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アウディはパートナー企業と協力するパイロットプロジェクトにより、自動車用ガラスのクローズドマテリアルサイクルの確立に挑戦している。この計画は、アウディのサーキュラーエコノミー戦略の一部である。アウディは自動車のライフサイクル全体に配慮している。使用されなくなった自動車は、可能な限り材料として製造プロセスに再導入する。そうすることで開発と製造のリソースを節約し、バリューチェーン全体で環境への影響を減らす。
アウディ工場のプレスショップから出ていたアルミニウムスクラップは、2017年以降、閉回路に導入されるようになった。この閉回路をガラスでも確立する。調達戦略責任者のマルコ・フィリッピ氏は以下のように述べた。
「私たちの目標は、技術的に可能で経済的に合理的な場所で二次材料を使用することです。現在のところ、たとえば、古い車両のグレージングは新車の窓製造には使用されていません。それを変えたいのです」
破損したガラスをリサイクルできれば、窓を作るために全体として使用するエネルギーと原材料とを減らすことができる。加工された材料を使用することで、最終的に石英砂などの一次材料を減らすことができる。アウディは『Q4 e –tron』で、こうして製造された窓を使用する。
アウディは新しい材料回路を開発して、バリューチェーンをより持続可能なものにするために、サプライヤー企業とコラボレーションする。現在、廃棄された車の窓やパノラマのサンルーフの大部分は、たとえば飲料ボトルや断熱材として再利用されている。このプロジェクトにより破損したガラスを新しい窓ガラスに戻すことに成功した場合、幾つかのメリットが生まれる。まず、高品質な自動車用ガラスの品質が維持される。また、二酸化炭素排出量の削減効果がある。リサイクルすることで、新しいガラスを製造する場合と比較して、二酸化炭素排出量を最大30パーセント削減できる。
最初のステップ：Reilingは自動車用ガラスを処理して、そのコンポーネントを均一に分離する
ガラスリサイクルパイロットプロジェクトは、VWグループの小売ネットワークのなかの、一部の販売店から始まる。自動車の窓が破損してしまったドライバーは、そこで予約を入れる。小売パートナーは、ウィンドウを修理できるかどうかを確認する。修理できない場合、新品のウィンドウに換装される。破損した窓はTeile Logistikに配送される。このVWワーゲンの子会社は、VWグループのワークショップで不要になった部品の廃棄を組織している。このリサイクルのためのプロセスから、車の窓ガラスを取り除く。
次のステップでは、破損した窓ガラスがReilingに配送される。ここで小さな断片に分割されて処理される。その過程でReilingは、古い車のグレージングを板ガラスの生産へと戻す。Reilingのプラントマネージャーであるダニエル・ロットウィンケル氏は以下のように説明する。
「これまで、リサイクルされた材料はほとんど飲料ボトルの生産に利用されていました。車用ガラスは、たとえば衝突安全性に関して、最も厳しい要件を満たす必要があります。これらの要求はボトルには適用されません」
破損したガラスから高品質のリサイクル可能な材料を製造するために、Reilingは最新機器を使用している。同社は、ガラス中のPVB（ポリビニルブチラール）プラスチック層、窓の縁取り、金属、それに加熱フィラメントやアンテナケーブルなどのワイヤーといった非ガラス材料を選別する。除去プロセスは、磁石、非鉄金属セパレーター、抽出ユニット、および電気光学選別ユニットを使用して実行される。将来的には、このようなPVB層は車両回路にも導入される。
2番目のステップ：Saint-Gobain Glassが破片を新しいベースガラスに変え、Saint-Gobain Sekuritはそれをグレージングに変える
ガラスリサイクル物が処理され、可能な限りの異物を除去した次のステップで、Saint-Gobain Glassはそれを板ガラスに変える。そのため、ガラス破片は、出所と色とを明確に確認するため、タイプごとに分離されてビンに保管される。新しいベースガラスを製造するには、可能な限り最も純粋で均質なガラスリサイクルが必要である。続いて、Saint-Gobain Glassはリサイクル品をガラスの基本成分である石英砂、炭酸ナトリウム、およびチョークと混合する。現時点では、他の材料に対するリサイクル物の割合は30〜50%の間である。パイロットプロジェクトの目標は、約40tの再生自動車用ガラスの製造である。
その後、関連会社のSaint-Gobain Sekuritにおける追加の加工を経て、自動車用ガラスが製造される。Saint-Gobain Glassは、このアウディとのパイロットプロジェクトに加えて、今後3年以内に最大30,000tの破片を用いて自動車用ガラスを生産する予定である。
3番目のステップ：生産された自動車用ガラスは『Q4 e –tron』シリーズに使用される
3つのパートナー企業は、材料の品質、安定性、それにコストについて学ぶため、このリサイクルプロセスを最初の1年間、テストすることにした。ガラスを経済的かつエコロジカルにリサイクルできたならば、アウディは二次材料で作られた窓を『Q4 e –tron』シリーズで使用する。