東レ:UDテープを複合したマルチマテリアル構造体の新解析技術を開発

東レは、今回、UDテープ(一方向連続繊維強化テープ)を射出成形材料と複合したマルチマテリアル構造体の新たな解析技術を開発した。この技術を用いることで、複数の材料を組み合わせた部品の特性を高精度で予測することが可能となり、より短期間で高性能な部品開発に貢献することができる。

今後、UDテープや射出成形用樹脂などの材料、構造設計、成形支援などのサービスとともに、本解析技術を組み合わせたトータルソリューションを顧客へ提供し、UAM(Urban Air Mobility)や電気自動車などの次世代モビリティ分野のほか、一般産業分野における当社新素材の採用拡大につなげ、軽量化および消費エネルギー削減に貢献していく。

UDテープは、一方向に束ねた炭素繊維などの連続繊維にポリアミド6(PA6)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの熱可塑性樹脂を含浸させたテープ状の中間基材であり、連続繊維を使用することから剛性・強度に優れ、また他の熱可塑性樹脂材料と溶着することが可能である。この特性を生かし、UDテープを射出成形品に最適配置することで、コストを押さえながら軽量化効果を最大限に引き出したマルチマテリアル構造体を得ることが可能となる。
一方で、UDテープを射出成形品に配置する際、UDテープと射出成形材料とを組み合わせたマルチマテリアル構造体で特に重要となる強度や衝撃特性を精度良く解析することが難しいという課題があった。

これに対して東レは、樹脂流動解析ソフト「3D TIMON」1)を改良し、材料間の接合状態や材料の破壊挙動を正確に反映させ、かつ射出成形材料の繊維配向状態なども考慮した樹脂流動と衝撃特性の連成解析技術2)を確立し、衝撃特性を高精度に予測できる新たな解析技術を開発した。この解析技術を用いることで、マルチマテリアル構造体の構造設計を短期間で行うことが可能。次世代モビリティ分野、一般産業分野における様々な用途に幅広く展開することで、軽量化および消費エネルギー削減に取り組んでいく。

1)3D TIMON:東レエンジニアリングDソリューションズ株式会社製の樹脂流動解析ソフト
2)連成解析技術:様々な現象の解析を複合させ、それらの相互作用について計算する技術

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