境町は、2020年11月26日に、当時、自治体として国内で初めて公道での自動運転バスの実用化を開始した。乗車定員11人以上の車両が、一般の移動手段として期間を限定せずに大半の区間を自動で走行するのは初めて(2020年11月25日時点、BOLDLY調べ)。自動運転バスは感染症対策を実施し、コロナ禍にもかかわらず多くの町民や視察者に利用されてきた。さらに、町民や地元企業から多くの協力を得ながら円滑な運行を維持し、境町の認知度向上や補助金の獲得につながるなど、さまざまな効果を生み出した。
1年間の運行実績(対象期間:2020年11月26日~2021年11月25日) 走行便数:4756便 走行距離:14525km 乗車人員:5292人(運転手などは含まず) 視察数:103件/388人
自動運転バス導入による行動変容および町民や地元企業からの協力内容
・走行経路上の路上駐車の激減
・バス走行中の一般車両による追い越し回数が9割減少
・充電設備設置スペースの提供:2カ所
・バス停設置スペースの提供:5カ所
・バスロータリーの乗り入れ:1カ所
・既存のバス停共用:1カ所
・運行に関する地域雇用:8人
・遠隔監視センター設立場所の提供
・バスのラッピングデザインコンペへの参加
・サマースクールなどイベントの参加
金額換算効果
報道による広告換算額:7.3億円(広告代理店が再算定中)
補助金事業採択:2.9億円
寄付:0.5億円
移動促進による消費拡大:0.06億円
視察・観光による収入:0.01億円
総額:10.8億円
詳細はBOLDLY作成の「2021年度 安定稼働レポート」を参照。
https://www.softbank.jp/drive/set/data/press/2022/shared/20220208_02.pdf
これらの実績が評価され、このたび「2021年度クルマ・社会・パートナー大賞」の大賞に選ばれた。2022年2月7日に東京都内の会場で行われた表彰式では、境町と会場をオンラインでつなぎ、境町民が橋本町長とともに賞を授与された。鎌田審査委員長は「大賞となった茨城県境町の皆さんによる自動運転バス社会実装の取り組みは、公共交通網が脆弱な地域において、行政や協力事業者のイニシアチブはもちろんですが、住民がバス停留所スペースに私有地を提供したり、住民の自発的な支援によって沿線上の路上駐車が減少したりなど、住民が大きな役割を果たしながら町全体が自動運転バスの運行を迎え入れているのが大きな特長です。CASE・MaaSの潮流の中で、一つの方向を示しているものとして高く評価されたと思います」と講評した。