「HyEVO」は、水素エンジンや燃料電池などの水分を多く含むガスにおいても水分除去することなく、高精度・高分解能で測定できる。さらに、応答時間を短縮し(従来比 約1/2※1)、1秒単位で、より精緻な連続測定を実現。また、装置の暖機時間を大幅に短縮(従来比約 1/3※1)した。エンジンやガスタービンでの水素やアンモニアの燃焼の他、燃料電池、水素製造などの水素エネルギー社会に欠かせない技術開発に貢献する。さらに、水素と発電所などから回収した二酸化炭素によってできる合成燃料の製造にも活用でき、昨今注目されるメタネーション※2にも寄与する。また、本製品は石油化学プロセスや医療用途としての展開も視野に入れている。
堀場製作所はガス分析の分野において65年以上の歴史を有し、水素ガス測定装置に関しては、2000 年初頭より燃料電池・内燃機関や、水素などの製造プロセス向けに展開してきた。カーボンニュートラルの実現に向けた次世代エネルギーとして、水素活用への投資が盛んな昨今、水素エンジンや水素ガスタービン、燃料電池、水素製造など、水素エネルギー関連での研究開発が加速したことで高まった水素ガス測定装置の需要に応えるために、新製品「HyEVO」を開発した。今後は、堀場製作所既存の分析・計測機器、エンジニアリング技術と「HyEVO」を組み合わせて、水素計測のトータルソリューションを提供し「水素・カーボンニュートラルの HORIBA」として新たな価値を創造していく。
水素ガス測定装置「HyEVO」 測定成分:水素 測定原理:質量分析法※3 測定レンジ:0-1,000ppm または 0-5%(出荷時に選択) 外形寸法:570(W)×1,000(H)× 850(D)mm
製品の特長
1.水分を含むガスでも水素濃度を高精度・高分解能での計測を実現
水分濃度35%までのガスであれば除湿することなく水素濃度をダイレクトに計測できる。ガス中の水分を除湿してから計測する測定方式では計測値の補正が必要だが、「HyEVO」は水分を含むガスでも補正することなく高精度・高分解能で水素濃度を計測できる。
2.応答時間や暖機時間の短縮により、多様な分析ニーズに対応
検出器内のガス置換速度の改善により、応答時間を1秒に短縮(従来比 1/2※1)。燃料電池や水素燃焼における急激な濃度変化も、1秒単位で精緻に連続測定し、自動車などの技術開発用途に欠かせない性能を実現した。
装置の暖機時間は3時間(従来比約 1/3※1)に短縮し、試験準備の短縮化・試験の省エネ化に貢献する。
3.幅広い分析ニーズへ柔軟に対応
堀場製作所グループの分析・計測技術を組み合わせ、幅広い分析ニーズに応えるソリューションパッケージを提案。水素エネルギー社会に欠かせない技術開発を支援する。
「HyEVO」の活用事例
▶︎ 環境/エネルギー
以下のプロセスでの水素測定など
・ 水素ガスタービンや水素ボイラーなど水素燃焼、水電解などの水素製造
・ 水素と二酸化炭素によってできる合成燃料の製造
・ 発電装置としての燃料電池開発
▶︎ モビリティ
・ 燃料電池、水素エンジン、ガソリンエンジンでの水素測定など
▶︎ 医療
・ 健康状態のモニタリングを目的とした呼気中の水素測定など
※1 堀場製作所従来製品(MSHA-1000)との比較
※2 メタネーション:水素と二酸化炭素を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを生成する技術。現在の都市ガスの原料である天然ガスをこの合成メタンに置き換えることで、ガスの脱炭素化に寄与することが期待されている。
※3 質量分析法:物質を原子・分子レベルの微細なイオンの状態にし、その質量を測定することにより原子量/分子量、存在量(濃度)などを明らかにする方法。