東芝:低損失かつ高精度な電流検出機能で電源システムの小型化を実現するGaNデバイスに内蔵可能な世界初の集積回路技術を開発

東芝は、GaN(窒化ガリウム)デバイスなどで構成されるハーフブリッジモジュール(以下、「HBモジュール」)にシャントMOS(Metal Oxide Semiconductor)電流センサーを内蔵することにより、損失が増加しにくい電流検出と高い電流検出精度を両立するとともに、機器の小型化を実現する集積回路技術を世界で初めて(注1)開発した。今回開発した技術により、HBモジュール内蔵電流センサーを用いて電源システムをより高精度に制御することが可能となり、パワーエレクトロニクス機器の高効率化、信頼性向上、および小型化に貢献する。

近年、カーボンニュートラルに向けた世界的な省エネの潮流が高まっていることを背景に、パワーエレクトロニクス機器の高効率化を追求する動きが加速している。また、その動きは様々な用途にわたっており、システムの小型化に対する要求も高まっている。従来、一般的な電源システムにおいては、HBモジュールと電流センサーがインダクターの両端にあることから、ワンパッケージに集積することは困難だった。また、電流検出用のシャント抵抗が使われていることから、電力消費(発熱)を抑えようとすると電流検出精度も低下してしまい、低損失かつ高精度な電流センサーを実現することが困難だった。

今回東芝が開発した技術では、GaN素子にカスコード接続された低耐圧MOSFET (Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を電流検出に利用することで、電流検出用シャント抵抗を不要とし発熱量を抑えるとともに、最適化された集積回路技術を用いることで、高精度な電流検出を可能とした。さらに、絶縁ICにキャリブレーション技術を適用することで広帯域と高精度を両立し、10 MHzを超える周波数帯域を実現した。これにより、HBモジュール内に電流センサーを内蔵するだけでなく、スイッチング周波数向上、コンデンサーおよびインダクターの小型化も実現し、機器の小型化に貢献できる。

今回開発したシャントMOS電流センサー

注1:2022年1月現在、東芝調べ。
注2:ノーマリオンGaN素子と低耐圧MOSFETを組み合わせることで、ノーマリオフGaN素子を実現する構成方法。

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