東レ:長期耐熱性と耐加水分解性を備える多層樹脂チューブ素材をポリプラ・エボニックと東レが共同開発

ポリプラ・エボニックと東レは、ポリアミド樹脂(PA)とポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)の接着を可能とする接着材料を新たに共同開発。内層に東レのPPS トレリナを用い、外層にポリプラ・エボニックのPA12 ダイアミドを用いた冷却配管用多層樹脂チューブ構成を開発した。

今回開発された樹脂チューブは、従来の多層樹脂チューブに比べて、耐熱性に優れ、130℃付近の高温環境下で使用が可能。また、冷却水に対してのイオン溶出が少ないという特性を有している。自動車をはじめ、産業機械も含めた冷却配管全般に向けた展開が見据えられている。

近年、軽量化による燃費向上を目的としてPA単層チューブや内層にポリプロピレン(PP)を使用した多層樹脂チューブが使用されるケースが増えてきている。ところが、これら従来の樹脂チューブは、耐熱性や加水分解などの問題によって、比較的低温の冷却水が流れる配管に採用が限られてしまっていた。

PPSは耐熱性・耐加水分解性に優れた材料であり、この材料をチューブ内層に使用することで、こうした課題を解決することができるようになった。 しかし、自動車用チューブの外層に広く使用されているPA12を代表とする長鎖PAとPPSは直接接着することができないため、接着材料の開発が求められていた。

そこで、ポリプラ・エボニックと東レは共同で、PAとPPSの接着を可能とする新規接着材料の開発に取り組み、ポリプラ・エボニックおよび東レのポリマー技術と、東レのポリマーアロイ技術を融合させることで、PAとPPSの接着性に優れ、安定した多層チューブ押出成形を可能とする新規接着材料の開発に成功した。この接着材料を適用し、内層にPPS、外層にPA12を用いた多層樹脂チューブ構成を実現した。

開発した多層樹脂チューブ構成は、一般的な樹脂チューブ押出装置で成形が可能であり、コルゲート成形も可能なため、強靭な機械特性を損なうことなく様々な形状での生産に対応できる。自動車の冷却配管、特に高温の冷却水が流れる部分の金属配管からの置き換えや、低イオン溶出性を活かした電気自動車や燃料電池自動車向けの冷却配管などへの採用が目指されている。また、自動車産業だけでなく産業機械など冷却配管全般への展開が見据えられている。

※ダイアミド はポリプラ・エボニック株式会社の登録商標。
※トレリナ は東レ株式会社の登録商標。

3層樹脂チューブの構成

最外層:PA12 ダイアミド(ポリプラ・エボニック)
接着層:新規開発材料(東レ)
最内層:PPS トレリナ(東レ)
PPS(トレリナ)+ PA12(ダイアミド)の冷却配管用多層樹脂チューブ

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