愛知製鋼:世界初、高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に成功

愛知製鋼は、2021年1月に技術実証した、34,000回転/分の小型軽量モータ(※1)に、新たに開発した小型高減速機を組み合わせ、省資源・小型軽量化に貢献する高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に世界で初めて成功した。
なお、本実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「部素材の代替・使用量削減に資する技術開発・実証事業」により結びついた成果である。

愛知製鋼は、電動車の本格普及に伴う資源不足への対応として、Nd(ネオジム)をはじめとする希土類や、電磁鋼板、銅などの使用量の大幅な低減に貢献する、電力消費率に優れた小型軽量な次世代電動アクスルの実用化に取り組んでいる。
 本電動アクスルは、「鍛鋼一貫」技術による新開発の高強度・高精度なギヤ・シャフト内蔵の小型高減速機と、Dy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン」(※2)を用いた高速回転の小型軽量モータを一体化し、当社が長年培ってきた高い素材技術を融合したものである。

小型軽量化

1)小型高減速機
 本高減速機による実証で、一般電動アクスル並みの効率を維持しつつ、減速比(※3)21.8(一般電動アクスル比2倍以上)を小型で実現し、小型軽量モータから電動車の走行に必要なトルク(回転の強さ)1850N・mを獲得
2)高速回転モータ
「マグファイン」の特長(高磁力、高電気抵抗、ロータコアへの一体成形)(※4)を活かしつつ、東北大学との共同開発により磁石粉末を更に高性能化(※5)したことで、34,000回転/分はそのままに、一般モータ比▲50%(同社従前開発品比▲10%)小型軽量化

優れたリサイクル性

1)磁石の資源問題に直結するレアアースについては、ボンド磁石の特性を活かし、Nd(ネオジム)を含んだ磁粉の再利用が可能(実証実験で磁粉回収率90%)
2)鍛造品(ギヤ・シャフト)は使用後、再度特殊鋼の原材料に再利用(資源循環)

今後は2021年10月に発足した「愛知製鋼×東北大学 次世代電動アクスル用素材・プロセス共創研究所」(※6)で技術の更なるブラッシュアップを図りつつ、課題対応を加速させていく。

※1 2021年1月7日ニュースリリース
※2 レアアースであるDy(ジスプロシウム)不使用のNd(ネオジム)系異方性磁石粉末に種々のプラスチックを混ぜて成形した磁石。電動工具や自動車用シートモータ等に採用
※3 エンジンの回転数に対してタイヤの回転数を少なくすること。モータ回転数が高速になるほど減速比の大きい減速機が必要
※4 モータロータ(電磁鋼板)に磁石コンパウンド(磁粉および樹脂)を充填しつつ、磁場をかけて成形する革新工法
※5 東北大学との共同開発によりDyフリーNd系異方性磁石粉末の高性能化に成功。2021年2月9日ニュースリリース
※6 2021年10月1日ニュースリリース

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