Toyota Safety Senseは、6つのシーンを想定した安全技術
トヨタの安全技術は、街中を走る時、駐車する時、夜間に走る時、高速道路を走る時、路面の状況が悪い時、そして万が一の事故の時、という6つのシーンを想定しています。
その中に、ADAS技術のToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)を採用しています。
例えば、街中を走る時は、歩行者や自転車などが目の前に飛び出してきた際に衝突警報や衝突回避支援ブレーキを作動させます。さらに、PDA(プロアクティブドライビングアシスト)では、前方の横に歩行者がいて、「もしかすると飛び出してくるかもしれない」という先読み技術によって、同一車線からはみ出さない範囲で、クルマのシステムが自動でハンドルを切る指令を出す機能です。
また、ACC(アクティブクルーズコントロール)が効いている状態で、前方のカーブに対して自車の速度が速過ぎるとクルマのシステムが判断すると自動で減速する機能もあります。
さらに一歩進んだ運転支援機能として、トヨタチームメイトがあります。
その中で、自動駐車支援「アドバンストパーク」は、車内でのボタン操作のほか、スマートフォンの専用アプリ「Remote Park」で遠隔操作しながら、駐車や出庫することが可能です。こうなると、イメージとしてはかなり自動運転に近づいていると思う人が多いはずです。
もうひとつが、高速道路での「アドバンストドライブ」です。現在、トヨタ車で装備しているのは、燃料電池車「MIRAI」だけです。自動運転レベル2での走行ですが、その内容はかなり充実しており、実際に使ってみるとその精度に驚きます。
最大の特徴は、カーナビに連動した走行支援の細かさです。
MIRAIで高速道路を走ってみると、GPS等の衛星測位システムや事前に取得している高精度3次元地図によるデータの状況を踏まえて、トヨタセーフティセンスで走行中にアドバンストドライブへの移行をクルマのシステムがドライバーに提案してきます。
この状態で、例えば追従する前のクルマの速度が遅いと、クルマのシステムが追い越しを提案してきます。これに対して、ハンドルにあるスイッチ操作でこちらの実行意思を伝えると、自動で車線変更を行います。元の車線に戻る際も同じように、こちらの実行意思を使える必要があります。これらの行為は、ドライバーがウインカーを約1秒間保持するとシステムを稼働することが可能です。
また、目的地に向かうために分岐に差し掛かる前に、自動でウインカーを出し、その後は自動で分岐路へ車線変更します。
そのほか、高速道路(または自動車専用道)での渋滞時、時速が0㎞/hから40㎞/hの間では、ドライバーが前を向いているなど一定条件があると、加減速やハンドル操作をクルマのシステムが支援します。
このようなアドバンストドライブの機能は、あくまでも自動運転レベル2であるADASの範囲であり、運転の主体はドライバーである点を、トヨタはホームページで公開している動画などを通じて強調しています。その上で、運転の主体がクルマのシステムに移行する自動運転レベル3について、現時点では乗用車向けでの開発計画の公表は行っていません。
著者PROFILE 桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員
▷これからどうなる自動運転 まとめはこちら
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]