車載充電器は一般家庭に供給されている交流電圧（AC）を直流電圧DC）に変換し、BEV の高電圧リチウムイオンバッテリーを充電するために必要な機器。いっぽうDC-DCコンバーターは高電圧の直流電圧を機器に応じた電圧に変換する装置であり、bZ4Xの駆動用高電圧バッテリー（355V）から、12V の低電圧に変換して補機バッテリーや制御ECU、ナビゲーションシステム、灯火類などに電力を供給する。
豊田自動織機は1990年代からハイブリッド車をはじめとするトヨタ自動車の電動車向けに車載充電器およびDC-DC コンバーターを開発・生産してきた実績を持ち、DC-DCコンバーター分野では世界シェアNo.1の実績を誇る。この経験と知見を活用し、今回の一体型となる車載充電器・DC-DCコンバーターでは体格で23％、重量では17％というコンパクト化を達成した。従来型車載充電器では3.3kW回路をふたつ並列に組み合わせていたが、今回の新ユニットでは6.6kW回路をひとつというシングル構成に変更。部品数削減に加えて高耐圧・高速なSiCダイオードを採用し、瞬間的な異常発生電圧であるサージ電圧を抑制。部品発熱にはケース内に水路を構成し、この両面に部品を配置することで放熱特性を向上させたという。
トヨタ自動車は電気自動車用としてbZ4Xのシステムに、充電、電力変換、電力分配機能をワンパッケージングした Electricity Supply Unit（ESU）を初採用している。このESU搭載にあたって、車両搭載性や低重心化の面で豊田自動織機が開発したコンパクトな車載充電器・DC-DC コンバーター一体ユニットも貢献しているということだ。