なくないでしょう。実際、ロードスターはロータス「エリーゼ」をBEV化したモデルです。その背景にあるのは、TESLAの創業社長だったマーティン・エバーハード氏が、米GMのBEV開発に携わった事業家の元を訪れた際、その技術をベースとして、エバーハード氏自身が好きだったエリーゼをBEVに仕立てたいという想いがありました。TESLAはロータスから車体やボディを購入する契約を結び、モーター、インバーター、電池等についてはTESLAが独自ルートでサプライヤーを開拓しました。こうした電動パーツとエリーゼを、TESLAの社屋で組み立てるという手法でした。今振り返ってみると、ロードスターはTESLA創世記を感じさせるクルマでありましたが、ロードスターで体験したさまざまな挑戦が、のちにTESLAオリジナルのモデルS誕生に結びついていったのです。
Semi/サイバートラック
TESLAは商用トラック分野にも進出することを明らかにしています。最初に計画が公開されたのは「Semi(発音は、セミ、またはセーマイ)」です。アメリカの大型トラックは、トレーラーの前方部をトレーラーヘッドやSemiと呼びます。アメリカでは東西南北に渡りフリーウエイが整備されていていますが、BEVは航続距離の問題や充電設備が課題となり大型トラックの開発が本格的に進んできませんでした。そこにTESLAが目をつけたというわけです。
さらに、ピックアップトラックのBEVとしてサイバートラックの量産を目指しています。アメリカ市場は、全体の約7割がライトトラックと呼ばれる、SUVとピックアップトラックで構成されています。日本でも近年、トヨタ「ハイラックス」をアウトドア向けなどで乗用化する人が徐々に増えていますが、アメリカでは女性でもピックアップトラックで通勤する人がいるほど普及しています。そうした分野にTESLAも独自技術を盛り込んで参入するのです。
著者PROFILE●桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]